謹賀新年&「ボーダーレス」で行こう!

新年明けまして、御目出度うございまする。

また皆々様に置かれましては、麗しい新年をお迎えの事と存じまする。そして本年もこのアート・ダイアリー、

隅から隅までズズズイーっと、宜しく御願い申し上げ奉りまする〜。(いよっ、桂屋!)

と云う事で、実家でくたばって居る僕の今年最初のダイアリーは、昨年最後の数日間に出逢った人と作品の事。

さて先日、時間が空いた時に青山のワタリウム美術館を再訪し、磯崎新の「建築外的思考」展を今一度再見しに行った折(拙ダイアリー:「知の巨人の『専門外』展覧会」参照)、久し振りに和多利浩一氏とお会いして話をしたのだが、その時浩一氏に案内されたのが、地下の「オン・サンデーズ」で開催されて居た展覧会「木の声をきく、はなしかける さしものかぐたかはし展」だった。

元々建築を学んで居たと云う作家に拠って造られた、極めて「和」の雰囲気を持つ非常に軽くて精巧な指物は、その制作の為の道具迄をも自分達で創って仕舞う程拘った作品で、そのシンプルなフォルムが魅力的だ…が、僕が最も気に入ったのは、その中でも「叢 Qusamura」と云う「『いい顔してる植物』を探し販売する」多肉植物ショップとのコラボ作品群、「ケッカイ(サボテン家具)」で有った。

この「ケッカイ」は、素朴でミニマルな美しいフォルムの四方台に色々な形状のサボテンがディスプレイされて居る作品なのだが、この四方台の上桟部分にはLEDライトが組み込まれて居て、その光を灯す事に拠ってサボテンを生育しながら鑑賞する、と云う新しい形の「アート」なのだ。

そしてこの作品群を浩一氏に見せられた日から、僕の頭から何故かこの「ケッカイ」が離れず、そしてこれも何故か「今年中に手に入れねば!」と思い続けた末、年の瀬も押し迫った30日にオン・サンデーズに駆け込み、大分売れて仕舞って居た「ケッカイ」シリーズ中から、僕はヒトデの様なサボテンが白石を敷き詰めた白陶碗に植えられた、「瑠璃殿」と名付けられた作品を購入したのだった!

木・陶・植物が組み合わされ、一つの鑑賞すべき「作品」と為るこの新しい「アート」は、今年の僕の心の休息場所に為る事必須…浩一氏の眼に感服です!

ワタリウムの在るキラー通りを後にして僕が向かったのは、表参道のフェティッシュ・セレクト・ショップの「For Your Pleasure」。

此処では以前チンポムに紹介された、レディ・ガガアヴリル・ラヴィーンに愛される新進ファッション・デザイナー、江幡晃四郎氏のブランド「Garter」の展示受注会の最終日を観る。

江幡氏の作品は、相変わらずフェティッシュでボンデージ、彫刻的で、アクセサリーもエロカワイくて魅力的。また店内には、スタイリッシュな所謂ラヴ・コスメやアダルト・トイも並んで居て大変勉強に為ったが(笑)、フォルムが極めて美しくデザインされて居て、其れ等に確りと「美」を感じて居る自分に少々ビックリする。

その後フェチな興奮を抑えながら(笑)表参道から歩いて向かったのは、青山に在る行き付けのイタリアン・レストランの「D」…現在世界で引っ張り蛸の、アーティストと食事をする為だった。

長身でガッチリとした舘鼻則孝氏は、芸大時代の工芸科時代の卒業制作作品だった「ヒールレス・シューズ」を直接世界に向けて売り込み、其処でオーダーをして来たのがレディ・ガガのスタイリストで、ガガに履かれる事に拠って氏の名が世界に知られる様に為った訳だが(拙ダイアリー:「ジャパン・アート・ダイアリー299 & 300」参照)、然し彼の「靴」は単なる靴では無く、「作品」なので有る。

美味いシシリアンを食べながらのそんな彼との話は、現代美術マーケットやコレクター、オークションや古美術、アートと工芸(前述した「さしもの」と同じ様に、彼もヒールレス・シューズを制作する際、その為に必要な「道具」迄自分で作ったと云う)やファッション、デザインとの境界や「ゴッドファーザー」迄多岐に及んだが(奇しくも、お互い一番好きな映画が「ゴッドファーザー」…最近「ゴッドファーザー」ラヴァーが、僕の周りに異常に多い。何故だろう?:笑)、甘党な僕等がデザートを頬張っても時間が足らず、近くのバー「W」に移動し、閉店迄…いやぁ、楽しいひと時でした!

んで、一昨日の大晦日はアーティストの西野達氏&Mさん+Uちゃん宅にて、アーティスト加藤泉氏&A女史、代官山のベルナールと忘年食事会。美味しい前菜から加藤氏持参の地元島根の超ウマ「サヨリフライ」、水炊きを経て神田「まつや」の年越し蕎麦を頂き、僕以外はワインも入って盛り上がる。

が、11時を過ぎると達っつあんパパは沈没し、僕は加藤氏&A女史と共にタクシーに乗り込んで、除夜の鐘を撞く為に谷中の禅寺へと向かった。

友人でも有るH住職にご挨拶した後、寒風が吹く中列に並んで居る最中に年が明け、加藤氏&A女史と新年の挨拶を交わす。そして暫くして順番が来ると、僕等は静かに、然し確りと鐘を撞いた。

2014年の最後の日々に僕が出会ったのは、アート、ファッション、デザイン、工芸、植物、陶芸、建築等の間で縦横無尽に暴れ回るボーダーレスな作品と、それをクリエイトする素晴らしいアーティスト達。

と云う事で、今年の僕の「アーティスティック・オブジェクティヴ」的年頭所信表明は、

「ボーダーレスで行こう!」

に決定…今年も面白い年に為りそうです!