真夜中のピンポン対決!

昨晩は、顧客であり仲の良い友人でもある、R&Cのカップルと食事をした。

旦那さんRはカナダ人で、大人気長寿TV番組「LAW & ORDER」の脚本家&エクゼクティヴ・プロデューサー、奥さんCは大富豪の中国系アメリカ人で、子供服の会社を経営している。2人は中国現代美術と日本の版画のコレクターでもあり、彼等がNYに居る時は頻繁に会って食事をし、日本に遊びに来た時には一緒に歌舞伎を観に行ったり、妻の実家に遊びに行ったりする、所謂「家族ぐるみ」の仲である。

食事はFLAT IRONにある現代インド料理の「TAMARIND」で、ヌーヴェル・インディアンを堪能した。過去に何度か行っているが未だハズレた事は無く、ソースなども凝っている。基本はターメリック等の伝統的スパイスなのだが、フレンチやカッティング・エッジアメリカンのフレイバーも楽しめ、差し詰め「NY風スパイシー・フュージョン料理」といった所か。デザートの頃に今週末に結婚するジェシー君が登場し、お祝いの乾杯をして食事は終了。

だが昨晩のメイン・イベントは、実は夕食会では無くその後にあった。Cによると「この近くに”高級ラグジュアリー”ピンポンクラブがあるのよ!行って見ない?」との事。Rは自信ありげに「ボクの子供時代、ウチの地下には卓球台があったんだぜ!」、対するこの孫一も、何を隠そう中学時代に校内卓球大会(泣)で準優勝しているので、お互い鼻の穴が膨らむのであった。

TAMARINDから1ブロックほど上がり、何の変哲もないビルの入り口を入る。直ぐ地下に降りる階段があったのだが、其処にも店名等何のサインもない、それを降りると受付とソファーがあった。まるで「秘密クラブ」である。受付には綺麗な白人の女の子と、野球帽を斜めに被ったヒップホップ風の黒人青年が居て、女の子の方が「お名前は?」と優しく尋ねて来た。

ジェシーが友人の名前を告げている最中に、黒人の若いのが急に日本語で「ニホンジン?」と聞いてきた。まるで「ジェロ」である。彼は卓球の選手で、先週まで日本に遠征しており、愛ちゃん(福原)の友達だと云う。「君は『ジェロ』に似てるねぇ」と云ったら、日本で散々云われたらしく嫌な顔をしていたが、隣の綺麗な子に「『ジェロ』って誰?」と聞かれると、ジェロとは何者で、如何に日本で人気者か、そして自分がどれだけその「スター」に間違えられたかを、熱心に説明していた。

まずVIPルーム(!)を見る。ロココっぽい内装に、ラグジュアリーなソファー、そしてプライベート・バー・カウンターとステンレス(!)の卓球台。ネットはガラスである…これではネットインも有り得ない。しかしこんな環境でピンポンをしようという発想が、良くワカラン。ピンポン・パーティーとはそれ程盛り上がるのだろうか…?

頭の中は「?」マークだらけだったが、案内され一般用のだだっ広いコンクリート打ちっぱなしの、倉庫の様な空間に通されると、そこには何十もの卓球台が!夜遅いので人は疎らだったが、あちこちでプロ級の腕前の人や、如何にもデートで来ているカップルなど(場所柄か、結構美形の男女も)が、ピンポンに興じていた。ウーム、何とも云えぬシュールな光景。ジェシーの友人がここのスタッフらしく、入会金(年間$500)の事やインストラクターの事等説明してくれたが、余りの不思議空間に皆上の空であった。

時計は11時を廻っていたが、せっかく来たのだから、と対戦開始。C対Rの夫婦対決、C対孫一、またジェロ対孫一など交代で対戦が始まったが、食後且つ夜遅い事もあり、皆疲れて余り盛り上がらず、結局R対孫一の頂上対決となった。最初はお互い様子を見たり、勘も戻らずラリーも直ぐ終わってしまったが、その内にお互い調子が出てきて、スピンを掛けたりスマッシュしたりと汗が滲む。

が、スマッシュを決めようとすると、職業病の悲しさか、耳元で「客にスマッシュしていいのか?」と天使が囁き、「お遊びなんだからやっつけちまえ!」と悪魔が囁く・・・。そして結局手加減してしまうのだった(涙&言い訳)。最後はI-Phoneをラケットにしての、アイフォン・ピンポン。リダイアル・ボタンを球で押してしまうと、誰かに掛かってしまうので裏を使った。

対戦終了後は、「さっきまでそこでピンポンをしていた可愛い女の子が、突如バーテンに変身!」のカウンターで全員水をがぶ飲みし、夜のFLAT IRONで解散。誠に奇妙なクラブではあったが、ハッキリ云って結構楽しかった…。タクシー内で貰ってきたショップ・カードを眺めながら、会員になるか?いや、取り敢えずまた行ってみよう、と心に決める孫一なのであった。

誰か一緒に行かない?ダイエットにも最適です。