「BUNGO」@「INSPIRATION JAPAN」。

最近新しくなったANA009便で、9月のオークションの為の出品作品を探す為に、昨日再び日本に戻って来た。
今年4月19日より東京ーニューヨーク路線に導入された、このANAのビジネス・クラスは「Inspiration Japan」と呼ばれ、ル・コルビジェを引き合いに出した広告を御覧になった方も居るかも知れないが、「全席通路側」「フル・フラット・シート」等が「売り」の新システムで有る。その他にも新「機内食」サービスとして、好きな物を好きな時間に「タッチ・パネル」でオーダーできる、と云う「売り」も有るのだが、これは未だ上手く作動しないらしく、アテンダントが注文を聞いて歩いていた。

しかし筆者初体験の、この「Inspiration Japan」は、正直かなり快適で有った!新婚さん等機内でイチャイチャしたい人、耳許で互いに囁きたい人には、何しろ「隣」に座れないので不満だろうが(笑)、フル・フラットシートも快適、テーブルの広さや、小物入れ等収納スペースも充実しており、かなりヨロシイ。JALの経営状況がおかしくなった今、ANAに新たなるナショナル・フラッグ・カンパニーとしての期待が懸かる…頑張れANA

さて、相も変わらず機内で眠れない筆者は、映画と音楽三昧。何年振りかに観た、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」のライヴ・ヴィデオの事を記そうかとも思ったのだが、今日は映画「BUNGOー日本文学シネマ」(2009)の事にしよう。

この作品は、アベ・コーイチ、熊切和嘉、橋本光二郎篠原哲雄の若き演出家達が、夫々太宰「黄金風景」、芥川「魔術」、谷崎「富美子の足」、太宰「グッド・バイ」の各短篇の文学世界の映像化を試みたオムニバスで、役者陣も若手を起用しているが、歌手の山崎まさよし等も出演している。

そしてこの「短篇集」は、意外にも結構楽しめたのだった…。先ずこの4篇の「原作」の選び方が宜しい。太宰、芥川、谷崎の各「文豪」の個性が、かなり判り安く顕れている4篇であるし、作品の雰囲気も其なりに映像化されていると思う。

向井理塚本高史等による演技に、物足りなさを感じるのは否め無いが、何しろこう云った「文学の映画化作品」から、逆に「原作」へと向かう若い世代も居るだろうから、其れで良いだろう…筆者ですら、この文豪達の短篇の秀逸さに、驚きを新たにしたのだから!(笑)

「黄金風景」のラスト・シーンや、「魔術」のマドンナ(中村ゆり)の可憐さ等、映画的見所も有るが、何しろ「文豪」の原作を読みたくなる…そして脚本(原作)は、やはり映画と云う芸術の「命」なのだ、と改めて感じた一本であった。