ミステリアスな「京の都」。

いきなりだが、京都ホテル(オークラ)の朝飯は、特に「洋食」のビュッフェが良い。

京都での夕食はほぼ100%和食なので、朝は「ホテルの洋食」を選ぶ。変わった所では、クレープや眼の前で作ってくれるオムレツ等も有り、「昨晩あんなに食べたのに…何故だ。」と思わせる程の大満足を得る。
さて昨日の京都は、32℃になんなんとする気温でバテた。

当然朝から顧客廻りだったが、昨日1日は実に「収穫アリ」で、屏風、掛軸、七宝(名品!)、仏教美術等、計40万ドル程をゲット。近頃の様な不景気の時は、例えば「所載歴」や「来歴」、「展覧会歴」の有る作品の方が、買う方に取っても安心感が強い…そう云うモノを中心に集める事が出来た。ひと安心、である。

午後は、仕事の合間にほんの少し時間が出来たので、祇園四条通りに在る「何必館」で始まったばかりの、「没後180年 良寛遺墨」を観に行く。

出展作品は、50点と数は多くは無いが質が高い。良寛の字は剽軽だが、或る種厳しさと得も云われぬ「リズム」が有って、そこから良寛さんの人となりが窺えるので、昔から大好きなのである。

「無我」「自然」「道好」等のシンプルな二字書も良いが、


君看雙眼色
不語似無憂

(君看よ双眼の色 語らざるは憂無きに似たり)


この「双幅」の美しさは、喩え様が無い。軽くて優しくて、リズミカルで…こんな風に生きたいモノである。
館を出ると、妻からの指令で「椿クリーム」を買う為に、祇園交差点近くの「かづら清」へ。この店は、妻の親戚筋に当たるのだが、質の高い京小物や椿油等を扱う名店である。店に入ると、お婆さん(妻の祖母の妹)が満面の笑顔で迎えてくれ、お茶を頂きながら暫し歓談。お土産迄頂いてしまった…しかし、お元気そうで何よりであった!

夜は、有名美術商の方々と食事だったのだが、ご招待頂いたのが、偶然にも前の晩に花見小路のM氏の店でお会いしたK氏の、四条木屋町に在る店「T」だったので驚く…「縁力」恐るべし。

鮎や鱧、豆ご飯迄美味しく頂戴する。「神」様逹との食事(笑)は、ニューヨーク以来であったが(拙ダイアリー:「ギフト」参照)、相変わらず楽しく、もう一件と云う事に。そして此処からがS社の若きエース、Y君の出番であった…何故なら、Y君の「パートナー」(笑)のお店に行く事となったからだ。

祇園に戻り路地を入って行くと、奥の突き当たりにその店「I」が。入ると、着物を着た中々に色っぽい大柄の「男性」が、はんなりとした笑顔でお出迎え…彼が「パートナー」らしい(笑)。

業界裏話や、S社社長のD氏の近況等で盛り上がったのだが、帰る間際にHママが、そう云えば、と最近一緒に歌舞伎を観に行ったと云う、筆者も勿論お会いした事の有る、某有名能役者の話を出して来た…。

能との繋がり等、何一つ話していないのに…またまた「お能」で夜が締め括られたのだった。

京の夜は、ミステリアスである。