クリスティーズ・ジャパン「40周年記念展覧会」開催。

ニューヨークより寒い東京にやって来た。そんな中、嫌なニュースが2つ…。

先ずは、最近のボーイング787の事故多発。これだけ飛行機に(そしてANAに)乗る身に取っては、本当に恐ろしい。早急な原因究明と対処を期待さい。

そして、オバマが議会に提出する「銃規制法案」に共和党が反対しているとのニュースを読んだが、彼らの言い分は、考えられない程バカバカしい。「銃を持つ『権利』」?…そんなに「権利」が大事ならば、イランや北朝鮮の「核保有の『権利』」も認めてやれば良い。若しくは小学生位に為ったら、授業に「射撃」でも入れるか?

そんな憤懣やる方ない中、昨日は亡き父の最初の命日。時差ボケの早起きを利用して墓参をし、実家の母を訪ねた。しかし、「1年」が経つのは何と早い事か…「時」だけは人の気持ちを無視し、容赦無く流れて行く事を実感する。

そして今日から、「クリスティーズ・ジャパン『40周年記念展覧会』」が始まった(20日迄)。

今年はクリスティーズが日本で開業してから、丁度40年。因みに東京オフィスは、ニューヨーク・オフィスよりも何と3年も早く開業した!…クリスティーズが、如何に日本のマーケットを重要視していたかがわかるだろう。

その40周年を記念しての今回の展覧会には、ニューヨーク、香港、ヨーロッパ各地からシニア・ディレクター達が来訪し、展示作品も大名品のモディリアニやマグリットルノワール等のロンドン印象派・近代絵画セールのハイライト、そしてニューヨークからは3月のアジアン・アート・ウィークからの日本・韓国・中国・東南アジアのハイライトが出展されて居る。

その中でも中国美術では、静岡の佐野美術館から出品されて居る旧重要美術品「青銅蛇鱗文豆」や、清朝乾隆年間銘「黄地青花獣耳瓶」等、東南アジア美術では12世紀のチベット・タンカやガンダーラの仏頭、また筆者の3月20日開催のセールからは「高麗青磁象嵌柳下人物文瓜型水注」や「李朝染付十長生図面取瓶」、横山大観の大作屏風「松鶴図」(絹本著色・六曲一双)の計3点。

またオークションには出品されないが、クリスティーズが今力を入れて居る「プライヴェート・セール」の為の、南北朝期「春日宮曼荼羅図」掛幅、そして「特別出品」として、河鍋暁斎畢竟の大名品「大和美人図」「紙本著色・押絵貼二曲一隻屏風)が出展されている。

この「大和美人図」は明治17-18年に掛けて、暁斎の弟子で「三菱一号館」ビル等の建築家、明治政府お抱え外国人のジョサイア・コンドルの目前で、画の技法を教えながら完成させた有名な作品で、暁斎の最高傑作との誉も高い。

浮世絵、そして狩野派も極めた暁斎らしく、「寛文美人画」的美人図の背後には、狩野派の「農耕図屏風」が描かれ、そのテクニックの凄さを実感できる。尚この作品は、暁斎からコンドルに寄贈され、その後コンドルの家族に伝来した後、2000年のクリスティーズ・ロンドンのオークションに出品され、現在は個人所有となって居る。

夕方からは、VIPクライアント数十名を招待しての内覧会レセプション。個人コレクターを中心に集まった、西洋絵画・東洋美術の有名コレクター達と作品を鑑賞しながら一杯やった後は、レストランでのシッティング・ディナー。

何時も思うのだが、日々全く異なるビジネスで財を成した人々が、美術品を通じて出会い、食事をしながら話に花を咲かせる…美術品の価値とは、やはり人有っての物なのだ。

キャンドルの灯りが揺れる中、VIP達とのディナーは和気藹々と終了…サイズと云い、段取りと云い、スッキリとした非常に良い会であった。

昨年秋、丸の内の重文ビル「明治生命館」に移転し、現代美術家杉本博司の手に拠って「和洋折衷ミニマル」とでも呼ぶべき内装を施されたクリスティーズ・ジャパン…和と洋の芸術と顧客を結ぶ、日本の新たな拠点としての期待が高まった1日でした。


ー筆者に拠るレクチャーの開催告知ー

日時:2013年2月9日(土)午後3時半-5時
場所:朝日カルチャーセンター新宿
講演タイトル:「渋谷の『白隠』と海を渡った『白隠』」
講座サイト:http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=188251&userflg=0
展覧会サイト:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin.html

奮ってご参加下さい!