謹賀新年、或いは「地獄のカウントダウン・パーティー」。

(口上調で)
皆々様に置かれましては、新年明けまして、おめでとうございます。

本年もこのダイアリー、何卒宜しく御贔屓の程、御願い申し上げ奉りますぅ。
(真の礼)

と云う事で、ニューヨークも無事2012年を迎えた訳だが、先程やっと起きたこちとら、未だに頭がボーッとしている。

それは何故なら、今からほんの数時間前、早朝5時過ぎに最後のゲスト11人が我が庵(A.K.A.「地獄宮殿」)を後にしたからだ。

そう、昨晩は筆者の10年以上のニューヨーク生活でも初めての、「年越しカウントダウン・パーティー@地獄宮殿」だったので有る!

さて大晦日の昨日は、昼から夜の準備に勤しみ、ゲル妻は眼を三角にしながらも30人分(!)の「ビーフ・ストロガノフ、バターライス添え」や「豚肉と卵のにんにく煮」、「ビーツ・ポテトサラダ」や「ラタトゥイユ」、「カプレーゼ」等を独りで作り上げ、筆者はその買い物、部屋を片付け掃除し、準備は万端。

が、7時半開始と告知したパーティーに、8時半になっても来たのは後輩のM君とAちゃんのカップルだけ…そう云えば、このパーティーのインヴィテイションを送った時に、数人の友人から「大晦日に、42丁目の君の家で『カウントダウン・パーティー』なんて、気でも狂ったのか?」との返信を受け取っていたのを思い出した。

それは、御存知の通りタイムズ・スクエア周辺の道路が閉鎖され、地下鉄の出入りも制限されている事で、タイムズ・スクエアからほんの数ブロックしか離れていない大晦日の地獄宮殿には、アクセスが非常に困難に為る、との予想も有ったからだ。

しかし、そんな事はハナから分かっている…そんな事では挫折しない、根性の有る者だけが来てくれれば、それで良いのだ!(笑)

と思っていたら、その後続々とゲストが登場し、気が付けば結局40人になんなんとする、阿鼻叫喚、そして酒池肉林の宴と化していた(「肉林」だけは冗談ですが)。

今回のゲストの顔触れは、強力サポーターのA姫&P王子のカップルを初め、多くのアーティストと写真家、クラシック・ピアニスト、俳人、映画監督、建築家、グラフィック&ウェッブ・デザイナー、天才ケーキ職人、サウンド・エンジニア、ファッション・デザイナー、キュレーター、コレオグラファー、芸能プロダクション等々…年末と云う事も有り、何時もとはひと味違った面子であったが、何とも非常に盛り上がったのであった!

しかしその中でも、一番のハイライトはやはり「カウントダウン」。

ゲル妻の料理とゲストからの美味しい差し入れ食事の連続で、「ビーフ・ストロガノフ」を食べ終わったのが11時半…しかし肝心の「年越し蕎麦」を、新年に為る前の今から30分以内に食わねば、「『年越しちゃった蕎麦』になってしまうでは無いか!」との筆者の大号令で、急いで大量の蕎麦を茹で、ゲスト全員が一気に食べ終わったのが、11時55分…ギリギリ・セーフ、で有る(笑)。

テレビを付け、皆でクラッカーを持ち準備万端…シー・ロー・グリーンの歌を聞き終わると、テレビ上でもカウントダウンが始まり、あと10秒と為ると皆でカウントダウンの大合唱。

「テン、ナイン、エイト…スリー、ツー、ワン…ハッピー・ニュー・イヤーッ!」

歓声を上げ、クラッカーを鳴らし、各々抱き合って新年を祝う。仲間達と初めて経験する、最高の一瞬であった!

その後は、何ともアメリカンな「ハッピー・ニュー・イヤー・ハット&メガネ」を付けられた、地獄宮殿名物の「ナンディ石像」と共に記念写真を撮ったり、「4ドル・『ジャコメッティ』」(「モディリアーニ」と云ってた人も居たが:笑)や、「半月板『デュシャン』」の解説をしたりと爆笑しながらも、酒はと云えば3リットルのマグナム・ワインを含む赤白、ビール、シャンペン、プロセッコ、梅酒、ラム酒迄、恐るべき消費量で空き瓶の山。

そして、最後の最後まで残ったゲスト11人とは、何故か学生の飲み会の様相を呈し、爆笑に次ぐ爆笑に時間を忘れ、気が付けば5時を廻っていた…。

こうして、怒濤の「地獄のカウントダウン・パーティー@地獄宮殿」は、初開催だったにも関わらず、素晴らしいゲストの皆さんのお陰で、大好評の内に無事終了。

と云う訳で、今回の年越しは例年に無いエキサイティングな年越しと為った訳だが、危惧するのは、今年の正月が文字通りの「寝(たきり)正月」に為りそうな事だけで有る…(笑)。

謹賀新年。