最強のウェイトレス。

今日は先ずは告知から…来たる9月12日〜13日の2日間、「PoNJA-GenKon」のシンポジウムが開催される。

「PoNJA-GenKon」とは「Post Nineteen forty-five Japanese Art Discussion Group / Gendai Bijutsu Kondankai」の略で、現代美術史家富井玲子と現ジャパン・ソサエティ・ギャラリー・ディレクターの手塚美和子の両氏が2003年に立ち上げた、1945年以降の日本の戦後現代美術を「英語圏」にて研究する団体だ。

そしてこの「PoNJA-GenKon」が今年10周年を迎え、それを記念したレクチャー&シンポジウムを開催するのだが、詳しくは此方を(→http://ponja-genkon.blogspot.com/)。

昨今ニューヨーク、いや世界で「具体」「もの派」「ハイレッド・センター」等のムーヴメントの芸術性と、作品価格が再評価されて来て居る今、この内容超充実のシンポジウムを見逃す手は無い…是非参加してみては如何だろうか。

と、云う事で此処からが本題。

先週半ばから週末に掛けての僕の「バースデー・ウィーク」は、「50代の盟友」で「翌日生まれ」の現代美術家、インゴのステュディオで行われたパーティーや、フラット・アイアンにたった1週間前にオープンしたばかりの、ニュー・ウェイヴ・エイジアン・キュジーヌ「K」(脇屋友詞シェフ監修)でのH女史とのディナー、ご近所さんアーティストで有るオスカール一家とのブランチ、素晴らしい気候の下、ダウンタウンのフレンチ・ヴィエトナミーズ「R」での、「前日生まれ」のアーティストと「翌日生まれ」の現代美術史家の卵とのバースデー・ボーイ3人を友人達に祝って貰ったディナー等、多くの友人達から祝福されたハッピーな物と為った。

なので、今回のバースデーには誰も何も「サプライズ」を用意して居なかった筈なのに、全く予期せぬ驚愕の「サプライズ」が「全く未知の人間」に因って齎されたのだ!

それは金曜日の夜、ライターA姫と我ら地獄夫婦で、ダウンタウンのフレンチ・ビストロ「L」にバースデー・ディナーをしに行った時の事だ。

この「L」と云う店はここ1年の内に出来た店で、今回A姫に連れて来て貰う迄、僕等は来た事が無い初めての店だった。そして僕等のディナーは、完璧に覚えたメニューを澱み一つ無く僕等に伝え、フレンドリーなのに礼儀正しく動作もキビキビとして居る、背が高くメガネを掛けた、ブラック・アメリカンのウェイトレスに注文をする事から始まった。

そして楽しいディナーは、彼女の完璧なる給仕に拠って運ばれた「ビーツ・サラダ」、「パテ・ド・メゾン」や「ローステッド・オクトパス」から始まり、「魚介のブラック・フェットチーネ」を経て、「モロカニアン・ラム・チョップ」と「ダック・オ・ポワーヴル」を堪能して、デザートの段に移った。

かなりお腹が一杯だった僕等は、考えた末、結局「アプリコット&シェーヴル・ガレット」を一品だけ注文した後、僕はA姫からプレゼントとカードを頂き、開けて見ると可愛いプレゼントでニッコリ。

そして暫くして、注文した「アプリコット&シェーヴル・ガレット」が運ばれて来たのだが、背の高いウェイトレスが運んで来たのはデザートだけで無く、「花火」の舞い上がる大きな「フェイク・バースデー・ケーキ」も一緒だったので有る!

僕は驚いたが、「まぁ今回も『サプライズ・プロフェッショナル』の、A姫かマヨンセが店に云って置いたのだろう」と思った…が、正面に座った2人の顔をみたら、何と口をアングリ開けて吃驚呆然として居る。

そして花火が上がる中、2人は互いに「そっちがお店に云ったんでしょ!」と云い合って居るでは無いか…結局3人共、顔を見合わせて再びアングリして居る間に、写真も撮れずに花火は終了して仕舞い、その巨大なトイも下げられて仕舞った。

周りのテーブルからの祝福も耳に入らず、狐に抓まれた様な我々はガレットを突きながら、「何故この初めて来た「L」と云う店が、この日のディナーが僕のバースデー・ディナーだと分かったのか?」を討論した。

例えば、偶々店内に僕の知り合いが居て僕を見掛け、サプライズで店に頼んだのだろうか?…はたまたマヨンセかA姫の何方かが、未だに白ばっくれ居るのだろうか?然し、どうやっても理由が分から無い僕等は、最後の手段として、テーブル担当の背の高いウェイトレスに尋ねる事にした。

"How did you know this was my birthday dinner ?"
するとウェイトレスは、
"Ah ha ! My colleague coincidently saw the word of Happy Birthday in the card when you were reading, he told me that and I prepared !"

成る程、僕がA姫からのカードを読んで居る時に(と云っても、ほんの15秒位だったと思う)、他のウェイターが偶々僕の後ろを通り掛かり、カードに記されて居た「Happy Birthday」の 文字とプレゼントをチラ見し、バースデー・ディナーだと分かったらしい。ウィエイターはそれを彼女に告げ、彼女は静かに、然しタイムリーに僕に「サプライズ・プレゼント」を贈ったのだった。

このダイアリーの熱心な読者ならご存知だと思うが、僕達は「サプライズ・パーティー」のプロで有る(拙ダイアリー:「『地獄でドッキリ』:サプライズ・パーティー@地獄宮殿」「プリンセスのバースデー」等参照)…にも関わらず、稀に見る完璧な給仕と、この僕らを此処迄サプライズさせたウェイトレスは、本当にスゴい!

食べ物よりも「最強の『サプライズ』ウェイトレス」が忘れられ無い、思い出深い今年のバースデー・ウィークでした!