百聞は「実見」に如かず、或いは初の「ZOOM飲み会」。

外出自粛もいい加減ウンザリしてきたが、パチンコ屋や海、ドライヴなどに行く人たちの気がしれない…全く何を考えているのだろうか⁉︎怒りを通り越して呆れるしかないが、そんな中、我が家にも「アベノマスク」が届いた。

作った人に罪はないかも知れないが、不良品も多く回収されて居ると聞くし(一体誰がどの様に検品しているのだろう?)、見た感じ実際僕には小さ過ぎる(正しい付け方のイラストも、子供じゃ無いか!)。また、マスク自体にウィルスが付いて居るかも知れないとの事だから、付ける前に先ずは手洗いしないといけないのだが、これを洗ったら縮み、より小さく為る事必然。

不衛生な不良品も多い上、当初の予算とは比べものにならない90億円で済むとか、全く以って何一つきちんと出来ない政府…ただパニクって居るだけなのだろうが、大問題はこの様な短絡的アイディアを挙げてくる側近と、それを検証すらできない総理に他ならない。

そこでそんな憂さを晴らすべく、日頃たまに集まって飲んでいる作家H氏、ジャズ評論家で医師のO氏、写真家S氏との人生初の「ZOOM飲み会」に参加。

最初参加方法に戸惑ったが、無事参加出来て慣れてくると、お茶しか飲まない僕でもこれが意外に楽しい。話は勿論コロナウィルスに拠る世界の変化、有名ジャズ・ミュージシャンの死、医療崩壊危機、ウィルスの真実などなど…。

終わってから思ったのは、「ZOOM飲み会」の良さは「家飲み」的な良さで、例えば偶に家族が画面に登場したりする楽しさや、店ではちょっと声を潜めて話すかも知れない本音を堂々と云える事で、次は日本やニューヨークに居る仲の良いアーティストや、友人ともやってみたいと正直思った。

然し、こんな新しい細やかな楽しみは有っても、僕の憂さは完全には晴れず、何か巨大なモヤモヤが心を占める…が、そのモヤモヤが何かなのか、このZOOM飲み会で分かった。

それは「この眼で、実物のアートが見れない」と云う事だ。

クリスティーズでも何処でも、今世界がこういった状況では、アート業界が「オンライン・セール」に傾くのは当然…だが、古いタイプで有る僕は、どうあがいても本物・実物を見ないでは居られない。オンライン・セールを否定はしないが、個人的にはアートは見て触って買いたいし、展覧会に行って、この目で本物を観たい。この欲望は、どんなに高画質の画面で絵画を観ても、3Dで立体物を観ても、満足出来ないのだ!

それと同様の意味で、「ZOOM飲み会」はメールやライン、電話とは違い、またカンファレンス・コールと云ったビジネス・オケージョンでのミーティングと異なり、実際に親しい人の顔や表情が見れる利点が有るし、その意味での臨場感があって楽しいが、残念ながらその人の体温は感じられない。

そう、アートも人も「体温」有ってのモノ…それはアウラと云っても良いし、ある意味同じ場所に居るからこそ感じる「同期性」が命。

アートも人も「百聞は一見、もとい実見に如かず」。

人生初の「ZOOM飲み会」で、改めてその重要さを感じた孫一なのでした。

 

追伸:一度洗ったアベノマスクを付けてみた。一言話す度に鼻が露出して仕舞うし、頬の横に隙間も出来て、余りに小さい。政府は「大は小を兼ねる」って言葉知らんのか…。でもこれが、首相以外の閣僚が誰もアベノマスクを付けていない理由なんだろう。閣僚が誰も付けないマスクを、国民がするんだろうか?

 

ーお知らせー

*「NIKKEI STYLE」内「ブックコラム」(→https://style.nikkei.com/article/DGXMZO58642800Q0A430C2000000/)に、拙著に関する僕のインタビューが掲載されています。

*アート・マガジン「ONBEAT」Vol. 12(→https://onbeat.co.jp/onbeat-vol-12/)に、インタビューが掲載されました。

*今月発売の神戸新聞総局発行、明石総局編の書籍「明石城 なぜ、天守は建てられなかったのか」(→https://kobe-yomitai.jp/book/1034/)内の第3章「消えた襖絵を追う」で、僕が嘗てオークションで手掛けた長谷川等仁作「旧明石城襖絵」(この襖に関する拙ダイアリーは→https://art-alien.hatenablog.com/entry/20120723/1343050359)が、綿密な調査と共に紹介されて居ます。美術品の「流転の極み」とも言えるこのストーリー、是非ご一読下さい。

