独立記念日がくれた、「逆」バースデー・プレゼント。

今週は「優ちゃん」に関する衝撃的なニュースも有ったが(涙)、近しい2人の誕生日を迎えた「バースデー・ウィーク」でも有った。

月曜日はその1人目、「『反』会長」(笑)こと、ゲル妻の●●回目のバースデー。

今回はゲル妻の希望で、仲の良い友人マルコが経営するユニオン・スクエアの「T」で1杯(2杯、いや3杯…:笑)飲み、その後「T」の数件先に在るマルコのもう1軒の店、「F」で鮨を摘まむ。

食事後は、馴染みのチェルシーの「B」に移り、極く少人数の友人達と「半サプライズ」(笑)のお祝い…「B」特製の美味しいイチゴのバースデー・ショート・ケーキ、皆からの暖かいプレゼントと共に楽しい時を過ごした。

そして2人目のバースデーは、4日の水曜日の独立記念日、云う迄も無く「アメリカ合衆国」の236回目の誕生日で有る。

前日から出ていた雷雨の天気予報と、「アクアホリック号」のオーナーで友人の現代美術家インゴ・ギュンターが、何れ位「彼女」(勿論、アクアホリック号の事で有る…念の為)をフィックス出来るかと云う事が不安材料だったが、独立記念日当日の昼過ぎにはインゴから「何とか為った!」との連絡が入り、天気も持ちそうだったので、例年通りハドソン河に船を出しての花火見物と為った。

A姫とP王子を誘い、料理と飲み物を持って「アクアホリック号」に乗り込むと、1年に1度この日に会う常連達が来ていて、女優の様なロシア人の奥さんを持つ生粋のニューヨーカーの建築家のPに「この1年どうしてた?」と聞くと、「こんな話をしてると、独立記念日は『夏の始まり』と云うよりは、『1年の始まり』みたいだな」と云われ、お互い大笑い。

さてこの日の連客は、少なくともドイツ人のキャプテン・インゴを始め、アメリカ、イタリア、インド、日本、ロシア等の総勢20人程、持ち寄った食べ物もハマス、ワカモーレからメランザーネ迄バラエティ豊か…当然赤白ワイン、プロセッコ、ビール等も用意されて居る。

そして我々「多国籍軍」を乗せたアクアホリック号はPier 40を出航し、スプリングスティーンの「Born in the USA」をバカでかい音量で掛け、客も踊り狂っている様な超イケてない観光船を避けたり、ハドソン河の強い流れに流されて、コースト・ガードに追いやられたりしながらも漸く場所を決めると、定刻の9時20分、花火が始まった。

今回の花火は、例年に比べてスケール・アップして種類も多くなり、本当に華々しい。そして空に散らばる宝石の様な花火と、水面に映る蜃気楼の様なそのリフレクション、そしてもう1つ見逃せなかったのが、その空の反対側の雲間に顔を覗かせた満月で有った。

「月も雲間のなきは、いやにて候」

珠光では無いが、仄かに光りながら雲間に浮かぶ満月は、派手な花火とは当に対極の美と云えるが、その存在感は日本人的感性の中では、決して花火に負けて居ない。

そして例年以上に華やかだった花火が終了すると、我々も移動してアンカー打ち、花火の余韻の残る川面で、静かに飲み始めた…すると、恰もそれを待っていたかの様に雲は晴れ、月が輝きを増した。

が、暫くすると、今度は月の出ている反対側の近く遠くの空に複数の稲妻が何度も瞬き、しかし雨は一滴も落ちて来ないと云う、まるで杉本博司の作品「放電場」の様な、何とも幻想的な光景を眼にしながら、我々は静寂(しじま)の中で、今度は自然の産み出す美を堪能したので有る。

花火と満月と稲妻…アクアホリック号に乗った我々に「July 4th」と云う日がくれた、最高の「『逆』バースデー・プレゼント」でした。