「能縁」の日。

関西にやって来た。

朝イチの飛行機で、関空に降り立ったのだが、朝っぱらから、眠気がフッ飛ぶ事が有った。

それは、蒼井優ちゃん!では無くて、元気良く「お早うさん!」と声を掛けてきた、能楽小鼓方宗家のG先生にバッタリお会いした事であった。

さて、この偶然の出逢いが、何故眠気をフッ飛ばす程の事かと云うと、先日此処にも記した様に、今亡き叔母の遺品を整理しているのだが、叔母の家から小鼓が三張出て来て、その内二張をG先生にお預けして、何方かに使って頂こうと母と話して居たからである。

そんなこんなで、滯日中にG先生に連絡せねば、と思っていた矢先に出食わしたので、甚だ驚いてしまったのだ。ウーム、念ずれば通ず…最近の孫一の「『縁』力」、恐るべしである。

空港の出口迄ご一緒し、お話を差し上げた後、G先生に別れを告げ、最初の顧客の元へ。

此処では、高額では無いが、屏風や七宝等数点、全部で5万ドルをゲット…幸先が良いではないか!そして次の顧客の所では、来歴の良い掛軸と屏風を一点ずつ決め、此方は総額10万ドル。

働き続け、そのまた次の顧客からは、非常に素晴らしい17世紀の甲冑と、かなり上手の銀象篏鐙、蒔絵鞍の出品が決定。此処からは総額7万ドル強、クオリティの高い作品の出品は、本当に有難い。

最後にもう一人顧客から、一点ゲットして京都へ移動。

チェックイン後、夕食は木屋町に在る、行き付けの割烹「H」で。「H」のオヤジは相変わらず飲んでいたが、味も相変わらず確かで、鱧や稚鮎、鰹の刺身等を満喫する。

腹が収まった後は、顧客M氏と氏が最近出した店で会う事になり、腹ごなしの散歩がてら、花見小路へ。しかし京都の街は、歩いていても本当に楽しい…思わず眼を奪われる「美しい女性(ひと)」が多いからである…ビバ京都(笑)!

有名な置屋を改装したこの店は、外からは想像出来ない程のお洒落な造りで、「三味線の生演奏付」ワイン・バー。客層も流石M氏、有名料亭の主人や実業家、僧侶や舞妓芸妓等で華やかに賑わう。

カウンターでM氏を囲み飲んでいると、京都在住の顧客で、お茶もしている英国人D氏が、和服姿の男性を連れて登場。

お互い自己紹介し合うと、何とその方は、シテ方観世流のH氏であった!

H、D、M各氏を含め、皆で日本文化や古典芸能の将来や「システム」を激論、花見小路の夜は、夜更け迄熱く続いた。

1日の初めと終わりに、お能の方とバッタリ出会う、「能縁」の1日であった。

今日もこれから、京都で仕事…「夜」も、である(笑)。