*4月1日発売の「婦人画報」5月号の特集「珠玉の東京50」内、「究極の“東京ギフト”」(→https://www.fujingaho.jp/lifestyle/gift/a32076431/tokyo-gift-snowdome-2004017/)にて、僕のオススメを紹介させて頂きました。また同号内「併読本のススメ」にて、拙著「美意識の値段」が取り上げられました。是非ご一読下さい。

*3月21日付「文春オンライン」に、インタビュー(→https://bunshun.jp/articles/-/36541)と拙著「美意識の値段」からの「怖い話」の抜粋(→https://bunshun.jp/articles/-/36555)が掲載されました。

*3月17日付「日経産業新聞」内のシリーズ企画「アートはビジネスに役立つか」の第5回(→https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57322410X20C20A3000000/)に寄稿しています。大変内容のある本企画、是非ご一読下さい。

*「週間文春」3月12日号内「文春図書館」の「今週の必読」に、作家澤田瞳子氏に拠る「美意識の値段」の有難い書評が掲載されております(→https://bunshun.jp/articles/-/36469?page=1)。是非ご一読下さい。

*3月4日付「日刊ゲンダイDigital」にて「美意識の値段」の書評が掲載されました(→https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/269858)。

*3月1日付ウェッブ版「美術手帖」にて、インタビューが掲載されました(→https://bijutsutecho.com/magazine/interview/21362)。

*2月28日付朝日新聞デジタル「&Ⓜ︎」内のインタビュー、「クリスティーズジャパン社長と映画『ラスト・ディール』に学ぶ ホンモノを見抜く力」(→https://www.asahi.com/and_M/20200228/9915737/)にて、インタビューを受けました。

*2月15日産経新聞内「本ナビ+1」で、永青文庫副館長橋本麻里氏が拙著を取り上げて下さいました(→https://www.sankei.com/life/news/200215/lif2002150018-n1.html)。

*2月15日付日経「新書」にて「美意識の値段」が取り上げられました(→https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55630490U0A210C2MY6000/)。

*1月22日の産経新聞書評欄に、拙著「美意識の値段」が取り上げられました(→https://www.sankei.com/premium/news/200122/prm2001220002-n1.html)。

*「J-CAST ニュース」内「BOOK ウォッチ」(→https://books.j-cast.com/2020/02/12010854.html)、「Bur@rt ぶらっとアート」(→https://kobalog.jp/burart/2020/01/aesthetics-and-prices/)にて、「美意識の値段」が取り上げられました。

*作家平野啓一郎氏に拠る、拙著「美意識の値段」の書評はこちら→https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/review/8124。素晴らしい書評を有難うございます!

*拙著「美意識の値段」が集英社新書から発売となりました(→https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1008-b/)。是非ご一読下さい!

*雑誌「Pavone」54号内の特集「ART: Timeless Value 永遠の価値を求めて」(→http://www.pavone-style.com/culture/art_202001_1.php)で、オークションに就いての取材を受けました。是非ご一読下さい。

藤田美術館の公式サイト内「Art Talk」で、藤田清館長と対談しています。是非ご一読下さい(→http://fujita-museum.or.jp/topics/2018/12/17/351/)。

*僕が嘗て扱い、現在フリア美術館所蔵の名物茶壺「千種」に関する物語が、『「千種」物語 二つの海を渡った唐物茶壺」として本に為っています(→http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033551943&Action_id=121&Sza_id=E1)。非常に面白い、歴史を超えた茶壺の旅のお話を、是非ご一読下さい!(因みに、その「千種」に関する僕のダイアリーはこちら→http://d.hatena.ne.jp/art-alien/20090724/1248459874、今から思えば、これも藤田美術館旧蔵で有った…)

主婦と生活社の書籍「時間を、整える」(→http://www.shufu.co.jp/books/detail/978-4-391-64148-6)に、僕の「インターステラー理論」が取材されて居ます。ご興味のある方は御笑覧下さい。

*僕が一昨年出演した「プロフェッショナル 仕事の流儀」が、NHKオンデマンドで2021年3月28日迄視聴出来ます。見逃した方は是非(→https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017078195SA000/)!

*山口桂三郎著「浮世絵の歴史:美人画・役者絵の世界」(→http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062924337)が、「講談社学術文庫」の一冊として復刊されました。ご興味の有る方は、是非ご一読下さい。