書道家と現代美術家、序でに「あんちくしょう」。

“They always say time changes things, but you actually have to change them yourself” - Andy Warhol


今日は先ず、以前此処でもお伝えした(拙ダイアリー:「『憂国』と『幻想』な日々」参照)、来る11月12日にクリスティーズ・ニューヨークで開催される、「The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts」が所蔵作品を売却する、スペシャル・セール「Andy Warhol at Christie's」に就いての速報から。

お楽しみに「E-Catalogue」を此処に添付するが、このセールは「写真」(→http://christies.scene7.com/s7/brochure/flash_brochure.jsp?company=Christies&sku=NYR276601_SaleCat&config=Christies/eCat-Black_Full&locale=en&image=Christies/NYR276601_SaleCat)、「絵画及びワークス・オン・ペーパー」(→http://christies.scene7.com/s7/brochure/flash_brochure.jsp?company=Christies&sku=NYR276602_SaleCat&config=Christies/eCat-Black_Full&locale=en&image=Christies/NYR276602_SaleCat)、そして「版画」(→http://christies.scene7.com/s7/brochure/flash_brochure.jsp?company=Christies&sku=NYR276603_SaleCat&config=Christies/eCat-Black_Full&locale=en&image=Christies/NYR276603_SaleCat)の3セッションに分かれており、計354ロットがオークションに掛かる予定だ。

価格帯も、エスティメイトの下値が4000ドル(約32万円)の作品から有るので、この「『POPの神様』の作品を、世界中の人が持てるチャンス」を見逃す手は無い!…是非とも参加してみては如何だろうか?

では、もう一つ速報を…アイ・ウェイ・ウェイと云う作家が、如何に「イマイチな」アーティストかと云う証拠を見つけたので(笑)、それをお届けしたい。説明は不要、只これを観よ(→http://www.guardian.co.uk/music/video/2012/oct/24/ai-weiwei-gangnam-style-video?newsfeed=true)…判断するのは勿論、貴方御自身だ(笑)。

そしてオマケの、速報その3。パリに居る義姉Hが、昨晩ダリル(・ジョーンズ)の招待で、ストーンズ50周年記念の「700人限定」ライヴに行って来たとの事…ストーンズの「ス」の字も知らず、興味も聞いた事も無い義姉には、文字通りの「猫に小判」では無いか!ぐおお…何故だぁ?何故Hで、俺らじゃ無いのだ?…OMG、この世は何と不公平に出来ているのだろう!

さて現実に戻る。一昨日木曜日は、最近立て続けに大汗を掻きながら作っているプロポーザルやアプレーザルを何とか終わらせ、日本からのゲストに会う…そのゲストとは書道家武田双雲氏。

日本クラブで開催中のお弟子さん達の展覧会、「Life Is...」の為にニューヨークに来た双雲氏は、旧知のK君からの紹介…初めてお会いした双雲氏は、想像して居たよりも大柄で(184cm.有る、筆者位大きい)、アートに対する考え方や、日本の「アンシアン・レジーム」に対する挑戦意識等に関しても、中々ストレートな意見をお持ちの方だった。

彼は書道家と呼ぶよりも、アーティストと呼ぶに相応しい気がする…お互い忙しい中、何とも話が弾んでしまい、1時間以上も話し込んでしまった。

そしてその後は、日本クラブで開催された、現代美術家西野達氏の講演会へ…そこでは筆者も、ゲスト・スピーカー兼モデレーターとして参加する事に為っていたからだ。

控室で逹さんに会い、前回の「サプライズ」の事等を話している内に時間と為って会場へ降りると、既に満員の人…女性が多いのは、やはり「笑い、暴力」、そして「セクシー」を自身のテーマとする、逹さん人気に違いない。

そうこうしていたら時間と為り、パワーポイントを使った逹さんのレクチャーが始まる。

15年前、ドイツで当時の彼女と制作したと云うの最初の作品から、先日終わったばかりの、「公衆トイレ」を取り込んだ「中之島ホテル」プロジェクト迄の作品が説明されるのを聞いていると、作品自体の基本コンセプトは変わっていないが、その規模や場所、取り込む「対象」が多岐に渡って変化しているのが分かる。

今回の達さんのトークでは、「ホテル」や「ルーム」等のパブリック・アート以外の作品も紹介され、例えば女性がバスの中で逆さ吊りにされ、パンツ丸見えになって居る珍しい写真作品等も紹介されたが、やはり人気は「電柱を部屋のライトに」や「マーライオン・ホテル」の「取り込み型」インスタレーション・アート。

講演開始直後から、達さんが「オレは…」と話す語調に一瞬「凍り付いていた」会場も、次第にその「オレ」にも慣れ、1時間少しの講演中に何回も巻き起こった大きな笑いや感嘆の声は、今回のニューヨークのブルームバーグ市長を始めとする市民、そして世界の、逹さんのアートに対する評価を具現した物だった様に思う。

因みにブルームバーグ市長は昨日の朝、週1回行われる市のトップ達とのミーティングを、達さんの「リヴィングルーム」でしたらしい…日本の何処かの都知事には、絶対に出来ない事請け合いだろう。

そんな達さんの講演の後は、愈々筆者が登場しての「トーク・タイム」。

達さん自身とそのアートの魅力の秘密を引き出そうと、達さんのアートの「公共性」や「暴力性」や「逆転性」、また日本の公的機関の融通の効かなさ、「日本の閉塞感を打破せねばならない!」等の話題を2人で面白く話したが、一般聴衆の前にも関わらず、達さんはハナから筆者を「カツラ!」と呼び、此方も最初は「達さん」と云っていたのが、終いには「達っつぁん」と為ってしまったのが玉に瑕だったが(笑)。

また筆者が聞きたかった、「何故『中之島ホテル』の宿泊代が、一泊8,000円なのか?」と云う問いへの、「一般の人が、無理せずに泊まれる価格だと思ったから」と云う簡潔な達さんの答えに、流石パブリック・アートの旗手だなぁ、と感心頻り。

達さんの講演会は、こうして無事大好評の内に終了し、その後は達さんを始め、日本クラブの担当小林氏やJSの葉子さん、コウスケ君、写真家の山内悠君と東大法科卒で現在コロンビア大に留学中の鈴木君、そしてクサマヨイと筆者で居酒屋に繰り出し打ち上げ…東大率25%の中(笑)、「記憶力」の話やら何やらで、夜中前迄相変わらずの大盛り上がりでした。

そして翌朝、日本のテレビを付けると、石原都知事の辞任会見が映し出された。

80歳にして国政に復帰し、「国民に最後のご奉仕」をすると云う…心意気はご立派だが、2年半も任期を放っぽり投げての辞任では無いか。都民への「ご奉仕」と、あれだけ税金を使い捲ったオリンピック招致は、一体どうする気なのだろう?

破綻銀行の責任も取らず、都民とオリンピックを放り投げ、今度は「我欲の国民」の長を目指す「あんちくしょう」…我欲の人ならではの、この時期の決断は流石としか云い様が無いが、日本にお住まいの皆様に置かれましては、そろそろ「戦争」のご準備をされた方が宜しいかと存じます(マジです)。

「あーあ、ブルームバーグ都知事だったらなぁ…」と思うのは、筆者だけだろうか(嘆)。