「勇気回復」は、週末のダウンタウンで。

やっと、週末がやって来た。

前回記した様に、今回の「日本・韓国美術オークション」は最悪の成績で、ここ数日誠に酷い気分で有った…が、しかし「最悪の状況」と云う奴は、何時も何か大事な事を気付かせてくれるので、実は得る物も多い。「平穏状態」って奴は実に曲者で、人に変化を求めないからだ。

さて、長い眼で日本美術マーケットを見ると、今の侭では唯でさえ薄い顧客数も確実に減り、高齢化しているコレクター層は、若年層コレクターの参入が無ければ更に高齢化し、マーケット自体も150%の確率で尻窄みに為る事だけは、自明の理。

そんな事をオークション当日の夜以来、例えばオランダ人の業者とは暖かな陽射しの下、マディソン街の路上で20分程、また「キング」と呼ばれる日本人若手目利き古美術商を始めとする、日本の業者達とは夜のバーで数時間に渡り、はたまたアメリカ人業者とはそのギャラリーで小一時間、と云った具合に、日米欧の業者を中心とした数多くの人々と、今回の日本美術セールの反省点、マーケットの将来に就いて話し合って来た。

結果、今此処に詳細は明かせないが、筆者はこの秋にでも、或る挑戦をしようと決意したので有る。

これは、今の「日本」にも「日本美術業界」にも必要な、極めてドラスティックな改革で、勿論失敗するかも知れないが、この改革の必要性に関しては、もはや選択の余地は無い。云ってしまえば、「安土桃山時代」の日本人の精神を、この21世紀に再現せねば為らない、と云う事だけを云って置こう。

そんな思いの中、天気が良く、本当に久々の休日だった昨日の土曜日は、ゲル妻を伴い、来週日本に永久帰国してしまう友人T君と「送別ブランチ」をする為に、ノリータのクールなホテル、「JANE HOTEL」内の「Cafe Gitane」へ。

この「Cafe Gitane」は、モロッコ風内装と、クスクス等のアフリカ風料理をモダンにアレンジした美味しい食事が売りで、味も雰囲気も中々素晴らしい。

エスニックな料理を摘まみながら、ジャズやブラック・カルチャーに詳く、最近プロレスラーのテーマ曲(例えばミル・マスカラスの「スカイ・ハイ」や、「猪木のテーマ」等)をジャズで演奏するCDを企画したT君と、これから如何に「日本」を世界で売り、認めさせて行くかを語り合ったが、T君の様な人材はこれからの日本では殊に貴重に為る筈だから、是非夢を叶えて欲しい…T君、ガンバレ!心から応援しているぞ!

そして食後はソーホーに向かい、筆者が唯一洋服を買える店「T」に行き(拙ダイアリー:「ボクの『ファッション・ウィーク』」参照)、高校生の時に「スミス」や「ディッキーズ」(だっけ?)の「ペインター・パンツ」を買った以来の「原色」のパンツ、そして淡い色合いの可愛い靴を、馴染みのゲイの店員達に弄くられながら(笑)、汗だくに為って購入。

夜は、これまた久し振りに会う作曲家のにしなあやさん、「チボマット」の羽鳥美保さんと、ロウワー・イースト・サイドの「D」での飲茶ディナー。

数々の飲茶や、「ガーリック・フレーク・チキン」等を頬張りながら(このフレークをご飯に掛けて食べるのが、これまた旨いのだ!)、日本や被災地の「今」、音楽、延いてはUFO目撃談等に就いて話す(拙ダイアリー:「共有する『知の体験』」参照)。

アーティスト達との食事会は何時も楽しく、皆「Cibo Matto」(「Crazy food」の意)の名の通りに食べ続け(笑)、時間も「憂鬱さ」をも忘れさせてくれた。

茶店を出た後は、4人でブラブラと歩いていたのだが、ふと気付くとエリザベス・ストリートに居たので、ムラムラと悪戯心が芽生え、A姫の住む通称「エリザベス宮殿」に行き「ピンポン・ダッシュ」をする事に。結局、A姫とも久々に話す事が出来たのだが、A姫、寝る前の突然の襲撃、大変失礼しました!

今週は、筆者に取って本当に憂鬱な1週間だった訳だが、友人達のお蔭でほんの少しだけ、一から出直す「勇気と元気」を取り戻した、ダウンタウンでの土曜日と為った。

云う迄も無いが、持つべき物は「友」と「旨い物」(笑)である。