「反体制の祭司」、或いは「聖母」。

今日、日本に戻って来た。
出発前のJFK、ビジネスラウンジでは、ニューヨーク在住の有名印象派絵画ディーラーのS氏と、久々にバッタリ。そのS氏、開口一番「弟さん、頑張ってるねぇ!」と、ニコニコしながら話し掛けて来た。ほぅ、神楽坂の弟の店も、少しは有名に為ってきたらしい…と喜んだのも束の間、どうも話がおかしいので良く良く聞いてみると、何と「ぐっさん」を筆者の弟と真剣に思っていたらしい(笑)。
妻と共に爆笑しながら誤解を正した後、S氏と別れ搭乗ゲートに向かうと、いきなり友人のギタリストS君を呼び出すアナウンスが…「かいちやう」とメールしていたS君を見付け出す。再会を祝して一緒にゲート向かうと、今度は其処に作曲家Aさんの姿が!偶然とは、重なるモノだ。

さて、恒例となった「ANA009便」中で観たアート。今回のフライト中、実は白眉が「2つ」有ったので、今日は先ずその第一回目、「2006 Confessions Tour:Madonna @ London Wembley Arena」である。

このライヴ・ヴィデオは、もう何しろ「目から鱗」で、マドンナの当時48歳とは思えない「美貌と身体のキレ」は云うまでも無いが(因みに彼女のバースデーは、筆者の母と同じ8月16日なので、もうすぐ52だ!)、彼女のステージの芸術性やそのメッセージ性を含めて、改めてこのマドンナと云うアーティストが「超一流の『ホンモノ』」である事実を、強烈に知らしめるのだ。

ステージに映し出されるヴィデオ、演出もスバラシイの一言なのだが、何と云っても、ダンスのレヴェルが高く、出演しているダンサー達のレヴェルは、間違いなく世界最高峰だろう。ヒップホップやローラーディスコ、エスニック等何を踊らせても超一流だが、その中でも特に、「Live to Tell」の時に出て来る3人のダンサー達がスゴイ…彼らを観ると、その辺のコンテンポラリー・ダンサー等ブッ飛んでしまう。また振付けも、まるでニューヨークの知己、M氏が考案した筆者も大好きな、ピタゴラスイッチの「アルゴリズム体操」を彷彿とさせる様なモノもあり、新しい。

それにつけても、マドンナは美しい。あの身体を見れば、過酷な節制とケアが施されているのは明らかだが、それ以上に「ラッキースター」や「ホリデー」でデビューした当時には無かった、「ちょっと疲れた」エロに溢れ、昔は全く抱かなかった「抱きたい感」を強く持った…もう、どうとでもしてっ!と云う感じである(笑)。また、これは初めて観たのだが、ギターをガンガン弾く彼女も、偉くセクシーであった。

こう観ると、芸術性も一人の女としても、LADY GAGA等はもう高校の文化祭レヴェルである。そしてマドンナの口から溢れ出る歌詞や、その政治、宗教や性に関する信条、そしてコンサート中、何度か「中指」を立てたり「ピー」音が入ったりと、相変わらずの「反体制」振りであるが、もし「反体制」と云う言葉が、「全ての『欺瞞』に対抗し闘う」と云う意味ならば、それは「ホンモノ」にしか出来ないし、その事実はMJ亡き後、50歳を超えてもこれ程迄に世界中の老若問わず、男、女、ゲイを魅了していると云う事で、証明されているだろう。

このライヴ・ヴィデオは、「Have You Confessed ?」の文字が大写しに為って終わる。

そう、マドンナは、ホンモノの「反体制の『祭司』、或いは『聖母』」なのだ。