ガンバレ、ニッポン「ビジュツ」!:9月11日開催「日本・韓国美術オークション」スニーク・プレビュー。

ロンドン・オリンピックでの日本選手の活躍が素晴らしい。

「金」が少ないと云う話も有るが、世界で3位以内に入る種目とメダル数が増えたのは大したモノで、例えば女子アーチェリー団体や「銀」以上が確定した男子フェンシング団体、重量挙げ等、素晴らしい活躍だと思う。

その反面、柔道やマラソンが弱くなってしまったのには、何か理由が有るのだろうか?例えば柔道等は、明らかな競技人口の減少が原因に有るだろうが、マラソンはどうなのだろう?そして「サッカー」…男女とも準決勝進出、これは期待せずには居られない!メダルを獲って、帰りは男女とも「ビジネス・クラス」だ!(笑)

さて今日は、来月開催の筆者担当日本・韓国美術セールのハイライトを紹介しよう。先ずは、韓国美術から…今回の目玉は何と云っても「李朝染付龍文大壷」(18世紀)。

個性的な面持ちの2頭の五爪の龍が、雲の中を飛ぶ様にして描かれた迫力満点のこの壷の高さは60.5cm.、本作は恐らく現存する染付龍壷の中でも最も大きい物の1つと思う。エスティメイトは「ON REQUEST」、恐らくは200万ドル近辺に為るのではと考えている。

そして日本美術。以前此処でも少し紹介したが、日本美術セクションの大目玉と云えば「重要日本絵画個人コレクション:Part I」。

カタログのカバー・ロットにも為った長谷川等仁(17世紀初頭)作「旧明石城襖絵:雪景水禽図」(紙本金地著色:二曲屏風三隻:25万ー30万ドル)は、今は城址しか残っていない明石城の完成から火災に拠る襖の救出劇、ヨーロッパとアメリカに分蔵された歴史、そしてワシントンのフリア美術館に残る「ツレ」等、美術品の流転を絵に描いた様な名品で有る(拙ダイアリー:「時空を超える『明石城の襖』」参照)。

このコレクションには、その他にも中屏風ながら非常に細密に描かれ、観光をする南蛮人能舞台での演能も描かれた状態の素晴らしい「厳島住吉祭礼図屏風」(紙本金地著色:六曲一双:15万ー25万ドル)、尾形光琳墨画「布袋図」や海北友雪の珍しい「馬頭観音図」等の掛幅、また「文正草子」の絵巻物等の江戸期の絵画作品が集められて居るので、外国人バイヤー達の人気を呼ぶと思う。

また、今回の日本美術セクションのもう1つの目玉は「明治工芸」である。

超絶技巧の明治工芸は、金工・七宝・象牙彫刻等の分野で世界に名立たる技術を誇っているが、村田理如氏の「清水三年坂美術館」コレクションに代表される様に、漸く最近日本でもその美術史的価値が認められ始めたが、海外でのその人気の高さは日本の比では無く、最近では中国やロシアのバイヤーも増えて来ている。

今回クリスティーズがオファーする明治工芸の目玉と云えば、金工では明治18年の佐藤一秀と香川勝廣の合作「春秋花鳥図瓶一対」(7万ー9万ドル)、七宝では美しくも超細密細工の並河靖之や濤川惣助、そして安藤七宝の「七宝御三家」の名品、そして象牙彫刻では「これぞ象牙彫り!」と叫びたく為る様な彫の冴えを見せる、石川光明作「蓮華観音像」等、どれもこれもの逸品揃い。

その他、漆工品では小川破笠の名品料紙箱「三夕意匠螺鈿料紙箱」、能楽関連では能面や狂言面等の面が計17面に、大鼓小鼓の「鼓胴」が6筒(+小鼓が1挺)と装束が3領、最高クオリティの鎧が2領、五姓田芳柳から川瀬巴水の版画や篠田桃紅、猪熊弦一郎や深見陶治迄の近現代作品等々、名品目白押しで有る。

前回3月の成績が悪かっただけに、「日本美術マーケット健在」を今度こそ証明せねば為らない…オリンピックで活躍する日本選手を見習って、今度は日本文化のクオリティと世界マーケットでのその価値をアピールしなければ!

「ガンバレ、ニッポン『ビジュツ』!」…応援、何卒宜しくお願いします!