ラファエロの誘惑。

昨晩はASIA SOCIETYで、先週の「炉開き」の時にお誘いを受けていた、現代美術家森万里子さんの、新プロジェクト発表レセプションに行って来た。

森さんの宮古島での、この新プロジェクトは、かなり大掛かりなパーマネント・インスタレーションで、冬至の日の太陽と、潮の満ち引きをコンピューター・プログラムし、海に浮かべたインスタレーションによって発光させる、と云う大規模な作品。

このインスタレーションを考える際にインスパイアされたと云う、「アニミズム」や「古代芸術」に関しての、森さん御本人に拠る話も興味深かったが、そう云えば何時も思っていたのだが、森さんの髪型も何処か「縄文人」の様であった。

その後のレセプションでは、関係者や多くの友人たちと談笑したが、夕食は家に戻り「ダイエット鍋」を突付く。

さて、本題。今「超セクシー作品」が、当社屋に来ている。一般公開は明日からだが、社員は今日観れると云う事で、たった今観て来ました。

そのセクシー作品とは、来年丁度制作から500年を迎える、ラファエロの素描「Head of A Muse(女神頭部)」である。

この作品は、来る12月8日に当社ロンドンのオールドマスターのオークションに掛かる作品なのだが、サイズは30.5 x 22.2cm.、予想落札価格は1,200−1,600万ポンド(約18億ー24億円)。

状態も中々良く、恐らくこの作品は「素描作品としての世界最高価格」を作るであろう、と囁かれているのだが、その理由を幾つか紹介しよう。

先ずこの素描は、ある「フレスコ画」の下絵なのだが、その完成されたフレスコ画とは、著名なる「Parnassus(パルナッソス)と云う名称で、「バチカン宮殿」に現存している。また来歴も、サー・トーマス・ローレンス(英国ロイヤル・アカデミー会長)や、オランダ国王ウイリアムII世等、超一流コレクターばかり。

また、この素描が最初に記録に現れるのは1725年で、その際この素描を元に、複製銅版画が制作されたりもしている。そしてトドメは、20世紀最大のラファエル研究者であったオスカー・フィッシェルが、この作品を「ラファエロの描いた、最も美しい女性頭部」と評した事であろう。

が、そう云った情報はさて置き、何しろこの素描は「ホントーーーーー」に美しい!

言葉にして仕舞うと全く月並みだが、ミューズの優しい眼差し、眼の輝き、ふくよかな唇、全てが優しく繊細である。こんな優しい瞳で見詰られたら、もう「ポチャ専」で無くとも「惚れてまうがなー!」で有ろう(笑)。

筆者は元来ミケランジェロよりも、ハッキリ云ってラファエロの方が好きで、その作品には若い時から大層惹かれてきた。

生まれて初めて海外に一人で行った時に観た、ウイーン美術史美術館所蔵の「ベルヴェデーレの聖母」や、フィレンツェのビッティ美術館所蔵の「小椅子の聖母」等、ラファエロの描く「ちょっとふくよかな」女
性達に、長い間惚れ捲って来たのである。

また、その恐るべき素描力は、後世の例えばアングルやドガロートレック等にも連なる系譜だと思うが、この「女神頭部」に観る事の出来るその線も、「MUSE」の持つべき何とも云えぬ「セクシーさ」と「母性」を醸しだしていて、観れば観るほど、ウーム、やっぱり「惚れてまうがなー」なのだ(笑)。

ラファエロのミューズ」に、皆さんも是非「誘惑」されてみては?