"Scrambled" Bacon@MET.

アメリカン・ブレックファストは、お好きだろうか?

ホテルに泊った時に、美味しい朝食を食べる事は最高の贅沢…昨日は本当に贅沢な展覧会を遂に観た。アメリカン・ブレックファストと云えばオレンジジュース、コーヒーにトースト、スクランブルエッグ、そして「ベーコン」だ。

下らない前置きで恐縮だが、メトロポリタン美術館で開催中の「生誕100年記念ーフランシス・ベーコン展」を観て来た。

一言で云えばベーコンは美味しい、いやスンバらしい!(笑)

彼は狂う「寸前」の天才である。ロンドンでの研修生時代以来ベーコンの大ファンなワタクシは、最近人に会う度に「ベーコン見た?」と聞いてきたのだが、返事は余り芳しくなく「どこでやってるの?試食できるの?」とか、或るアーティストでさえ「ビーコンは素晴らしい場所だよね!」とDIA BEACONと間違えている有様…。

「そんなにベーコンは、マイナーなのか!」「お前等、それでも美術業界の人間か!」等と、「教皇」の様に狂おしく叫んで居たのだが、もうそんな事はどうでも良い…ベーコンを知るには、9月末までに唯METへと走れば良い。

この展覧会は「TATE BRITAIN」で始まり、プラド美術館を経てMETにやって来た、生誕100年大回顧展である。

個人的には'50−60年代の作品が最も好きで、「PORTRAIT」や「CRUCIFIXION」のシリーズが最も素晴しいと思うが、作品から感じる「人間はやっぱり『肉』で出来ている」「画面のこの紐を引けば、全てが溶解するのでは?」「カメラをブラせて撮った、早い顔」と云った安直な感想はさて置き、発狂寸前MAXギリギリ「緊急を要す」この作家は、その驚異的な筆力は云うまでも無く、オレンジやイエローといった狂気の原色使い、そして人間の内面を恐ろしい程に表面化させる「四次元的構図」を以ってして、独自の世界を構築する…こんなアーティストが他に居るだろうか!

さてこの日偶々、今住んでいるアパートに売り部屋が出て居り、オープンハウスになっていたので冷やかしに見に行った。

其処はトリプレックス(3階構造)で、非常に天井の高い吹き抜けの(ロフト2階分有る!)メチャ格好良い部屋で、価格は150万ドル(COOPなのでメンテナンス・フィーも高い)…勿論買えないが、広さ等考えると正直「安い!」と思った。

その反面、展覧会中職業病で「これ幾ら位かな?ベーコン欲しいなー」等と考えても居たのだが、観終った後、妻と「150万ドルあったら、あのアパートとベーコン、どっち買う?」と話し合ったのだが、幸いにも二人とも「ベーコン!」と一致したので有った…150万ドルじゃ、碌なべ-コン買えないけどね(でも、欲しいっ!)。

観てない者は、METへ走れ!(注:その夜は「甘美な悪夢」を見る事、確実。)