歌舞伎町の夜。

昨日の東京は、そぼ降る雨のせいで、マフラーと傘を手離せない、何とも寒い1日であった。

久々の来日の為、午前中は溜まった私用を色々と済ませ、ランチは神保町で某古美術商と…。最近の日本の状況や、「東美特別展」の話等を聞く。その後は銀座に行き東京オフィスで、メール・チェックと写真での査定、その後は最初の顧客の元へ。

初っぱなから何なのだが、前回のオークションに出品して頂いた作品が、不落札だった事をお詫びする。不落札の時程、コンサイナーに会うのが辛い時も無いが、事情を説明して詫びる他に、何が出来ると云うのだ(涙)!陳謝の後は、最近の市場の話等の四方山話に終始し、流石に出品のお願いは出来なかった。

コンサイナーの元を辞去し、もう1人顧客に会った後は、食事会の為に久々の新宿へ…と思ったが、前回の来日時にも、新宿には実は2度も来ているので(拙ダイアリー:「ムチムチでサラサラな私」、「『花降る絵画』と『魂の力』」参照)、「縁」の有る土地に為りつつ有るのかも知れない。

さて昨日のメンバーは、作家S氏、某民放報道局長K氏、同局事業部Sさん、そして紐育からのA姫と筆者の5人組。「交番の前」と云う、新宿での待ち合わせにピッタリな場所で集合し、S氏の先導で、いざ出陣!

雨の中、人を掻き分けて歩き続け、着いたのは歌舞伎町の裏道沿いに在る「G」と云う中華料理店。誰かに連れて来て貰わなければ、決して入る事も無いで有ろう、ディープな場所と店構え、そしてガランとした店内…ウ〜ム、流石S氏、歌舞伎町の「王子」である(笑)。

店内を見渡すと、この店は24時間営業らしく、メニューを見ると、各品の写真と番号が付いていて、その番号は何と947番迄有る…スゴい品数だ!と思ったら、番号の始まりは700番台で(それでも凄いが)、頭の中は?だったが、まぁ宜しい(笑)。

注文の方は、馴染み客のS氏に任せたのだが、出て来る、出て来る、旨そうな料理の数々…!「牡蛎入りオムレツ」「ニラ玉チヂミ」「ジャガイモと豚肉の炒め」「豚耳」「クーシン菜」等々、そして極め付け、絶品の「白菜と豚の酸湯鍋」!もう全品須らく美味く、「バラダイス in 歌舞伎町」である!

大満足な料理と共に沸騰した話題は、最近誰と会っても話に出る、「海外に出たがらない日本の若年層」、「日本と英国の皇室」、「綺麗なお天気お姉さん」、「イルカとクジラを食べる人々」等々。

しかしこの店、2時間以上居たにも関わらず、我々以外にたったの一組も客が入って来ない…大丈夫か?と思ったが、この店の掻き入れ時は何しろ夜中と、そして「出前」だそうで、聞けば妙に納得。帰り際、お勘定を見て又もやビックリで、お値段も超バラダイス、結局K氏にご馳走に為って仕舞ったのだが、大変結構な夕食でした…Kさん、有り難うございました!

そして、当然此処で解散になる筈も無く、もう一軒と云う事で、またもやS氏の案内で夜の歌舞伎町へと繰り出す。

ゴールデン街を抜け、到着したのは、五丁目のとある文壇バー(若しくは、芸術家バー)であった。店はこじんまりとした作りだが、大竹伸朗森山大道の作品が壁に掛かり、美しきママさんに拠ると、知己の有る美術史家Y先生や、現代美術家S氏等もいらっしゃるとか…ウ〜ム、流石一癖も二癖も有る客層の店である(笑)。

此処でも話は、「植物の違法栽培」(笑)、「書かされた『始末書』を、そのまま『長編小説』に出来ないか」等、爆笑の連続。下ネタや駄洒落も出始め、さぁこれから、と云う感じで有ったが、夜中前、時差ボケと翌日の朝の仕事を考えた末に、残念ながらリダッツする事に。

新宿の夜は、名残とS氏を残して、更に更けて行った(と思う)。