「違い」が分かる女。

今朝は何とも気持ちの良い穏やかな朝で、オフィスに向かう足取りも思わずゆっくりと為る。

しかしマイケル・ジャクソンが死んで、早や2年…先週土曜の命日以来、テレビでは追悼番組が多数放送され、例えばMSGでの「芸能活動30周年記念コンサート」等を観ると、マイケルの歌唱力・ダンス・パフォーマーとしての才能と魅力に見惚れるばかりで、彼こそレディ・ガガなど足元にも及ばない「不世出」のアーティストだった事が一目瞭然でわかる。

その「芸能生活30周年記念コンサート」にも出演していた「デイム」・エリザベス・テイラーは、今年3月に逝去、膨大な数の宝石を中心としたコレクションがどうなるのか注目を集めていたが、その宝石、アクセサリー、ドレス、フィルム・メモラビア、デコラティヴ・アート、家具、そして印象派・近代絵画コレクションが、この秋クリスティーズのオークションに登場する事に為った。

デイムのコレクションは、9月から始まる3ヶ月に渡るモスクワ・ロンドン・ドバイ・ジュネーヴ・パリ・香港での下見会ツアーを経て、12月3日から12日迄、此処ロックフェラー・センターで有料一般公開の展覧会を行った後、12月13日ロンドンでの「Legendary Jewels」と銘打たれた宝石イヴニング・セールを皮切りに、もう一回のイヴニング・セール「アイコン&オート・クチュール」を含め、5日間で8回のオークションに掛けられる(印象派・近代絵画は、来年の2月)。

宝石はシンプルなホワイト・ダイヤモンドからカスタム・デザイン・ジュエリーまで、オート・クチュールはヴェルサーチェ、ヴァレンティノやフェレ、また映画で使用されたドレス、そして絵画はアート・ディーラーであった父親から相続したフランス英国素描・絵画など、出品作品は多岐に渡るが、もう一点忘れてならないのは、このコレクション・セールに関わる展覧会入場料、関連イヴェントや出版物の売り上げの一部が、1991年に設立された「The Elizabeth Taylor AIDS Foundation (ETAF)」に寄付される事である。これはデイムが長年に渡り支援してきたHIVエイズ患者への救済を目的とした物で、故人の遺志が尊重された素晴らしい事だと思う。今年のクリスマス時期を彩るそのゴージャスな展覧会が、今から楽しみになってきた!

さて昨晩は、先ずは「髭を生やした」若手目利き古美術商、柳孝一氏のギャラリーへ…昨日から氏のギャラリーで始まった「現代陶芸展」のレセプションである。

今回の出展作は、日本から辻村史朗、フランスからクロード・シャンピー、そしてアメリカらジェフ・シャピロの各作家作品で、茶碗からオブジェ迄色取り取りで眼に楽しい。会場では、最近メトロポリタン美術館の日本美術キュレーターになった旧友ジョン・カーペンターとそのパートナーや、コレクター達等と歓談、楽しいひと時を過ごした。

しかし昨日のメイン・イヴェントは実はその後で、そそくさとアッパー・イーストを後にして急いだ先は、行き着けイタリアンの「B」@チェルシー…日本から来ている、或る「6人連れ」ご家族と食事をする為であった。

そのご家族とは、写真家U氏のご一家。U氏とは某お茶事でご一緒したのがご縁で(拙ダイアリー:「ガチムチでシットリとした『夜咄』」参照)、最近は東京で氏の「縄文的」新作シリーズを拝見したばかりなのだが(拙ダイアリー:「歴史とは『現代の連鎖』で有る」参照)、今回は留学を希望している娘さんの大学見学と云う事で、奥様とお子さん4人を連れ立っての来ニューヨークであった。

道が混んでいて少々遅れて「B」に到着すると、もうU氏一家は着いていて、奥様の元モデルで歌手のKさん、3人の娘さんと一番下の息子さんが皆立ち上がって、ご挨拶…何とも賑やかで有る!初めてお会いしたKさんは、とても4人も子供を育てているとは思えない程今でも「自然で」美しく、本当に気取らない気さくな方で、同世代の気易さも手伝って、最近行ったブーツィーのライヴや「ディスコ話」も盛り上がったが(笑)、お2人の出会いやU氏の「映画少年」時代のお話も大変面白く、「癒し系」のU氏と「チャキチャキ系」のK夫人のコンビネーションが絶妙であった。付け加えると、お子さん達の礼儀正しさに地獄夫婦も脱帽…流石一流のご夫婦である!

自然と映画に囲まれた少年時代を送ったU氏と結婚した都会っ子のKさん、逆に江戸っ子の筆者と結婚した、大自然の中で育ったゲル妻…違うからこそ惹かれる事も有るのだなぁと、つくづく納得した夜であった。

♪ダバダー、ダーバ、ダバダー、ダバダー♪…「違い」が分かる男、もとい、「女」は粋である(笑)。