「シロノワール」の悲劇、そして「カラーハンティング」。

クソ暑い中(失礼!)、やっと名古屋出張から帰って来た。

久し振りの名古屋では、一緒に行った同僚3人と共に所謂「名古屋文化」を体験…乃ち「味噌カツ定食」や「あずきトースト」、地方での「ブライダル・サロン」での宿泊や「名古屋走り」(笑)等だが、1つだけ悲劇的な後悔をして仕舞ったのだ。

さて、「名古屋」文化と云ってもう一つ忘れていけないのが、「モーニング」…我ら出張四人衆は、せっかくだからと云う事で、泊まっていたK市のブライダル・サロンの近所に在る「コメダ珈琲店」に、仕事前態々タクシーに乗って「モーニング」を食べに出掛けた。

コメダ」は名古屋地区だけでも200店舗以上を誇り、最近では関東にも進出している有名珈琲店で有るが故に、期待が大きかった所為も有るが、メニューで見つけたコメダの「モーニング」は、380円の珈琲を頼むと茹で卵とトーストが「付いてくる」と云う、東京でも有りそうな物で一寸ガッカリ。

が、このままでは帰れない…とメニューを見ていると、サクサクパンの上にソフトクリームが乗っている、「シロノワール」なるデザートが!このメニューを発見した時に、最近「彷徨えるパンケーキ人」と化している筆者の喉がゴクリと鳴ったのは、このダイアリーの熱心な読者なら容易に想像出来るだろう。

結局四人衆で協議の結果、「モーニング」食後にこの「シロノワール」を注文し、シェアをする事に…そして可愛いウェイトレスさんが運んで来た「シロノワール」を皆でつつく。しかしこのデザート、不味くは無いが味にイマイチパンチが無く、正直再びの期待外れ…が、話は此処で終わらない(笑)。

それは可愛いウェイトレスさんが、我々が食べ終わった「シロノワール」の皿を片付けた時の事…皿の向こう側に我々が見つけたのは、表面張力(可愛いウエイトレスさんは、「万有張力」と呼んでいた。言い得て妙、で有る)を目一杯利用した、シロップのなみなみと注がれた小さなミルク・ピッチャーだったのだ!

ヌオゥ、何と云う事だ!何故我々はシロップを掛け忘れてしまったのだ?…この大失態の為に、その日一日中あの小さなピッチャーの事が脳裏から離れず困ったが、「このリヴェンジは、いつの日か必ず!」と、心に固く誓って名古屋を後にしたので有った(&コメダさん、「期待外れ」とか云ってスミマセン)。

さて、長々と「甘いもん」話をして仕舞ったが、今回の来日中も幾つかの興味深い展覧会を訪れた。

江戸博で開催中の「ファインバーグ・コレクション展」では、酒井抱一「屠龍」落款の「立美人図」や、礒田湖龍斎の「紅嫌い」の名品三幅対「松風村雨図」等の懐かしい作品と再会出来たが、三井記念美術館での「大妖怪展」内覧会では、筆者の姿を見つけた関係者の方々に「妖怪現る!」と云われ傷つく…まぁ仕方無いか(笑)。

次にミヅマ・アート・ギャラリーで開催中の宮永愛子展「house」。此方は静謐なのに力強い宮永のナフタリン作品「waiting for」シリーズが、本当に素晴らしい!その中でも「book」や「high-heeled shoes」等は、欲しくて欲しくて堪らなかったが、展覧会初日に殆ど全て売れてしまったそうだ…さも有らん、で有る。

また、サントリー美術館で始まった「谷文晁」展はかなり地味な展覧会だが、集客を度外視した企画に拍手。が、その隣の21_21Design Sightで開催中の「カラーハンティング展 色からはじまるデザイン」が、これまた非常に面白かった!

この展覧会のディレクターは、元ISSEY MIYAKEクリエイティヴ・ディレクター、藤原大氏。そして此処では、氏が自然や都市生活の中で見つけた「色」を、自分で水彩絵具調合して紙片に写し録って行く「カラーハンティング」と云うコンセプトを堪能出来る。

氏の録った「色」は、佐渡島の朱鷺やアフリカの野生ライオンの色から日々の青空迄、「色」のイメージとその多様性を示すが、それだけでは無く、例えば正倉院書物に記載される「色」の再現や、野菜の色の抽出、情報や対象イメージの「色への置き換え」等、国内外の研究・教育機関とのコラボレーション、そして靴や眼鏡等への商品化の可能性も示唆する。また、「カラー・シューティング」等の観覧者参加型の展示も多く、子供から大人迄楽しめる内容に為って居る処も素晴らしい。

猛暑が続く夏、暑気払いに最適なクールなこの展覧会…オススメです!…それに付けても、何でシロップを掛け忘れてしまったのだろう…(笑)。


PS:⇧その後、このダイアリーを読んだ甘いもん通の友人に、「この素人が!」と怒られました…(笑)。