「Love Art & Help Japan」のキャンペーン活動、いろいろ。

ニューヨークにも、やっと春が来た。

昨日は24度を越える非常に暖かい気候で、街路樹の花も開き、道行く人の顔も自然に綻ぶ…そしてその反面、手放しで喜べないと云った、日本の人々に対しての「罪悪感」「隔靴掻痒感」が巻き起こるのも事実で、これも或る種の「被災」であろうか。

都知事選は、石原慎太郎氏が勝った…全く以て東京都民は救い様が無いが、羽田やお台場に原発が作られても、文句を云わない様に。その上「コンピューター監視法案」…日本はどうなっているのだ?

そして昨日クリスティーズは、最近亡くなった故エリザベス・テイラーの宝石等のコレクションを、オークションに掛ける事を発表…総額は1億5000万ドル以上と云われている。

さて「Concerts for Japan」(→http://savejapanbenefits.org/)も無事終わり、もう一つ別グループで頑張っている「Love Art & Help Japan(LAHJ)」キャンぺーン(→http://www.nyartbeat.com/nyablog/2011/03/love-art-help-japan-enjoy-great-art-in-ny-and-donate-for-japan/)に関するイヴェントに、先週金曜日と昨日参加して来た。

先ず先週の金曜日は、アジア・ソサエティーで開催された「Free Concert to Benefit Japan」(→http://asiasociety.org/video/arts-culture/japan-benefit-concert) へ。

このイヴェントはアジア・ソサエティ主催の「フリー・コンサート」と銘打っては居るが、このイヴェントをオーガナイズしたのはキュレーターの手塚女史、流石音楽だけに止まらず、非常に優れたイヴェントであった。

開演の6時少し前に着くと、もうかなりの人が来ていて、知り合いも多く挨拶頻り。そして手塚さんが壇上に上がりイヴェントがスタート。さてこのイヴェントは、「Truthseekers」と云うR&Bのバンドをフィーチャーするが、しかしその間々には、今回の震災やその後の支援活動に関わる、ニューヨーク在住のアーティストや美術関係者8人がステージに上がり、映像を見せながら「証言(Testimony)」をする、と云う企画であるのだ。

「LAHJ」のメンバーでも有り、その可愛いT-shirtを着た手塚さんは、イヴェント開演の挨拶に引き続き、今回の震災で破壊された「文化財」についての自身の「証言」に移ったが、観客は、重要文化財である五浦の六角堂の「3.11の前と後」(完全に消失してしまった)の画像に唖然とした。その後は音楽を挟んで、福島出身のアーティスト2名、放射能をテーマとした作品を作っているアーティスト、森万里子さんの「証言」と続き、Tomo Yagi氏の「被災者応援アート」が解説された。

そして滔々、筆者の出番である。手塚さんに紹介されステージに上がり、暗い客席に向かって持ち時間の3分間に渡り、「Love Art & Help Japan」キャンペーンを説明する。舞台上の大画面に、次々と映し出される各ギャラリーに設置された募金箱のイメージをバックに、この時の為に着てきた「LAHJ」のT-shirtを着ての「証言」…相変わらず英語のスピーチは苦手であった(涙)。

「証言」の「トリ」は美術史家の富井玲子さんで、彼女も「LAHJ」のT-shirtを着ての参加。終演後も多くの人から「このT-Shirt」は何処で買えるのか?」との質問が相次ぎ、これは観客の皆さんに支援の意識を持って頂けたと共に、佐賀関等氏の素晴しいデザインが「アート・チャリティ」としての効果を存分に高めてくれていると云う証左である…嬉しい限りであった!

昨日は昨日で夕方から、「LAHJ」の同士藤高君が主催する、在ニューヨークアーティスト100人に拠るチャリティー展示会、「WE ARE ONE」(→http://www.nyartbeat.com/event/2011/F628)のレセプションに出席の為、アッパー・ウエスト・サイドに在るニューヨーク工科大学へ。

東日本大震災原発放射能問題に苦しむ被災者の方々への救援として、上記アーティストから作品を募り、一点100-200ドルに設定された金額で販売、収益金は寄附されると云うイヴェントである。会場は超満員で作品も「赤丸」続出、大成功のイヴェントであった。

レセプション参加後は、同会場のレクチャー・ルームで開催された、「LAHJ Presents: Dialogue with Mariko Mori and Ingo Günther」(→http://www.flickr.com/photos/61772018@N05/sets/72157626506544590/)を聴講。

アジア・ソサエティでもご一緒した、このキャンペーンの重要メンバーでも有る富井女史のモデレーションで進行したこのトーク・イヴェントは、何とマルチ・アーティストの「DJ Spooky」もゲスト参加し、自身の作品(これが中々素晴しく、目まぐるしく変化するコンピューター・グラフィックスを映し出しながら、チェロとヴァイオリン奏者がそれに合わせて「生」で演奏する)を見せ、日本への愛情や震災被災者への哀悼を述べ、トーク出演の両アーティストは、両名とも「3.11」当日に日本に居た事もあり、震災の生々しい証言と、「自然・地球」に深く関わる彼らのアートに関してのトークを繰り広げた。

今回のこの2つのイヴェントは、単に音楽を聞かせたりアートを見せて売ったりするだけで無く(勿論それも、充分被災者の力に為ると思うが)、ニューヨークならではの多国籍の参加者に、「震災後の日本の現状」や「これは人事では無い」と云った意識を持ち続け考えて貰うと云う、「義援金運動」とは少々異なったアプローチの試みで、非常に有益で有ったと思う。

何時まで続くか、誰にも判らない震災後の日本…ニューヨークから、微力ながらアート界全体での応援を続けて行きたい。