曼荼羅、O'KEEFE、そしてGRAHAM。

今日は先ず読者の方に申上げたい事が有るのだが、それは筆者のぺン・ネームの読み方の事である。

筆者の正しい名前の読み方は「かつらや・まごいち」であって、「そんいち」とか「まごかず」とか呼ぶ方が居られるが、それは失礼ながら間違いである。

この名前の由来は、実は極限られた方しかご知らないと思うが、筆者の本名、またNY在住で英語で仕事をしている、と云う事をご存知の方なら、これで読み方の意味が判るかも知れない。もったい振っている様で恐縮だが、人間少しは謎があった方が良い。

さて休日丸一日を使って、幾つか展覧会に行ってきた。

まず訪れたのはMET。今METの日本美術ギャラリーでは、「Japanese Mandalas:Emanations and Avatars」と云う曼荼羅の展覧会が行われている。図像抄や珍しい掛物等が多数出展され、観ても読んでも楽しい。

図像抄の中では、マンドラを描いた鎌倉期の作品が面白く、巻物中色々な印相が図解されているのだが、その印を結ぶ丸っこい「手」の数々は、何故か町田久美の作品を感じさせた。軸物では鎌倉期の「八字文殊」や室町期の「星(北斗七星)」、南北朝期の大般若経の本尊を描いた「般若菩薩」等の各曼荼羅が珍しく、非常に勉強になった。またバーク・コレクションから出展の、例えば「清瀧権現」や「丹生明神」等の「女神たち」も、展覧会に彩と重要性を加味していた。

その後、妻と待ち合わせてホイットニー美術館に移動。ホイットニーではジョージア・オキーフの「ABSTRACTION」、そしてインスタレーション作家ダン・グラハムの展覧会が開催中であった。

先ずはオキーフ。これはオキーフの抽象作品にスポットを当てた展示で、日頃想うオキーフとは少々違った一面を観る事が出来た。具象に行く寸前の、微妙なグラデーションや独特な色彩感覚を駆使した作品は流石で、幾つか「欲しい!」と思うモノも有った。

実はこの展示の中で驚いた事があって、それはオキーフの肉体の事である。この展覧会場中に「写真」のコーナーが有り、その中にスティーグリッツの撮った、若き日のオキーフのヌード写真があるのだが、この写真に写っている彼女の肉体の何と美しい事か。美しい形の乳房、腰の括れ等モデル顔負けである!妻と2人で「イイ体だなぁ…」とオジサンの様に呟いてしまった。彼女の作品は情熱的と見えることもあるが、何となくオキーフの裸体は細く華奢であろう、と勝手に思っていた節があったのでかなり吃驚したのだった。

最後に階上のダン・グラハムの展覧会へ。

結論から言えば、この展覧会は何しろ楽しい。昨今ブームになっている「建築」とのボーダー作品や、メディア・アートなど、この展覧会はかなり充実・ユニークである。鑑賞者2人で入る、鏡とアクリルの部屋でお互いを錯覚させる作品や、またこれも2人の鑑賞者が鏡で連続的に見える部屋に入り、実際の動作をお互いモニターで観るのだが、もう一つ「ビデオ録画された部屋に入る様子」が、実際の動作より数秒遅れて再生され、それも又2人が交互に見る、という複雑極まりない作品等、テクニックもその仕組みも筆者には大変興味深く、先日観たロザーノ・ヘマーとの比較も面白かった。

一日で「マンダラ」から「グラハム」まで…アートは「無限」である。