今の「職業」に満足してますか?

やっと、3月のセールカタログを校了した!157ロット、最も高い李朝染付大壺(50万ー70万ドル)を筆頭に、中々のラインナップ。後は売れるのを待つだけだが、暫しの休憩である。

実は今日は、或る事に関するダイアリーを書いていたのだが、その事とは別に「思わず笑ってしまった」ランキングを偶然発見したので、デッドラインをクリアした記念に、今日はこの話題を。

それは、村上龍氏の「13歳のハローワーク 公式サイト」に有る、「人気職業ランキング」(2010年1月1日ー31日)。このサイト自体が中々素晴しく、「職業」の説明やその道の第一人者へのインタビュー等詠み応えも有るのだが、我々大人が忘れてしまった「自分が何になりたかったか」と云う「夢」を、思い出させてくれる効果も多大にある。これを投票した人の年齢がどれ位なのか、また複数投票等、きちんと調べていないので何とも云えないが、余りに面白かったので、此処に記す事にした。

この人気ランキングは、1位から何と「1005位」(!)までの「職業」がランクされており、その職業も事細かに分かれ、何と云うか大人の筆者からすると、色々と勉強になる所も多々有る。例えば「バスプロ」や「歩荷(ぼっか)」「アクチュアリー」「マーシャラー」等、何じゃこりゃと云う「職業名称」も、そこをクリックすれば、その職業の説明文が読めるのだが、これらがどんな「職業」か、皆さんはご存知だったでしょうか(筆者は聞いた事も無かった…)?

さて先ず1位…何だと思われるだろうか?正解は「パティシエ」である。子供は皆御菓子好き、と云う事だろうか。2位は「プロ・スポーツ選手」、以下「保育士」「ファッション・デザイナー」「漫画家」と続く。素晴しいと思ったのは、7、8、10位にそれぞれ「看護士」「薬剤師」「医師」が入っている事で、ベスト10を見ると「お金だけでは無い」職業意識が見られる…素晴しい事だ。

「比較」するのも大層面白い。例えば「タレント」、これは思ったより低く260位だが、「芸能マネージャー」は何と21位!…これはどう云う事だろうか…タレントになれる可能性より、現実的にマネージャーなのか。「作家」は24位で、「編集者」は48位…双方高ランクで有るが、より為りたいのは「作家」と云う事か。

小沢献金事件では無いが、「政治家」は174位、「検察官」は52位、そして「政治家秘書」は754位…流石良く判っている(笑)。宗教関係では「神主」が抜きん出て138位、僧侶が244位、「神父・牧師」が321位…これも良く理由が判らないが、神道は「結婚式」、仏教は「葬式」の「職業的」イメージが有るからかも知れない。でも単に「コスチューム」の違いか(笑)。序でに云えば、「シャーマン」と云う「職業」も有り、これはそのどれよりも高位の90位である。

「日本的職業」を「人気の無い」順で云えば(皆さん、傷付かないように:笑)、「能楽三役(ワキ方囃子方狂言方)997位(泣)、「文楽技芸員(太夫・三味線・人形遣い)」993位、「講談師」986位、「狂言師」846位、「研ぎ師」759位、「歌舞伎俳優」625位、「落語家」587位、「邦楽家」573位、「茶道家」426位。「日本的職業」は、やはり「なろう」と云う人が少ない(見る機会自体が少ないので、当たり前か)。また、能楽シテ方はランクに入っておらず、これも不思議。

アート系では上位から「建築家」が29位、「カメラマン」が34位、「画家」が53位、「キュレーター」125位、「ピアニスト」285位(これはちょっと意外)、「陶芸家」340位、「彫刻家」が530位、「表具師」542位、「絵画修復師」556位、「蒔絵師」857位…これも何と無く判る。

最後に、筆者を含めたウチの部員(アメリカ人3人、韓国人1人)が大爆笑(&落胆)した順位。「ギャラリスト」249位、「古本屋」459位、「アンティーク・ショップ」481位、「骨董屋」765位(ウーム、骨董屋とアンティーク・ショップで此処まで違うか…)、「美術鑑定師」834位。

そして「オークション会社勤務」(こんな「職業」が「ランキング」に載っているとは!)…パンパカパーン(って古いね)…運命の発表です!!

何と、第563位!「オークション会社勤務」は、子供たちにとって「骨董屋」よりも「為りたく」て、「古本屋」よりも「為りたく無い」職業なのであった…。

そして何と無くショックだったのが、「傭兵」の114位、「ホスト」142位、「珍しい虫の繁殖」284位、「ひな鑑別師」の413位よりも、「自分の仕事」のランクが低かった事だ。別に「メジャーな職業」が良い訳では無いが、これらの職業よりマイナーなのである…何と無く寂しい気がしないでもない。

しかし、この順位が低いと云う事は、それだけ希少価値的仕事とも云えるし、まぁ良しとしようか(笑)…年2回のオークションと、このカタログ編集をNYでやり続けてもう10年。子供の時には、思いもしなかった「職業」で、良く今まで頑張って来れた物だ(笑)。

自分を褒めて上げて、今日はこれまで。