不景気と云う「何処吹く風」。

オークション後直ぐと云うのは、通常なら少しは暇になる物なのだが、今回はどうも中々そうは行かず、夜に為ってからの「カンファレンス・コール」や昼夜を問わないミーティングの連続で、日本の様に連休も無く休みも取れずに、もうヘトヘトで有る(涙)。

そんな中、今朝驚くべき記事を新聞で読んだ…それは「光より早い『ニュートリノ』観測」と題された記事で有った。

記事に拠るとこの驚くべき実験結果は、日欧の国際研究グループが2009年以来、1万5千回に亘って実験をした結果の後、発表したデータらしい。当初「名古屋大等」と云う事だったので、「カミオカンデ」での実験結果かと思ったがそうでは無く、ジュネーヴ郊外の欧州合同原子核研究所での事らしい。

この結果が本当ならば、云うまでも無くアインシュタイン相対性理論を根底から覆す訳で、嘗て筆者が「ニュートリノ」に異常な興味を持っていた頃、ニュートリノ自体に質量が有ると判った時にかなり驚いた事を思い出したが、今回の実験結果は、それとは比較に為らない衝撃である。

発表された実験結果に因ると、ニュートリノは光(秒速30万キロ)より「1億分の6秒」早かったそうで、ウサイン・ボルトと共に「最速」と云う事に為る…お互い「フライング」が無ければ良いが(笑)と期待するが、何しろこれは人類史上の大発見と云えよう。

さて話は変って、就任以来何と「4人目」の日本国総理大臣を迎えたオバマだが、国連総会開催中の昨日、株価が一時500ドル超の下落を見せ、アメリカ経済の不安定さを世界に見せ付けてしまった…来年の選挙が苦しくなるのは必然、世界経済も全く以て先行き不安な今日此の頃だが、昨日発表された毎年恒例のフォーブス誌の「長者番付」(またもや1位は、ビル・ゲイツ!)と、昨夜クリスティーズで開催されたオークション「Artists for Haiti」(拙ダイアリー:「日本だけでは、無い。」参照)は筆者に、そんな不景気は「何処吹く風」と感じさせた。

フレイヴィンや、ブルジョワ、クローズ等の、26名の現代美術家による27作品がオークションに掛けられたこの企画は、俳優ベン・スティラーが設立した財団と、ギャラリストで有るDavid Zwirnerが中心と為り、クリスティーズが全面協力したチャリティー・オークションだったのだが、結果から云えば出品作品は全て売却、総売り上げは何と1370万ドル(約10億5千万円)に上った…チャリティーでのこの売り上げは、大成功も良い所である!

その中でも、100万ドル以上で売れた作品はと云うと、最高価格を付けたデュマス「My moeder voor sy my moeder was (My mother before she became my mother)」の200万ドル、そしてテュイマンスの「Deal-No Deal」(115万ドル)の2点で、ワールド・アーティスト・レコードも、レイモンド・ぺティボーン「No Title (But the sand)」(82万ドル)を含む4人の作家作品に出た。

株式市場は非常に嫌な感じで推移しているが、ニューヨークの「ダイアモンド・ストリート」を通ると、客引き達の「We buy gold!」の煩い声が飛び交い、活況にしか見えない。

「紙っ切れ」に為る危険性の有る「株」よりも、今膨大な金(money)が金(gold)やダイアモンド、そして美術品に流れ込んでいると云うのは、強ち嘘では無いのかも知れない…今の所は、であるが。