中国絵画、未だ強し。

一昨日、30度を超える蒸し暑い香港に来た。

さて、久々の香港からのレポートは、「アジア20世紀&現代美術」のセール結果から。

2日間に渡って開催されたこのカテゴリーのセールは、総額6億2947万8450香港ドル(約64億4000万円)を売り上げ、売れた作品の60%はエスティメイト上限を超え、1000万香港ドル超で売れた作品を32点記録して終了した。

先ずは、そのイヴニング・セール。

45点のオファーで41点売れ(91%)、ヴァリューでは96%、総売り上げは3億6200万香港ドル(約37億円)。トップ・ロットはサンユー(「常玉」)の「ガラスの花瓶に入った青菊」で4770万香港ドル(約4億8800万円)。

日本人作家では奈良美智の「Berlin Barack, Room 1」が1130万香港ドル(約1億1600万円)で売れ、上位8位に入り気を吐いたが、トップ10入りの全てがUS100万ドルを超えて「アジア個人」に売却された、強いセールで有った。

翌日の「アジア20世紀美術デイ・セール」は、217点中185点(85%)売れ、1億7049万5250香港ドル(約10億9500万円)を記録。

続く「アジア現代美術デイ・セール」の方は、294点中211点(72%)売れ、総額9722万3500香港ドル(約9億9500万円)。

このセールのトップ10中、日本人アーティストは草間彌生の「Pumpkin」が314万香港ドル(約3200万円)で6位、奈良の「Drum」が242万香港ドル(約2470万円)で10位に入った。

そして「中国古画及び書蹟」のセール結果。

164点中141点(86%)、ヴァリューでは91%売れ、売り上げは2億511万1250ドル(約21億円)。

トップ・ロットは董其昌の、乾隆帝嘉慶帝の所蔵印付の書巻「行書李白詩篇 」で5778万香港ドル(約5億9000万円)…「アメリカ個人コレクター」が買ったとの事だが(これが買えるのは、「あの人」しか居ないだろう!)、香港での中国美術の如何なるセールでも、「アジア」以外のバイヤーをTOP10で見付けるのは困難だから、甚だ貴重で有る。

最後に、昨日開催された「中国近代絵画」の結果を。
407点中372点売れ(91%)、総額4億5417万2750香港ドル(約46億8700万円)を売り上げ、トップ・ロットはお馴染み「チャイニーズ・ウォーホル」こと張大千の「Separation」で3426万香港ドル(約3億5300万円)…張大千作品は相変わらず強く、この作品を含め、5作品がトップ10に入った。

そしてもう一つの近代絵画セールは、「Grandiose and Mysterious-Magnificent Paintings by Cui Ruzhuo」。

この崔如琢のコレクション・セールの結果は、28点中26点売れ、売り上げは1億2300万香港ドル(約12億5800万円)、トップ・ロットは「Beautiful Spring」で2306万香港ドル(約2億3600万円)で有った。

相変わらずの、恐るべし強さを誇る中国絵画マーケット…今日の「器物」の結果は如何に!?