「Asian Art Week」、始まる。

昨日のニューヨークの気温は、何と21度。

その余りの暖かさと、FRBのポジティヴな声明のお陰も有って、株価もドルも冬眠から覚めたかの様に、大幅の上昇…誠に有難い話である。

そして一昨日、春の「Asian Art Week」がスタートし、日本美術の分野でその先陣を切ったのは、フラー・ビルヂング(「ディング」では無く、「ヂング」と書くに相応しい)に在るMika Gallery…東京の古美術商、「祥雲」のオーナーである関美香さんのニューヨーク店である。

今回のラインナップは、藤原期の男神像や懸仏、版本当麻曼荼羅図や経筒等の、関さんご専門の神道仏教美術品の数々。特にその「男神像」は素晴らしい作品で、こちとら、涎が垂れるのを押さえるのに必死であった(笑)。

夜は後輩M君を伴って、2軒のギャラリー・オープニングへと赴く。

先ずは、64丁目のタウンハウスに在る「Erik Thomsen Asian Art」。このビルには、クリスティーズの卒業生で今や印象派・近代絵画の大御所に為った「Eykyn MacLean」や、日本を含めた現代美術を扱う、こちらはガゴシアンの卒業生「Fergus McCaffrey Fine Art」が入っている、所謂「ギャラリー・タウンハウス」なので有る。

今回のエリックの出展は、古美術から近代作品、彼の奥さんの描く現代美術迄、様々…個人的には、白隠さんの「達磨図」が、珍しい横幅の構図で好きだった。

エリックの所で会ったAsia Society Galleryのキュレーター、手塚女史と共に64丁目を後にすると、今度は71丁目の若手超目利き古美術商、柳孝一氏のギャラリーへ。

エレベーターを降りると、ギャラリーは大勢の人で賑わっていたが、先ずは狩野探幽の「破墨山水図屏風」一双が眼に飛び込む。左手奥の部屋には、乾山の色絵大皿や藤原期の木造不動明王像、星曼荼羅図等が置かれ、流石!のラインナップ。

パーティーに来て居た人々も、美術館学芸員やアーティスト杉本博司氏を含むコレクター、ディーラー等多彩な顔ぶれで、これも流石!の柳孝一氏で有った。

そして昨日は昨日で、複数の重要クライアントが「下見会前の下見」に訪れ、今回の目玉の「洛中洛外図屏風」や「乾山銹絵獅子香炉」等を観せる。

この「下見会前の下見」は、勿論当社と付き合いの長い「重要顧客」のみに許される特権だが、例えば、下見会期間中に会場に来れない、他の客を気にせずジックリと作品を観たい、どの作品に興味が有るか他の顧客に知られたくない等、その理由は様々。

さてさて、今日は夕方にプレス・ビューイングが行われ、明日からは、愈々下見会が始まる…頑張らねば!


「クリスティーズ下見会スケジュール」
3月16日(金)10:00−17:00、17日(土)10:00−17:00、18日(日)13:00−17:00、19日(月)10:00−17:00、20日(火)10:00−17:00。

入場無料・何方でも入れます。また17日(土)には、13:00−14:30の間、筆者が行う日本クラブ主催に拠るギャラリー・ツアーが有ります(これは有料)。参加ご希望の方は、日本クラブ・カルチャー講座迄。