境界を無くした建築物。

昨晩は、チェルシーにあるギャラリー「Danziger Project」での展覧会、「THE YEAR IN PICTURES」のオープニング・レセプションに行った。

行ってみると既に人が外まで溢れ返り、大盛況な様子・・・こう云ったエネルギーが、チェルシーは素晴しい。

さてこの展覧会は、当ギャラリー・オーナーのジェームズ・ダンジガー氏が、自身の同名「ブログ」からインスパイアされたそうで、サウジ・アラビア、カナダ、英国、米国、フランス、韓国、デンマーク、メキシコ、そして日本の9ヵ国、総勢15人の現代写真家の作品を一同に展示したものである。その日本人の作家が、友人のNY在住写真家横澤典氏であったので、早速駆けつけてみたのであった。

人込みを掻き分けて見渡すと、横澤氏の顔が見つかり、隣にはK君とAさんの夫妻の顔も。簡単なお祝いを述べて、作品を観に行く。氏の作品は2点、夜の札幌の町を山の上から撮影した「Split Milk」と、ブルックリンから夜のウォール街のビル群を撮影した「Parallel Lives」。

どちらも昼間には見ることの出来る、ビルとビルとの境界線が闇に拠って消え失せ、「Split Milk」では、ネオンだけが夜空に浮かぶ星の様に、また「Parallel Lives」では電気のついた各オフィスがまるで小宇宙の様に、そして複数のビルがその境界を失う事によって、新たな建築物になっている様な不思議な、しかし美しい作品である。

最近少々建築に興味を持ち始めたのだが、氏の「個々人がばらばらでありながら、共存する世界を肯定したい」と云うコンセプトが、昼とは全く異なる顔を持つ「夜の建築物」を通して、十二分に感じられる作品であった。

この展覧会に出ている他の作品も、中々面白い。この展覧会は2月27日まで。