「ASIA WEEK」終了…そして、NO.1は?

長かった「ASIA WEEK」が終了した。

一部関係者の間では、余りに忙しすぎるので、次回からは「ASIA WEEK」とは呼ばずに「ASIA 2 WEEKS」、若しくは「ASIA MONTH」と呼ぶべきだ、との声も有る(笑)。

さてその最終日の昨日は、友人で顧客でも有るC&Rのカップルと、チーズの豊富な種類で有名な「ARTISANAL」で、先ずはブランチ…我々に取っては、何をするにも「先ず食べる」のが重要なのだ(笑)。スンバらしく旨い「チーズ・フォンデュ」や「クロック・。マダム」を食し、お腹も一杯になった後は、ダウンタウンで開催されている「ARTS OF PACIFIC ASIA SHOW」へ、いざ出陣。

会場に着いて見ると、もう閉場間近だったからかも知れないが、疎らな人影。世界各国からの何人かの出展ディーラーに話を聞くと、去年よりは良かったと声を揃えていた。皆でザッと観て廻るが、やはりクオリティは今1つ…勿論この「PACIFIC」は、以前アッパー・イースト・サイドで行われていた「ASIAN ART FAIR」の、云ってしまえば「セカンダリー・ライン」の「より身近なアート」を中心にしているので、仕方が無い。しかし、ちょっと面白い屏風なども有り、そこそこ楽しめた。

さて「ASIA WEEK」では、世界各国の東洋美術のディーラー、ギャラリーがNYに終結し、各々独自のテーマで展覧会を催し販売するのだが、今日は筆者の独断と偏見に因る「SHOW NO.1」をお知らせしたい(オークション下見会や、フェア全体は除く)。筆者はメジャー所はオークション前後に大体見て廻ったが、勿論全ての展覧会を観た訳では無いので、その辺が「独断と偏見」なので、ご容赦を。

その輝ける第1位は…日本から出展の「ロンドン・ギャラリー」の展覧会、「CELADONS OF THE KORYO COURT:高麗王朝ー翡色青磁の煌き」(@SEBASTIAN IZZARD ASIAN ART)である!!

この展覧会は、何しろ素晴しかった。筆者は曲がりなりにも「日本・韓国美術」担当であるからして、17年のキャリアの中でも大層素晴しい韓国美術を観て来、またディールして来ているが、今回このNYの地で展覧・販売された珠玉の「高麗青磁」の数々は、そのクオリティと云い、1人の眼で蒐められた事も含め、何しろ「絶品揃い」であった。

その中から、幾つかの作品を紹介しよう。まずコレクションの白眉、「青磁砧形瓶」(12世紀前半)。この瓶を表現するには、もう何しろ「美しい」の一言で、溜息と共に「『瓶』の美しさなど無い。美しい『瓶』が有るだけだ。」と、小林秀雄風に呟くしか無い。

「高麗青磁」は云うまでも無く、中国宋時代の青磁の影響を、その造形・釉使い共に多大な影響を受けているが、それでも「宋青磁」と「高麗青磁」は「ソーセージ」(笑)と「チョリソ」程、一目でその違いが判る程に異なる場合が多い。それは、より温かみと時折深みの有る青緑であったり、貫入の細かさで有ったりするのだが、高麗青磁は同じ器型でも何処と無く、ふっくらとしており身近な感じがする。この「砧」も、間違いなく第一級品である。

そして、陽刻蓮花文の「陽刻連花文瓜型水注」も非常に素晴しいが、個人的には「象嵌雲鶴文碗」(12世紀後半)と「象嵌鼓胴形杯」(12-13世紀)に尽きる。この「雲鶴文茶碗」は、内側の「牡丹唐草」の陰刻、そして外側の二段に分けての象嵌の「雲鶴」の双方が何しろ品が良くて美しく、図録の解説で伊藤郁太郎先生が仰っている様に、「ハレ」の席で使われたら、さぞ映える碗であろう。

また「鼓胴形杯」は、筆者もこの形は全くの初見で有り、驚きを禁じえなかったが、良く観ると上下の杯の大きさが異なる、非常に珍しい形状である。この「鼓」の形状は恐らく「祭器」か、若しくは何らかの「返杯」を想定しての、特殊な儀式用の杯では無いかと感じた。しかし、これも非常に美しい白黒象嵌で、気品有る作品であった。ウーム、無理だと判っていても欲しい…。

疲労困憊の「ASIA WEEK」もやっと終わり、そして「夜遊び」もそろそろと始まる。

先ず今晩は、友人のジュエリー・デザイナーN氏のバースデーを、ダリル・ジョーンズ(ローリング・ストーンズのツアー・ベーシスト)と一緒に祝う予定。ダリルとは、今月頭に六本木の「Billboard」の楽屋で会って以来…楽しみである!