前世紀の遺物。

山口県知事選は自民党系の候補が勝利し、反原発を訴えた飯田氏は残念ながら敗北した。

ご存知の通り今の山口県は嘗ての長州藩で、倒幕運動そして明治「維新」の先頭に立ったが、藩閥政治を経て日本で最も多く総理大臣を輩出している県で有る事からも判る通り、元々かなりの「革新」だった人々が時を経て、ガチガチの「保守派」に為った典型の土地柄である。

日曜の朝、休日出勤前に山口県萩市に住む義父からの電話でその選挙結果を知ったが、聞いた途端に湧いた「やっぱり感」自体が筆者を残念な気持ちにさせたが、安部晋三元首相のコメントを見ると、

山口県知事選挙は私達が推薦した山本繁太郎候補が勝利しました。山口県の良識と常識の勝利だったと思います。反原発という主張だけの候補には山口県の明日は託せないと...冷静な判断を県民は下しました。相手候補の下に全国から運動家が集まり、坂本龍一氏始め多くの有名人の推薦を看板に、イメージ選挙が展開されましたが、地道な政策を山本候補が訴え続けた事が、勝利に繋がったのではないでしょうか。山口県に生まれた事に喜びと誇りを感じる県創りに邁進して欲しいと思います」

との事…日本近代政治史上に燦然と輝く、山口県民に拠って衆議院議員に選ばれ、その所属する政党は「郵政選挙」とか銘打って、国政選挙を「一主張」だけで勝ったりした事も未だ記憶に新しいが、その後「『放り投げ』辞任」をした元総理大臣がこう仰るのだから、県民の方々も良くお考えに為られると宜しいかと思う。因みに「核廃棄物」に関して、安部氏がどの様な「解決法」をお持ちなのかも是非お聞きしたい。

しかも今回の知事選投票率は、たったの43%強(これでも8ポイント増えているらしいが)…有権者の半分にも満たない人しか投票に行かない県政、そして国政を安部氏には是非とも変革して頂きたいモノで有る。

が、こんな事で諦めてはいけない。逆に云えばこの「ガチガチ保守」の山口県でこれだけやれたのだから、出馬宣言を早くし準備をすれば、これからの地方選でも充分期待が持てると思う。頑張って変えて行こう!

さて話題を変えて、真っ盛りの「ロンドン・オリンピック」。

ニューヨークのテレビで観るオリンピックは、当然アメリカがメダルを取りそうな、またアメリカ人に人気の有る競技を中心に放映されるので、日本選手の活躍を見る事が中々難しい。

しかし大逆転で銅メダルを獲得した「女子アーチェリー団体」や、荻野公介があのマイケル・フェルプスを破り、これも銅メダルを獲った水泳の「400メートル個人メドレー」等は、その「アメリカ強し」と云う大前提でのテレビ放映中での、その前評判を覆しての勝利と受賞なのだから、日本人からするとその勇姿を見る喜びも一入だ。

そしてそのオリンピックの開会式とセレモニーを、テレビでゲル妻と観て居たのだが、ベッカムが登場したり、Mr.ビーンが「炎のランナー」のパロディを演じて居たり、終には女王陛下とその僕「007」がヘリから飛び降りるシーン迄有って、英国特有のユーモア溢れるダニー・ボイルの演出は流石だったが、個人的に何がイケて無かったかと云うと、それは「ポール・マッカートニー」で有る。

勿論ポールも「ヘイ・ジュード」もこれ以上無いと云う程世界的に有名だし、しかもポールが「サー」だからの起用なのだろうが(エルトン・ジョンミック・ジャガーも、確か「サー」だったと思うが…)、この人選は如何にも「『政治力』臭」く、有ろう事かポールの歌声は掠れて裏返ってしまって居た…「アデール」とか「スーザン・ボイル」等を起用した方が、21世紀的フレッシュな英国をアピール出来て良かったのでは無かろうか。

そして、一緒にテレビを観て居たゲル妻が何気無く云った。

「でも日本でオリンピックやったとして、オープニング・セレモニーに出て来る歌手とか芸能人とか、世界の人は誰も知らないんだよね…」

誠に仰る通り。その上、そのセレモニー等を一体誰が演出するのか…考えただけでもゾッとするのは筆者だけだろうか?

最近の「文楽」発言で失笑を買った橋下大阪市長もそうだが、政府や文科省、そしてオリンピック招致に税金を注ぎ込んで負け続けている某都知事等、「アート・センス」皆無な連中が推薦したり選定したり、その上政治的圧力も掛かったり…例えば演出が秋●康だったり、出演者もどうせ「SM●P」や「A●B」だったりするのが関の山だと思うが、これでは当に「悪夢」…世界に恥をさらすだけでは無いか?

いや、若しかしたら「K-P●P」のジャリタレ・グループや、「ジ●ロ」が出演したりする可能性をも考えると(笑)、全く以て堪ったモンじゃ無い…かと云って、伝統の名の下に「能」や「歌舞伎」を変に現代風にアレンジしたダサい「踊り」等、想像しただけでも恐ろしい。

今回のオリンピックでは、3連覇を目指したフェルプスも北島も敗れ、ポールの声も裏返って仕舞い、大リーグではイチローは衰え、松井も戦力外と為った。スポーツや音楽の世界でも20世紀は完全なる過去と為り、人生の大半を「21世紀」で過ごして来たアスリートやアーティスト達が、これからのスポーツやアートの世界を支えて行く。

況してや、無責任な政治家や原発に代表される「前世紀の遺物」には、とっとと退場して頂きたい…筆者の切なる願いで有る。