感じてしまう、「女の声」。

ニューヨークの秋の「Asian Art Week」が終わった。

クリスティーズは、約7580万ドル(約57億6000万円)を4日間で売り上げ、今年のクリスティーズ・ニューヨークに於けるアジア美術の総売り上げは、約1億9300万ドル(約146億7000万円)に登り、昨年度に比べて50%の伸びを見せた。

中国美術は相変わらずの売れ行きであるが、しかしサザビーズのカヴァー・ロットが売れなかった事でも判る様に、中国人顧客達は状態や価格を見、作品をきちんと選び始めている。そして、例えば明時代の作品や唐時代の作品等の価格も、清朝作品の価格高騰に付き合い切れない顧客達に因って、じんわりと上がって来ている…これからも中国マーケットから眼が離せない。

さて、その「Asian Art Week」も終わり、一息吐いている今日此の頃だが、今日は女性の「声」の話。

筆者には、最近非常に気に入っている歌手が2人居て、それは両者とも個性的な女性歌手なのだが、先ずその一人目は「Adele」。

Adele(こちらでは「アデール」と読む)は、23歳とはとても思えない風格を持ったロンドン出身の歌手で、最近の大ヒット曲「Rolling in the Deep」(→http://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&cd=1&ved=0CDgQtwIwAA&url=http%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DrYEDA3JcQqw&ei=tgt1TuPCLcPF0AHAw7HzDQ&usg=AFQjCNEvl4mezLDXUs6DqjUgyBOKPt5yeg)を聴く迄は、その存在すら知らなかったのだが、この曲を聴いてみると彼女のシンガー・ソングライターとしての才能と個性的な声質、声量の素晴らしさに強く心を打たれる。先日彼女のコンサートがBeacon Theatreで開催されたので、どんな手を使ってでも行こうと試みたのだが、一瞬の内にソールド・アウト…彼女の生の声を聴く夢は、未だ叶わない侭である。

そしてもう一人は、今晩Hammerstein Ballroomでライヴを行なう予定の歌姫、「Demi Lovato」(デミ・ロヴァート)。

このダラス出身のDemiは未だ19歳、この歌手を知らない人には、何しろ先ず彼女の新曲「Skyscraper」を聴いて頂きたい(→http://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&cd=10&ved=0CHAQtwIwCQ&url=http%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3Dr_8ydghbGSg&ei=Eg51TtrzCuS40gGtzZTpDQ&usg=AFQjCNGZQUiXoz51BYOW20Oqeid6CjtNDQ)。

数週間前の或る土曜日の朝、この「Skyscraper」のPVを最初に観た時の衝撃は、今でも忘れられない。PV自体は本当に何て事無いのだが、何しろこの若い歌手の声と歌唱力に圧倒され、最後のサビの部分でのシャウトに、思わず胸が詰まってしまった程だった。


You can take everything I have
You can break everything I am
Like I'm made of glass
like I'm made of paper
Go on and try to tear me down
I will be rising from the ground
Like a skyscraper
Like a skyscraper


と熱唱するデミは鬼気迫り、そしてそれは恰も彼女自身がこの「強い」曲を歌う事に因って、自らの「傷」を癒そうとしているかの様で(実際彼女は、かなり難しい性格らしい)、何度聴いても感動してしまう。

この全米ヒット・チャートで1位を取る様な女性歌手2人、DemiとAdeleの個性的な声質、歌唱力や歌詞の素晴らしさ(「Rolling in the Deep」の歌詞も、本当に素晴らしい)を経験してしまうと、日本のヒット・チャートを席巻する下手糞な歌手やその楽曲等は、全く聴くに堪えない。

DemiもAdeleも、こう云っては何だが決して外見がモデルの様に美しい訳でも無く、しかし当たり前の話なのだが、その実力と芸術性に因って聴衆を感動させる…そんな当たり前の話も今の日本のヒット・チャートには無縁の話なのだろう。

個性的で美しい女性の声に、男は一発で参ってしまう。況や、その凄みの有る歌唱力には。