神様、仏様、雷神様。

最近、ジャスティン・ティンバーレイクの曲にハマっている。

それは「Suit & Tie」(→http://m.youtube.com/#/watch?v=IsUsVbTj2AY&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DIsUsVbTj2AY)と題された、Jay-Zをフィーチャーした曲で、軽快且つクラシックなジャズの雰囲気と新しさの同居する、得も云われぬ味わいの有る曲なのだ。

そして曲の良さも然る事ながら、PVでのジャスティンのダンスが極めて素晴らしく、それは振付の面白さと彼の力の抜けたダンスのキレの良さにこそ有るのだが、こう云った事を含めたジャスティンのアート・センスの良さには、時折脱帽する。

ジャスティンはこれだけの大スターなのに、「サタデー・ナイト・ライヴ」で「全身タイツ」姿に為ってコントを演じたり、例えば「TIME/タイム」(拙ダイアリー:「『1日』有れば、本当に沢山の事が出来る」参照)等の映画で、素晴らしい演技を披露したりして、その才能は止まる処を知らない…若手では、世界の中でも、最も素晴らしいエンターティナーだと思う。

さて、始まって4日が過ぎた下見会も今日1日で終了だが、体の疲れの方もピーク。

そんな先週土曜日は、「緑の悪魔」達が闊歩する「セント・パトリック・デイ」のパレード・デイだったのだが、何と朝から再び雪が降り始め、マンハッタンは夜迄スノー・ストーム状態に…にも関わらず、朝はジャパン・ソサエティ、午後には日本クラブの多くの会員の方々が悪天候の中集まって頂き、朝は英語、午後は日本語でのギャラリー・トークを2本こなす。

しかし、寒さの為に「催した」緑の悪魔達が、下見会中のクリスティーズにトイレを借りに飛び込んで来て「用を済ませた」後でも(笑)、彼等がそこに展示して有るアートに全く以て関心を示さなかった事には、ガックリ…さも有らん、では有るが。

そのストーミーな夜は、79丁目のウクライナ・インスティテュートで開催されている、「JADA(Japanese Art Dealers Association)」に拠る展覧会のオープニング・レセプションへ。

雪が降り頻る中到着した会場だったが、天気の所為か人もそれ程多く無く、例年の混雑は無い。そして展覧会の方も、作品数も例年よりも少なく見覚えの有る作品も結構有ったりしたが、その中で眼を惹いた物はと云えば、MIKA galleryが出展して居た、かなり大きな「遮光器土偶」(42万ドルとの噂も…そして某コレクターW氏が買ったとの噂も!)と、セバスチャン・イザード出品の「古鍋島」、そして柳孝一氏の「空蝉図」屏風で有ったか…。

そして翌日曜は、午後からの下見会、夕方からのレクチャー・シリーズ(友人でチェルシーの「B」の常連、ルービン・ミュージアムのアカデミック・キュレーターのJも、貴重な「チベット・タンカ」に就いて語った!)を経て、夜はクリスティーズ主催のレセプション。

今回のレセプションには、これまた大勢の人が押しかけて驚くべき活況を呈したが、これも株高の所為なのだろうか?それがその侭、セール結果に結びついてくれれば良いのだが…。

…等と考えながらの昨日は、次々と来場した重要顧客に、風邪気味で調子の悪い体で何とか応対するが、その結果一寸良いニュースも届き、老体に鞭打って頑張っている自分を褒めて上げたい気持ちに為った(笑)。

夜は夜で、風邪で寒気のする重く苦しい体を引き摺って、5番街の「The Pierre」で開催された、Asia Societyの「ブラック・タイ・ディナー」にクサマヨイと出席。

300人に垂んとするゲスト達の中には、今を時めくファッション・デザイナーのジェイソン・ウーと、彼が引き連れた「長身・細身・美人」の中国人と印度人のモデルの姿が有ったりして、華やかな雰囲気…が、ジェイソン・ウーは今年30歳だそうだが、どう見ても18位にしか見えず、酒を飲んでいるのを注意したく為った(笑)。

ディナー前のレセプションでは、何人かの人に

"Are you Japanese ? Congratulations for the Pritzker Prize !"

と云われ、今年のプリツカー賞を受賞した伊東豊雄氏のお陰で酒の話題に事欠かなかったりしたが、彼等は「日本人建築家」と云うだけで、最後迄氏の名前が出て来なかったのが何処と無く悔しい。

そしてディナー開始の銅鑼が鳴り、テーブルを探し出すと、同じテーブルにはCとRのカップルやLACMAのキュレーターのC、元MFAのキュレーターのH、SFAAMのキュレーターJ、チェルシーギャラリストJとM等、何時もの楽しい仲間が揃い、隣のテーブルには旧知のアーティスト森万里子さんも。

席に着くと暫くしてディナーがサーヴされ、メインが来る頃には恒例のファンド・レイズ・オークションが始まったが、今年の目玉はゼニアで好きな生地素材を選んでの、スーツお仕立て権…これは12000ドルで落札され(高過ぎないか?)、その他、旅行や人気テレビ番組のスタジオ訪問権迄、良く云えば「generous」、悪く云えば「見栄の張り合い」の連続技に拠って競り上げられる金額には、パンピーな我ら地獄夫婦は、只々呆気に取られるばかり…こう云う場面に遭遇すると、「如何にもアメリカだなぁ…」と熟く感じる。

そして「ブラック・タイ・ガラ・ディナー」の最後は、「ダンス」と相場は決まっていて、これがまたスゴイ…曲はブルース・ブラザースや往年のディスコ・ヒット(ポインター・シスターズや、ウェザー・ガールス等!)の嵐、フロアに繰り出した中年のゲスト達が踊るのは、懐かしいダンスの数々…再び「如何にもアメリカだなぁ」と溜息を吐く。

時は過ぎ、デザートも食べ終わる頃には、音楽はチークダンスに変わり、ディナーも終了…皆と別れのキスを交わし、コートを受け取って「The Pierre」の玄関からふと見た外には…

何と「雪」が積もっていたのだ!!

オイオイ、もう3月19日なのに…で有る。この調子では、来週グッゲンハイム美術館で開催される、杉本博司氏演出の「三番叟」の日も、きっと大雪か何かの天変地異が起きるに違いない!…その理由に就いては、拙ダイアリー:「やっぱり起きた『天変地異』」を参照して頂きたいが、一寸洒落に為らない感じで恐ろしい。

神様、どうか「福島第一」の電源が早く戻りますように…。仏様、明日のオークションが成功します様に…。そして雷神様、来週の木曜日と金曜日のニューヨークに、天変地異が起こりません様に…。

明日は、愈々オークション本番で有る。