やっと、校了。

9月15日開催予定の「日本・韓国美術オークション」のカタログを、今朝ほどやっと校了した。

毎年、必ず誕生日頃に「On Screen」(校了日:コンピューターの画面上で行う最終校正の意)を迎えるので、リラックスしてバースデーを迎えられないのは必然なのだが、今年は友人達の御蔭で本当に楽しく、ストレス発散も兼ねて楽しめた。改めて此処に御礼申上げる…有難うございました!!

しかしカタログの「プルーフィング」と云うモノは、何故に毎回必ず、新しい間違いが見つかるのだろう。今回のカタログは都合275作品、175ページ位のモノだが、部員の5人(「学士」の筆者以外は、「博士」1人に「修士」3人)が寄って集って回し読みしても、毎回「必ず」見つかるタイポや間違いの上に、この期に及んで「こういう云い回しの方が良いのでは?」とか「やっぱり、この制作年代はオカシイ」、「学術論文では、決してこんな『引用』の仕方は許されない!」、「高すぎて売れるわけが無い!」、「誰がこの箇所を勝手に直した!?」等々、喧々諤々の議論が展開され、時には罵り合いにまで発展する「恐怖の」期間なので、心身ともに疲労が激しい。

だが、いざカタログが出来上がって来ると、作品を捜し求めた日々や値段交渉、そして勿論カタログ編集で苦労した思いも手伝い、出来上がりが何しろ素晴しく美しく思えて、捲るページ毎に現れる日本や韓国の美術品の数々を、それらを引き立てる豪華・綺麗な写真、苦労して調べて書いた詳細な解説(クリスティーズの「カタログ・ノート」は、世界中のオークション・カタログの中では、サザビーズやボナムス等と比べても、圧倒的に「学術的」で有る事で知られる)と共に見ると、全品須らく高値で売れるに違いない!と信じてしまう程である…「我が子可愛さ」「我田引水」とは、正にこの事だろう。しかし現実がそう甘くないのは、云う迄も無いが(笑)。

データ化されたカタログは、校了後ロンドンの印刷所に回され、ウエッブ・カタログと共に大体2週間後から全世界のコレクター、美術館、業者の元に送付され始める。その間に我々は、作品の「状態」を今一度チェックし、バイヤーからの問い合わせが予想される「コンディション・リポート」を制作して、9月10日からの「下見会」に備えるのだ。

そして筆者はと云うと、来週12日に日本に発ち、一週間のお休みを頂いた後、日本に於いて顧客に会ったり、来年3月のオークション向けの作品査定活動を再開する。今回の日本滞在では、仕事絡みでは政治団体でのレクチャーやメディア取材、プライヴェートでは萩に在る妻の実家訪問、新橋演舞場での歌舞伎、サントリーホールでの「珠響(たまゆら)」等、イヴェントも目白押しである。

校了後のリラックスすべき今晩は、ユニオン・スクエアに在る行き付けのレストラン、「T」と「F」のオーナーであるマルコ、A姫P王子カップルと、チェルシーの「B」でディナーの予定…「有名シェフ」が食べに来るとなると、「B」の高田シェフも気合が入るだろう。

食べ過ぎに注意して、体調を整え、休みに向かおう…と思うが、無理だな、こりゃ(笑)。