光臨:金橋大酒楼@紐約市包里街。

日曜の夜は、地獄PIZZAの名残で胃も体も疲れが取れれぬままであったが、友人の中国人カップルの結婚披露宴出席の為チャイナ・タウンに出かけた。

場所は包里街(バワリー・ストリート)にある、中国料理店「金橋酒楼(GOLDEN BRIDGE)」で、嘗て別の中国人カップルと食べに行った事も有るのだが、かなり美味しい店である。この結婚する友人カップルだが、新郎は北京、新婦はブロンクス生まれで、我々との付き合いも長い。

筆者夫婦にとっては、所謂中国人の結婚披露宴は初めてなので、会場に向かうタクシーの中で、AKB48のNY初公演に行っている筈の友人ミュージシャンの事を、「今頃萌えまくってるんだろうなぁ」等と考えつつも、体が疲れている割にテンションは高まっていたのだった。

さて、新婦から事前に幾つかの注意事項を聞いておいたのだが、それを紹介しよう。先ず「初めからガツガツ食べてはいけない」。これは披露宴の料理が、「10コース+デザート2品」のメニュー且つ余りの美味しさの為、初めから飛ばすと後で大変な事になる、からだそうだ。

その2「プレゼントは、キャッシュを赤い封筒に入れる」。これは、中国ではウエディング・プレゼントではなく、日本のご祝儀の様にキャッシュを「目出度い赤い封筒」に入れるのが習慣なのだそうである。そうこうしている内に中華街に着き、銀行でお金を下ろした後赤い封筒を買い、名前を書いて準備万端。さぁ出陣である。

会場に着くと、他の友人達や招待客もかなり集まっていて、350-400人位であろうか。ズラッと並んだ丸テーブルの前には舞台、その脇にはDJブースが有り、舞台には金龍の飾りなどで目出度く装飾され、如何にも「チャイナ」な雰囲気である。舞台前にはウエディング・ケーキが飾って有り、妻とドリンクを貰うと、さてどんなケーキか観に行った。

そこで吃驚…ケーキの上には見慣れぬ人形が!普通ケーキの上の人形と言えば、タキシード姿の新郎とウエディング・ドレス姿の新婦がダンスをしていたりするが、これは違う。何と新郎が新婦をオンブしているのだ。聞くと、これはその晩旦那が妻を寝室に運ぶ様子らしい…オンブして行くのか!?

宴が始まった。司会者が英語と中国語で絶叫すると、あぁ懐かしや、往年のディスコ大ヒット曲CHICの「GOOD TIMES」が流れ、それに乗って新郎新婦の両親が、踊りながらの入場・・・その後カップルの親友たちが続き、「食事前」に親族親友たちのディスコ・ダンスタイム・・こんなのは始めてである!!

暫くすると、お待ち兼ねのディナーが始まった。前菜は焼豚、クラゲ、蒸鶏など。この豚は皮がカリカリ中ジューシーで、死ぬほど旨い。ピッツァで満腹だった事など一瞬で過去の話となり、注意その1も忘れ、ガツガツ食べる。

一皿10人で食べてもまだ余る量であった。次はエビマヨ+メロン+シュガー・コートの胡桃。これが前菜以上に旨い。もうダイエットとか尿酸値とか、コレステロール等と云う言葉も、一瞬で筆者の辞書から消え失せる。メロンと胡桃の仄かな甘みと、プリップリのエビマヨ…嗚呼!

その後は海鼠+帆立のシーフード・プレート、蟹肉入りスープ、揚げた中国風T-BONEステーキ、若鶏丸焼き、ロブスター、蒸し魚、チャーハン、焼ソバ、そして最後にデザートとして抹茶ウエディングケーキと、中華ビスケット。もう怒涛の勢いであった。

さて新郎新婦は、食事中舞台上に担ぎ出されたりして、アトラクションの数々を披露するのだが、これがまたスゴイ。客が会場の何処かで皿やコップを箸で叩き始め、その波は会場全体に及び、コレが合図となって、そうなると新郎新婦は立ち上がって皆の前でキスをせねばならない。こんな事は食事中10回位はあっただろうか。また舞台でのアトラクションは、「軽いエロ」なゲームばかりで、これも中国宴会独特なのではないだろうか。

例えば新郎のズボンの右足内側に携帯を入れ、友人がその携帯に電話を掛ける。1分間電話が鳴っている間に、新婦はその携帯をズボンの外側から弄くって、左足の裾から取り出すのだ。当然携帯は新郎の股間を通るから、その部分で観客は大爆笑するのだ。

これを観ていた隣に座った韓国系アメリカ人は、「これを韓国でやったら、新婦の母親は娘をその場で殺しちゃうだろうなぁ」と、笑いながらもちょっと退いていた。また新婦に目隠しをして座らせ、新郎を含んだ5人程の男の裸の脛をさわらせて、どれが新郎のか当てさせるゲーム等など、小エロ満載で爆笑の渦であった。

この「中国式結婚披露宴」は、何しろ楽しく明るい。エロな部分も、要は「明るいエッチ」なのであって、小難しい偉い人のスピーチは皆無、親戚友人一同ドンチャン騒ぎで、これぞ「無礼講の極み」であった。

音楽はベタベタのディスコ・オールディズやチーク曲、百歩譲ってジプシー・キングズで、何かと言うと新郎新婦や友人たちが踊りだす。最後は御待ちかねダンス・タイムで、MJやSALT'N PEPPAなど、これも「如何にも」な曲で大盛り上がり。結局我々はその途中で帰ったのだが、時計の針は10時半を廻っていた。食欲、性欲等の人の欲望をストレートに表現し、全く気取った所無く客を満足させる「中華披露宴」。イヤー、本当に凄かったです。

筆者は明日から2週間日本出張。次回からは数回に渡り、「桂屋孫一のジャパン・アート・ダイアリー」と為ります。何が起こるか、乞うご期待…再見!!