トオル君ベルリンへ、或いは、日本人アーティストの海外研修。

日曜の晩は、今日ベルリンへ旅立った友人のアーティスト、トオル君と日本美術史家マシューのカップルと、寿司店で「餞」の食事をした。

トオル君は文化庁のグラントで1年間ベルリンに滞在し、制作をする。筆者は今を然る事17年前に、一度だけ行った事が有るだけなので、現在のベルリンのアート環境は知るべくも無いが、噂では多くの日本人を含む世界中のアーティストが居住・制作しているとの事で、例えばクラブ・シーンなども現在世界の先端を走っているとも聞く。ウーム、何とも羨ましい!!

さて、食事中にトオル君に色々聞いたのだが、文化庁のグラントで海外で制作する日本人アーティストは、年間優に100人を超えているらしい。年齢制限は50歳で(何のアーティスト&キュレーター歴も無いが、応募しようかと本気で思った・笑)、1年間の内レポートを数回提出すれば良く、1年後の作品提出等の義務は無いらしい(もし誤っていたら、ご教授下さい)。

ここでアーティストの方々には少々申し訳ない気もするが、一つ問題提起を。文化庁と言えば国民の税金を使っている筈で、その奨学金で海外に1年間100人を超えるアーティストを派遣しているとなると、筆者もその国民の一人としては、彼らの海外研修の成果が気になる。云い方を変えれば、レポートだけでは少し甘い気がするのだ。

勿論芸術家に足枷を嵌めるのは本意では無いが、がしかしアーティストとなれば、将来的にはコミッション・ワークの受注や、所謂商業ルートで作品を売らねば生きて行けない訳だから、文化庁は1年間の研修後に、そのグラントの「返済」若しくは「作品買い上げ」の意味での、「作品の提出・国有化」を義務付けたら如何だろうか。アーティストに奨学金を「あげる」のでは無く、要は「貸す」のだ。この方法の方が、より国民の同意を得られ易く、アーティスト自身も目標が出来るのでは無いかと思うのだが、如何だろうか。

その上で、研修後国に収められた作品の展覧会を開催するのはどうだろう。例えば「2009年度文化庁ベルリン派遣アーティスト報告作品展」や「2009年度文化庁海外派遣ビデオ・アーティスト作品展」等、国や都市で括っても良いかも知れないし、分野別でも面白そうである。個人的には是非観てみたいと思うが。

それはさて置き、トオル君にはベルリンにて有意義な1年を送って頂き、ベルリン東洋博物館収蔵の「光悦」に負けない位の、素晴しい作品を制作して欲しい(同級生としても応援している)。

トオル君、マシューと遊びに行くから、その時はベルリン案内ヨロシク!!