「孫一的」週末。

金曜の夜は「ウエッセルマン」の後、行きつけのイタリアン「Basta Pasta」にて、建築家S氏と妻とで高田シェフの料理に舌鼓。

その後ワイン・バーに場所を移した所で、ジャズ・ピアニストのH女史が乱入、恐れていた事態に。以前このダイアリーにも記したが、このH女史の食欲(&飲欲)は物凄く、恐らくマンハッタン広しと雖も、(女性では)1、2を争うのでは無いか。何しろ筆者と同じ量(若しくはそれ以上)を食べ、その上お酒も召し上がるのだから、もう感服である…。

結局その日の「セカンド・ディナー」は、和食屋「T」で午前2時より「改めて」前菜から始まり、〆はラーメンで朝4時に終了。アーキテクトS氏も、細身の体であれだけ食べるのだから大した物だが、やはり「仕事の出来る人」は食べる、と云う事か(笑)。

土曜日。昼まで死んでいたが、一度寝に帰ったS氏と、夕方からメトロポリタン美術館の「サムライ展」へ。以前より彼と一緒に同展覧会へ行き、下手な解説をすると云う約束をしていたのである。筆者にとって、この展覧会を観るのはもう4度目だが、正直何回観ても「驚き」の連続で、こんな事は非常に珍しい。S氏も驚嘆の声を上げていたが、「建築家の眼」を通した彼の感想は、こちらに取っても非常に勉強になった。

夜はS氏を伴い、ミート・パッキング・エリアにギャラリーを構えるPHILLIPSのレセプションへ。このレセプションは、現代美術と「エディション」のオークション・プレビューを兼ねており、フィリップスの社屋のみならず、ミート・パッキング界隈特有の倉庫との2会場を使っての、粋な展覧パーティーであった。

「エディション」下見会では廉価な作品も多く、S氏も興味津々。DAN FLAVINの可愛い作品が有り、お互い気に入ったのだが、「どちらかがオークションで結構高く落札して、その後相手に見せて自慢した時に、『ゲッ、そのアンダビッダー、俺ですよ』なんて事に為ったりして。」(笑)と云い合ったが、実はオークションでは良く有る話なので、余り笑えないのである。

レセプション後は、来週末オープンするアイスランドと日本のミニマル・アートの展覧会、「VOLCANO LOVERS」のキュレーター、渡辺真也君と四川料理店で食事。ディナーのメンバーは渡辺君の他、上記建築家S氏、写真家Y氏、そしてその展覧会にも作品が展示される、写真家のS君とその奥様。

S君と先月結婚したばかりのその奥様は、何と24歳(!)、誠に可愛らしく可憐な女性で、彼女もやはりアーティスト。オジサン魂爆発で、「羨ましい!」を連発していたら、皆から「孫一さんの奥さんだって、10歳も下じゃないですか!」と異議を唱えられたが、10歳と16歳では話が違う、と思う…が、如何だろうか。シツコイ様だが、本当に羨ましい。S君、奥さんどうぞお幸せに!

食事中は、S氏のパートナーであり、渡辺君が嘗てかなり影響を受けたという「建築思想家」コールハースの話から、日本神話、日本での現代美術の現状まで話題豊富であったが、最も問題になったのは、現代日本に於ける「批評精神の欠落」であった。

これは本当に大きな問題で、今の日本の如何なるアート・シーンでも、(「喧嘩」でない)「議論」や「批評」と云った事が存在しておらず、評論家やアーティスト達も自分たちと仲の良い、また意見を同じくする同士のみで行動し、思想的・志向的「ムラ」を作った上で、仲間内での「楽屋落ち」や「予定調和」的意見しか述べない傾向が顕著である。「対談集」等に良く見られる傾向であるが、誠に残念至極…こういった状況が続くと、日本では真の芸術が産まれて来なくなるのでは、との重大な危惧を共有した。

そうは云っても、この重大な危惧を共有できる、W君やS氏の様な若手が居る限り、「マダマダ日本も大丈夫」と信じたいが、こういった人達は何故か皆「日本の外」に居るので、そこを何とかせねばならないと感じた。

渡辺真也君キュレーションの展覧会「VOLCANO LOVERS」は、11月13日(金)よりソーホーの「ISE CULTURAL FOUNDATION」にて開催。皆さん是非いらして下さい!!

明日は米国人茶人G氏の茶会。早く休まねば・・・。