「Celebration of Asia Week」 @Asia Society.

段々と、胃が痛くなって来た。

明日がオークション本番、と云う事なのだが、今回は大物の「南蛮屏風」や「李朝染付龍文壺」等の高額商品が有り、そしてこう云った高額商品の場合、前以ての入札等は有り得ず、ビッダーは当日会場で、若しくは電話での参加に為るので、その時迄判らないと云うのが実情なのである…本当に胃が痛くて眠れない。

その反面、1つ心が安らぐ様な良いニュースは、「Love Art & Help Japan」の募金箱の設置場所が、30箇所近くになったと云う事だ。新たに「PACE GALLERY」や、某大メジャーでは有るが匿名希望の、チェルシーのメジャー・ギャラリーも参加し始め、誠に嬉しい限りである(→ http://www.nyartbeat.com/nyablog/2011/03/love-art-help-japan-enjoy-great-art-in-ny-and-donate-for-japan/)。また、今日大成功のオークションを終了したばかりの当社東南アジア部門も、来場者が下見会に展示されていた「ガネーシャ像」に、お賽銭として置いて行ったコインや紙幣を全額この募金に寄附してくれた…有り難くて、涙が出そうになる(涙)。

そんなこんなで、昨日は再び終日下見会。来場者の中には、仲の良いフランス人の甲冑ディーラーであるCが居て、彼は何とあの震災の日に新宿に居たのだそうで、「もう、絶対にダメだと思った」との事。Cは震災の2日後に母国に戻ろうとしたが、案の定成田迄が大変で、最初タクシーに乗ったのだが、Cが日本語が出来ない事に運転手もパニック、結局総武線の駅で降りたら幸いにも総武線が動いていて、無事飛行機に乗れたとの事…Cは涙を溜めて、日本の惨状を悲しんでいた。

その下見会はと云うと、米国有名美術館の館長や学芸員、コレクターのアドヴァイザー等も揃い賑いを見せた…何とか上手く行けば良いが…。そして夜は、Asia Societyのガラ・ディナー。

ディナー会場に着いて見ると、もう大盛況も良い所で大変な盛り上がりであった。会う度に知り合いと挨拶し、練り歩いていると、旧知の某有名美術館の中国絵画の専門家J氏と、その娘さんのCにバッタリ…聞けば同じテーブル番号で、今度はニッコリ。その他大勢の知人友人達と話していると合図が有り、ディナー席へと向かう。

テーブルには友人のC&Rのカップルを始め、中国・韓国美術の専門家であるハーヴァードのB先生、某有名美術館アジア部長のH氏夫妻、現代美術史家のR夫妻や上記のJ氏等が顔を揃え、筆者夫妻に取っては、非常に楽しくも勉強に為るテーブルと為った。パーティーは、アジア・ソサエティ会長に拠る、日本の被災者へのお悔やみと再起への期待を込めた挨拶から始まり、続く有名オペラ歌手レネ・フレミングのスピーチで盛り上がると、続いて恒例の「Distinguished Collector Award」の授賞式。

今回の受賞者は、日本美術の世界的大コレクターで、ニューヨークに在る「Burke Foundation」の創立者のMary Griggs Burkeさん。高齢のバークさんの代理として、長年バークさんのアドヴァイザーとして交友を深めた、コロンビア大学名誉教授の村瀬実恵子先生が、バークさんとの日本での「お買物」の話等の、ユーモアを交えたスピーチでその喜びを語ったのだが、こう云った時期でも有り、日本美術の世界的コレクターが表彰された事が、涙が出る程、我が事の様に嬉しかったのであった!

今年のガラ・ディナー会場には、何故か「ファンキー・バンド」が入っていて、ずっとディスコ・クラシックを演奏し続けると云う、ちょっと煩いパーティーだったが、顔触れの良いテーブルだった事も有り、非常に楽しい時を過せた…ディナーの間中、明日競売に掛かる「南蛮屏風」が売れるかどうか考え続けていたとしても、である(笑)。

さあ、日本文化の力を見せねば!