食脳ラストスパート。

数年振りに「脳ドック」を受けた。

クリニックに行くと先ずは血液を取られ、暫くすると検査技師に呼ばれて、認知症を発見する為の「記憶テスト」をされる。

「100から『7』を引き続けて下さい」や、3つの言葉、例えば「電車、桜、ハガキ」を覚えさせられて、幾つかの質問後に「はい、さっきの3つを云って下さい」と聞かれたり、「野菜の名前を出来るだけ云って下さい」(此れが意外と出来ない…トマト、プチトマト、フルーツトマトとか云って仕舞った:笑)、また小箱の中に例えばハサミ、マッチ、消しゴム、切手等の小物が7種類位入って居て、蓋を取って数秒見せられた後に「何が入って居たか、全部答えて下さい」等と聞かれたり…実際焦る質問だらけで、ドキドキする。

その後愈々MRIに拠る脳と頸動脈の検査と為り、頭を固定されて「桂屋さん、頭動かさないで下さいね〜」と釘を刺されたにも拘らず、酷い時差ボケの為耳栓をしても聞こえるあの爆音の中でも爆睡して仕舞い(笑)、その所為で頭が動いてしまったらしく、途中で技師から「桂屋さん、頭動いてますよ!」と注意され、その声にビックリして起きると云う体たらく(汗)。

が、数日後に来た検査結果では無事脳梗塞血栓も無く、年齢に拠る脳の萎縮具合も「年相応」との事で一安心(然し将来ボケたくないなぁ:嘆)。

さて日本滞在も数日と為った先週は、昼も夜も「食」も多忙を極めた。

先ず火曜の夜は、麻布の某中華店で開催された「桂会」…そもそもこの会は「T会」と云う、某美術館学芸員のT女史を顕彰する呑み会の筈だったが、僕が来日中と云う事で、Y女史の提案に拠り急遽名前が変わっての開催と為った。

出席者は現代美術館学芸員のT女史、ギャラリストのY女史とT氏、そしてガブリエル・オロスコのマブダチH女史と僕の5人で、美味しいコース料理で盛り上がったが、今回はアブナイネタが多かったので此処には書けない…悪しからず(笑)。

翌水曜は、近所の和菓子屋「K」で朝イチ出来立ての超ウマ豆大福を手土産に買い、都内某所に在る重要顧客の素晴らしい邸宅に伺う。

書類にサインを貰ったので帰ろうとしたら、ご主人に「お昼を!」と引き留められ、寿司と天婦羅、出汁巻き卵と手打ち蕎麦の大量のご馳走を頂く。

満腹した午後は、都内のホテルのロビーで某女性誌のアート企画の打ち合わせをし(此処では珈琲のみ:笑)、その後腹の減る間も無く、夕方早くから赤坂料亭「T」にて歌舞伎関係者との会食。

素晴らしい懐石のフルコースは9時前に終わり、僕の胃は「おやすみ〜」と欠伸をして居たが(笑)、残念ながらこの日はそれで終わらず、自宅に帰ると22時からのカンファレンス・コールに参加。

翌木曜も都内ホテルの中華「T」で、顧客と蟹卵入りフカヒレスープや黒酢酢豚を堪能したが、この晩は胃を休め、連夜のカンファレンス・コールを熟す。

超多忙だった金曜は、昼前にVIPクライアントのオフィスを訪ね、アート業界&中国マーケットの四方山話をしてから、近所のホテル内の寿司店「K」でのランチ。その後某百貨店の美術部の方と打ち合わせをした後、去年末に大名品を買って貰った顧客を訪ね、素晴らし過ぎる瀬戸唐津茶碗で一服頂きながら、先日到着したばかりの作品を共に拝見する。

シックな応接間で観た「これは将来、文化財に為るっしょ?」な焼物や、「昔から此処に在ったんじゃ?」と錯覚を起こす程床の間にフィットした木彫仏は、嘗て倉庫で観た時とは比べ物に為らない位に、生き生きとして居る…然し前回も此処に書いたが、名品が「在るべき場所」に在るのを拝見した時の感動は、途轍も無く大きいモノで有る。

「嫁入りさせた」作品と別れを告げると、遅い時間からの会食前に、行き付けのカフェ「L」に向かって30年来の友人と久々に会う。

この友人との縁は不思議で、友人に為った10年後位に或る事が切っ掛けでお互いが遠縁だった事が分かったのだが、30年も知って居るともう家族の様なモノで、コーヒーと絶品シナモン・トーストを突っ突いての、2時間に渡る近況報告も苦ではない…その後の代官山「A」での古典芸能関係者との会食では、カニのワカモーレや白子のフリット、平目のパイ包み等に舌鼓を打った。

続く土曜は、朝から新幹線に乗って出張…ランチは顧客に「ダブル」鰻重と、土台に迄栗が練り込んで有る激ウマモンブランをご馳走に為る。

出張から帰ると、夜は某世界的スーパー・スターの靴を作ったアーティストT氏と、西麻布の「H」で食事。骨董やオークションを語りながらの食事は、ブラータから始まり生海老やハンバーグ、最後は味わい深い鹿肉と塩アイスで〆。

で、今回の滞在最終日の昨日は、亡き父の墓参を済ませると実家に母を訪ねて、手料理のコロッケ・ランチを頂き、そしてオオトリ、今回の日本でのラスト・サパーは、久々に会った「代官山の女王」と新橋の寿司屋「S」で。

江戸前のスッキリして美味い赤酢のお寿司を頂き、その後は路地裏向かいの鯔背な昭和バー「P」でもう一杯…女王ベルナールの相変わらずのパワーに、元気を貰いました!

と云う事で、「脳」にも「食」にもラスト・スパートを掛け捲った先週…今日これから、ニューヨークに戻る。