2015年宇宙の旅。

東京もやっと涼しく為って来たと思ったら、また夏日…身体が参って来た。

そんな中、重要顧客とのミーティングや食事で「種蒔き」を進めながらも、楽しいひと時も…月曜日は夕方からかいちやうをお訪ねし、先ずは一服頂く。

床には茶席では余り見ない、江戸期僧侶に拠る珍しくも枯れた墨蹟、お茶碗は「初代」の黒平…訪ねる度に驚きの道具でお茶を頂けるワタクシとは、何と幸せ者なのだらう!

かいちやうとは、小一時間程近況等を話し合ったが(然し茶室とは「時」を忘れさせる場所だ…)、日本エレキテル連合のコント「ダメよ〜、ダメダメ」が、そのグループ名と共に如何に優れているかで同意すると、連れ立って近所の中華「S」へ。

この晩は、僕の業界の友人・知人達が集まっての食事会で、今回の出席者は美術誌編集長&副編、アーティスト3名、建築家、アートフェア担当者、公的芸術機関担当者、ベルリン在キュレーター、そして茶の湯者等の12名…楽しい食事会でした。

そして水曜の夜は代官山に向かい、「hILLSIDE TERRACE pHOTO Fair (1)」のオープニング・レセプションへ。

この新しいフォト・フェアは、タカ・イシイやMEM等のおよそ30社のギャラリーや書店、出版社等が参加して居て、トークショウも細江英公鈴木理策石内都森山大道等のメジャーな作家達も参加する充実物、その上ワークショップ等も有り、新しいアート・フェアの気合が感じられる。

そして、このレセプションは確かに多くの人で盛り上がって居たのだが、この日僕が最も驚いたのは、実はフェアに協賛して居る「Space Travel」社のパンフレットで有った。

代官山の女王、別名「ベルナール」に紹介された「Space Travel」社社長のT氏に拠る宇宙旅行の説明を、ギャラリストN君やAさん達とパンフレットを見ながら聞いたのだが、その一番安い旅はパイロットと乗客1人の「準軌道宇宙旅行」フライトで、何とたったの「1千万円」!

さて、この「準軌道宇宙旅行」…スペースシャトルの様な宇宙船は、スペース・ポートの滑走路を離陸した後「58秒」で音速を超え、180秒後にはマッハ2.9に。エンジン停止後、放物線飛行が始まり、高度100kmを超えた満天の星と漆黒の闇の宇宙空間の下、回転する青い地球を眺められると云う。

そして5分間の無重力状態を経験した後、宇宙船は速度を上げて降下を開始し、大気圏突入時に速度を減速させて20秒程4Gを体験、其の後はリラックスして40分間程滑空し、スペース・ポートに帰って来る、と云う旅らしい。

旅行者は一寸した訓練を受けた上で、マッハ3近い速度(F16戦闘機と同じ速度らしい)や4Gに耐えなければならないが、何しろこの価格は物凄く魅力的で、出発はニュー・メキシコ州かカリブ海の島だと云うから、カリブ出発ならばその前後も楽しめそうだ。

1日2便のこのフライトは、来年からの就航を予定して居るが、現在数十人のリストが有り、T氏は7番目の順位だそう。そしてパンフレットには、その他にも「国際宇宙ステーションへの旅:52億円」や「月旅行:150億円」等が有って、何と無く「へー、そんなモンなのか…」と感じて仕舞う位思ったよりもリーズナブルで、僕からすると「ステーション」や「月」はお客さんに勧めてみたい感じすら有る。

そして僕がT社長に「具合とか悪くならないですかねぇ?」と聞くと、社長は「ジェット・コースターが平気なら、大丈夫ですよ!」と仰る…が、僕は実はジェット・コースターが大の苦手なのだ!

そして「でも、『グラヴィティ:3D』をアイマックス・シアターで観た時なんか、『宇宙酔い』しちゃったんですよ…」(拙ダイアリー:「重力とファンク」参照)と云うと、何と社長も「実は僕もなんですよ」と仰る。嗚呼、訓練を受けたと云うT社長ですら酔うのだから、若しかしたら大丈夫かも?…イヤイヤ、無理に決まってる。

と云う事で、フェア後皆で食事をしながら相談した結果、「クラウド・ファンディングでお金を集め、現代美術家N氏を宇宙に送り出し、宇宙空間から実況生中継しながらドローイングを描いて貰う」と云う企画が、何と云っても一番建設的且つ芸術的に素晴らしい、と云う結論に至った(笑)。

「みんなー、観てるー?」と、宇宙から手を振る、或いはニョロニョロの様に怯え、「ムリムリ、助けてー」と叫ぶN氏の姿が浮かぶ様だ!(笑)

「2015年宇宙の旅」は、もう夢では無い。