もう、ヘロヘロ。

「3・11」から一週間以上が経ち、世の中や人の命がたった一週間、いや一日でこれ程様相を変えてしまう現実を目の当たりにすると、「一大事と申すは、今日只今の心也」と云う言葉を思い出さない訳には行かない。被災者の方達に取っても、何と長い一週間だっただろうかと思う。

さて、金曜日から「Asian Week」の下見会が始まった。

20度に成らんかと云う程暖かかった初日は、朝から異常に忙しく、千客万来、東奔西走。朝イチで行われたメディア・プレビューでは、米国メディアから、今回の震災やそのオークションへの影響等を聞かれ、日本のテレビからも取材を受ける。

しかし特に今回、日本美術セクションへの多数の来場者を見ると、何と日本美術は世界の人に愛され、買いたいと思われているものかと、妙に感動する。外国メディアにも云ったのだが、今此処に展示してある日本美術品は、制作されてから400年、いや800年と云った年月を経て来ているのだが、その間に数え切れない地震等の自然災害、戦災を潜り抜け生き延びて来た訳である。これは、これら日本美術品を作り続けて来た日本人にも云える事で、この事実は我等日本人が「必ず」生き延びることを証明していると云えるのでは無いか。

大忙しの下見会後は、武者小路千家ニューヨーク支部「随縁会」の皆さんへのギャラリー・トーク。1時間程皆さんに、南蛮屏風や歌麿等のハイライトを説明する…皆さん熱心で、遣り甲斐が有りました!そして夜は、東京の古美術商ロンドン・ギャラリーの展覧会レセプションへ。縄文から桃山までの「日本陶磁」の展覧だが、流石の逸品揃いであった。

昨日は昨日で、下見会中には「日本クラブ」の会員向けレクチャー。15人ほどの方が参加し、楽しく90分間ツアーをする。下見会後はと云うと、先ずは今回KITANO HOTELで行われる茶会のレセプション。日本から有名茶道具商のI氏親子が逸品の数々を携えて見え、また名古屋の菓子舗「両口屋是清」の方も材料持参での来米…紹介される方、旧知の方と語らう。

KITANOでのレセプション後は、其処で一緒だった陶芸家のTさんを連れてアッパー・イーストへ向かい、「JADA(Japanese Art Dealers Association)」のレセプションへ。此方は大盛況も良い所で、もう作品よりも人疲れ…が、レセプション・デスクにしっかりと置かれた「募金箱」を見たら、何と無く気持ちが軽くなったのも事実であった。今回の展示作品の中では、個人的にはJudith Dowling出品の「菩薩立像」がかなり気に入った…欲しい!

そしてこの晩のトリ、「3つ目」のイヴェントは、友人C&Rのカップル宅でのパーティー。今回ジャパン・ソサエティでの展覧会をキュレートした、ディヴィッド・エリオット氏を初め、現代美術史家や中国本土のオークション・ハウスの人、友人のドイツ人現代美術家I等のレギュラー・メンバー達と、食べ語った。今回初めて色々とお話したが、エリオット氏と云う人は大変ユニークで、面白いコスモポリタンであった!

散々食べ喋ったその後はと云うと、お土産を貰って11時半過ぎに帰宅しノックダウン…もう既にヘロヘロである。

疲れた心の救いは、募金箱の設置が少しずつ増えている事…今ではボナムスにも、チェルシーやソーホーのギャラリーにも。少しでも役に立てば嬉しいし、自分の励みにもなる。

頑張らねば!