「スペシャリスト」のお仕事。

京都での仕事は順調で、明治の工芸等をゲット、夜は顧客と食事をして、その後は一緒にカラオケ三昧…これも非常に重要な、オークション・ハウス・スペシャリストの仕事の1つなのです(笑)。

さてカラオケでは、女の子を1人ずつ入れた顧客チーム、孫一チームを作り「得点」を競う事に。

最初は「好きな歌を楽しんで歌おう」的な、和気藹々な雰囲気だったにも関わらず、次第に勝負が気に為り始め、お互いなるべく得意な曲で「得点」を稼ぐ方針に転換…生来の負けず嫌い魂が、垣間見えた瞬間で有った(笑)。

男性軍はレミオロメンやヒロミ・ゴウ、尾崎、永ちゃん、サザンやミスチル等、女の子達はAKBや安室、DAI(「Do As Infinity」の略との事)やMisha等を激唱…しかしそんな中、85点近辺の平均的得点しか出来ない自分が、余りにも小市民的に思えて、激しい自己嫌悪を覚えた。

結局、深夜2時半過ぎ迄掛かったカラオケ・バトルの勝敗の行方は、我が孫一チームの勝利!しかし、顧客チームの女の子が非常に上手で、90点以上を4回も出したにも関わらず敗退した理由は、今此処で云う迄も無かろう…流石丁半の勝負師である(笑)。社長、大変御馳走に為りました!

3時間睡眠の後は、早朝から新幹線と高速バスを乗り継ぎ、日本の「Middle of Nowhere」へ。

某駅からバスで1時間半、初めて行った3つの県境に近い、その科学者と云う顧客のお宅は、深い緑と棚田の美しい地域の山中に在った。

4つの家屋に別れた家は、1つは茅葺き屋根の素晴らしい古民家、1つは焼き物の窯(前のオーナーが陶芸家だったのだろうか)、そして建設中の新家屋と母屋。母屋の入り口を入ると、其処に鑑定査定すべき作品が眼に入った…数体の仏像である。そしてこれ等全てが、オークションに「向かないモノ」だったのだ。

そして顧客に帰りのバスの時間を聞くと、30分後の一本を逃すと、次は何と2時間後だと云う…しかしそれでは、東京で夕方に待つ2つのアポに間に合わない…ので、文字通りの「とんぼ返り」する事に即決した。
行き帰りに都合8時間半掛かった末、現地滞在時間はたったの10分、そして「向かない」作品…此れを「骨折り損」と云わずに、何と呼べば良いのだろう!

寝不足と疲労の極致だったが、しかしこんな日もスペシャリストの仕事では、良く有る事なので有る。

夕方東京に帰ってからは、2人の顧客と会い、その日最後の顧客からは、もう何年越しにお願いしていた作品の出品を決めて頂き、大ハッピー…お祝いも含めて顧客からのご招待を頂き、後輩2人と一緒にディナーへ、と云う事になった。

行った先は、何とビルの3階に在る、お洒落なバーと云っても過言では無い「珈琲店」の奥に在る「豚カツ屋」で、カラッと揚げた旨い鯛や鯵、カツ等のフライを食べ、食後は表の珈琲店で「深煎り」とケーキ。その後は「渋谷の平壌」(拙ダイアリー:「タイム・スリップ的、或いはマゾ的『千本ノック』」参照)に移り、連日のカラオケ。

しかし、この侭夜が終わる筈も無く、この日絶好調の顧客は「行くぞ〜!」と叫びながら、美人ママの居る銀座の「D」へと繰り出した。

此処でも「水すまし」や「アメンボ」等のクラブ芸を披露し披露されながらの、カラオケ三昧…気が付けば、又々深夜1時を廻っていた。

スペシャリスト」とは、ツラい職業で有る(笑)。