「FC1」とコンテンポラリー・アート・ウィークエンド。

来週に現代美術オークション・ウィークを控え、ニューヨーク中がムンク「叫び」捲った今週末は(笑)、先ずはアート・フェアを2箇所訪ねた。

1つ目は、今年から始まったロンドン・ベースのフェア、「Friese Art Fair」。

このフェアは、通常アート・フェアが開催されるアーモリーチェルシー・ピア等とは異なり、マンハッタンからのイースト・リヴァーを挟んだ「Randall's Island Park」に設置された、巨大テントが会場となっている。

35丁目のフェリー乗り場から15分置きに出ているウォーター・タクシーに乗り、窓外の風景を楽しみながら約20分すると、会場の直ぐ近くに接岸。

早速会場に入ると、中はスッキリとしていて広さも丁度良く、換気や採光も抜群…その上カフェの料理も非常に美味で(ここ、重要ですから:笑)、中々に素晴らしい環境で有った。

出展画廊は、中央の通路に陣取る有名画廊のブースが並ぶ「Expensive Street」を中心に、有名無名画廊が並ぶが、ブース構成もスッキリしていて、見逃す恐れがないのも嬉しい。

彷徨い歩く会場では、数多くのアーティストや評論家等の美術関係者に会ったが、日本から出展していたタカ・イシイ、Taro Nasu、小山登美夫ギャラリー等も拝見…久し振りにお会いした小山氏は御元気そうで、岡倉天心や中国マーケットの事等を立ち話し、会場を後にした。

2つ目のフェア、此方はチェルシーの「Center 548」で開催された「NADA(New Art Dealers Association)」。

このフェアはビルを貸し切り、4フロアに渡って小さ目のブースを作った、よりカッティング・エッジ且つ廉価版なフェアで有る。日本からは旧知の「Nanzuka Underground」の南塚君が出展していたが、お世辞抜きに彼のブースが一番良かった事を記して置こう。

またこのフェアの楽しい所は、ルーフ・トップ・ガーデンでハドソン川を見ながら一杯やれる所で、これもニューヨークのフェアならでは、では無かろうか。

そして、オークション・ハウスの「現代美術」の下見会へと足を運ぶ。

ムンクの美酒の余韻に浸るサザビーズの「イヴニング」の目玉は、リキテンスタイン1964年の重要作品「Sleeping Woma(眠る女)」(3000-4000万ドル)。

その他に1000万ドル超のエスティメイトが付いている作品は、ウォーホルの「Double Elvis」(3000-5000万ドル)、ベーコンの「Figure Writing Reflecrted in Mirror」(3000-4000万ドル)、そしてトゥオンブリーの「Untitled(New York City)の4点だが、個人的にはベーコンの「Study for Portrait」(400-600万ドル)やカプーア作品に惹かれた。

しかし、それ以上に素晴らしいのがクリスティーズで、来週の目玉中の目玉と云えばクリスティーズに出品されるこの作品、イヴ・クラインの大作「FC1(Fire Color 1)」で有ろう!

先ずは、何しろこのヴィデオをご覧頂きたい(→http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=yves+klein+fc1&source=web&cd=8&ved=0CHoQtwIwBw&url=http%3A%2F%2Fwww.christies.com%2Ffeatures%2Fthe-making-of-an-icon-yves-kleins-fc1-2310-3.aspx&ei=UH-lT5_CGcPs0gH31ZSgBQ&usg=AFQjCNEDamrwLgWSFo8YLALlziGEggeJog)。

このクライン1962年制作の重要作品のエスティメイトは、3000-4000万ドル…今でもその芸術性と現代性が、一向に古さを感じさせ無いこの「FC1」、一体どんな評価に為るのだろうか?

クリスティーズの「イヴニング」にはクラインの他にも、リヒターが「Abstraktes Bild (798-3)」(1400-1800万ドル)と「Seestück (leicht bewölkt)」(1000-1500万ドル)の2点、ロスコの「Orange, Red, Yellow」 (3500-4500万ドル)、ポロックの「Number 28, 1951」(2000-3000万ドル)、これも素晴らしいニューマンの「Onement V」(1000-1500万ドル)の、計6点が1000万ドル超のエスティメイト作品…「これでもか!」な、名品目白押しのセールで有る。

現代美術イヴニング・セールは、今度の火曜水曜…眼が離せないセールに為りそうだ!