萩にて。

一昨日から、妻の実家の在る、山口県の萩に来ている。

羽田から宇部山口迄の、1時間半程のフライトを終え、「『ガス欠』と『消えたガソリンスタンドの謎』」事件を無事解決した、義姉のHとゲル妻の迎えの車に乗り、雨上がりの思ったよりも暖かい気候の中、途中「虹」の出迎えも有った、山中の道を萩へと向かう。

この空港から萩への道は、少年時代、毎夏冬休みに東京から列車で7、8時間掛けて着く、秋田の羽後本庄駅から祖母の家に向かう道を、何時も思い出させる。対向車が漸くすれ違える位の、道幅の狭い川沿いの道、こんもりとした山々、点在する民家等、所謂「日本の原風景」に聞こえるかも知れないが、東京の下町生まれに取っては、個人的に「少年期の強い印象」なのである。

道すがら、お昼を食べてから妻の実家へ…皆さんお元気そうで、安心する。この日はその後、萩美術館へ行き見学、久々に旧知の学芸員F氏に会い、旧交を暖め合う。夜は家族で萩名物「河豚尽くし」のご馳走を頂き、その後F氏と居酒屋で飲む事に。

F氏とは、彼が某老舗古美術商で働いて居た頃からの付き合いで、一方的に云わせて貰えば、この業界での「マブ」である。もう時効だが、筆者が新米社員の頃、彼が仕入れたモノを良く見せて貰い、2人でああでも無い、こうでも無いと議論したり、文献を調べて大名品だと分かって興奮したり、非常に楽しい時を過ごしたものであった。久々に会って見ると、当然お互い老けてきたが、中身はそうは変わらない…家族と友人との、楽しい一晩であった。

そして昨日は、何と朝10時過ぎ迄寝てしまい、昼前から漸く活動開始。先ずはお墓参りを済ませ、昼は美味しいうどん屋「どんどん」で「肉天うどん」とカツ丼を妻と半分ずつ頂く。

昼食後は恒例の、「お祖父さん詣で」。来年の2月に、満101歳になる妻の祖父は大変お元気で、新聞で知った海老蔵に腹を立てたり、尖閣諸島問題に憤慨したり、また筆者が美術品の仕事をしている事なども、しっかり覚えている、「センセーショナルな」陶芸家である(拙ダイアリー:「センセーショナルな100歳」参照)。

夏以来お目に掛かったお祖父さんは、とても100歳とは思えぬユーモアと大きな声、「この世の思い出に、アメリカに行きたい」と云う。叶えてあげたいモノだが…その気概や素晴らしい!

祖父宅を後にし、「シーマート」でニューヨークへのお土産等を買い、帰宅後は義父や義姉のスタジオを見学、そして今回の萩滞在の最後の晩餐は、「豚と牛」しゃぶしゃぶ…マジに旨い肉を、ガツガツ頂きました!
年二回の萩帰省で、何時も受け頂く、妻の家族からの温かい持て成し、思わず深呼吸したくなる綺麗な空気、豊かな自然、そして美味しい食べ物…来年に向けて、英気を養う事が出来ました!

今から東京に戻る。