クリスティーズ、薄氷の勝利!:「印象派・近代絵画イヴニング・セール」。

昨晩一昨晩で、この秋のシーズンの、クリスティーズサザビーズの「印象派・近代絵画イヴニング・セール」が終了した。

先ずは火曜夜に開催された、サザビーズ。61点中46点売れ(75.4%)、総売上は2億2756万1000ドル(約184億3200万円)。トップ・ロットはモディリアニの「Nu Assis sur un Divan(La Belle Romaine)」(「カウチに座るヌード」)で、何と6896万2500ドル(約55億8600万円:Estimate on Request)、次点がモネの「La Bassin aux Nympheas」(「睡蓮」)で2472万2500ドル(約20億250万円)であった。

1000万ドル以上で売れた作品は4点、上記他はマティスともう1点モディリアニで(しかし、モディリアニは本当に高くなった…筆者がこの仕事を始めた頃は、本当に良い作品でも300-500万ドル位が、良い所だったのだが…)、500万ドル超が4点、100万ドル超が30点。全出品作の62.3%が100万ドル以上で売れた事に為る。

それに対し、前夜サザビーズのモディリアニが高額で売却、セールも堅調だったので、少々心配された昨晩のクリスティーズのセールだが、これも良い方に予想を覆し、84点の出品中67点売却(79.8%)、総売上は2億3143万9500ドル(約187億4700万円)を記録し、サザビーズを僅差で破った。

トップ・ロットは、マティスの重要なブロンズ作品「Nu de Dos, 4 etat(Back IV)」(「ヌードの背中 NO,4」)で、4880万2500ドル(約39億5300万円)。これはマティス作品の「オークション世界最高価格」で有るが、エディションが有るのにも関わらずこの価格…落札者は「流石」のラリー・ガゴシアンである。次点は此れもアーティスト・レコードの、ホアン・グリ作「Violon et Guitare」(「ヴァイオリンとギター」)で、2864万2500ドル(約23億2000万円)であった。

1000万ドル以上で売れた作品は、この他ミロとジャコメッティの計4点、500万ドル以上が7点、そして100万ドル以上が何と43点…出品作品中64.3%が100万ドル以上で売れ、此処でもサザビーズに僅差で勝利。非常にコンスタントに売れたセールと云え、クリスティーズへの信頼感の強さが窺える。

そして筆者が個人的に「イチオシ」だった、プラスター製の「白いモディリアニ:Buste d'Homme」は、120-180万ドルのエスティメイトに対し、389万500ドル(約3億1500万円)で売却。やはり「良いモノ」は高くなる…円高なのだから、小遣いで買って置けば良かった(笑)。

何れにしろマーケットは堅調な模様。円高の影響も有るのか、会場には日本人の姿も見られ、少しずつ景気回復の兆しが見える。来週の現代美術も、より楽しみになって来た!