愛する事に関しては女はプロで、男は素人である:「モテキ」@Japan Society。

先ずは、呆れて開いた口が塞がらないニュース。

新聞に拠ると、石原都知事がロンドンへ15日間の五輪視察に行くらしい…が、使う経費が9人で何と「7800万円」だそうだ。計算すると1日1人「57万7000円」…前回も電通にオニの様な金額を払った末に落選したばかりなのに、全く以て信じられん。

この「五輪ボケ老人都知事」には、速やかに「天誅」を下さねば為らないだろう。

さて、9月のオークション・カタログのデッドラインが近付いて居る為、先週末は土日共に休日出勤。そんな土曜の夜は、アーティストの友人I氏と共に、ジャパン・ソサエティーへ映画を観に行った。

この日観た作品は、今月から始まったジャパン・ソサエティーの、フィルム特集企画「Japan Cuts」の目玉の1つ…大根仁監督、森山未来長澤まさみ主演の「モテキ」。

会場に着いてみると、原作はバカ売れコミック、テレビドラマ・ヴァージョンも本作も日本では大ヒットだった事、そしてこの晩、何と2泊4日での電撃来ニューヨークの、長澤まさみ本人が舞台挨拶に来ると云う事も有って、チケットは全てソールド・アウト。日頃は日本人の姿も決して多くない「Japan Cuts」も、この晩ばかりは多くの日本人の姿も見え、超満員で有った。

そして上映に先立ち、J.S.のフィルム担当ディレクター、サムと共に舞台上に現れた「ナマ」長澤まさみは、本作品に於いてニューヨーク・アジア映画祭の「Rising Star Award」を受賞したそうで、その表彰も行われたのだが、ナマ長澤は誠に可愛い小顔で背が高く、スラリとした素晴らしいスタイル…ウーム、正直云ってかなり可愛い!

が、見る角度の所為も有ったのか、下腹がポッコリと出ている様に見えてしまうデザインのワンピースを着ていて、あれは何だったのだろう?夏なのだし、もっと軽い服にすれば良かったのに、あれではまるで妊婦の様に見えて仕舞い、抜群のスタイルが台無しで有る。

そんなこんなで、前振りの女子グループに拠る和太鼓演奏の後、万雷の拍手の中「モテキ」が始まった。

話は、モテないオタクの幸世(森山)が、ツイッターを通してみゆき(長澤)と知り合い、2人は初めてのデートで飲んだ後ベッド・インするが、「セカンド童貞」の幸世は、エッチを出来ずに終わってしまう。

その後幸世は、みゆきを始めその友人のるみ子(麻生久美子)やガールズ・バーで働く愛(仲里依紗)との絡みを経ながら、結局みゆきへの想いを確認するのだが…。

みゆきに恋をし、街中で浮かれて幸世が走り踊り出すシーンでは「Baby Cruising Love」が流れ、Perfumeご本人達も登場…ちょっと「(500) Days of Summer」や「ミロクローゼ」の熊谷ベッソンのシーンを彷彿とさせる(拙ダイアリー:「出でよ、『熊谷ベッソン』!:『ミロクローゼ』@Japan Society」参照)。

また、幸世が1人で喋り捲る「自問自答」セリフの百連発や、例えば芥川龍之介の「恋愛は性欲の詩的表現である」や、三島に拠る今日のダイアリー・タイトル等の、文豪達に拠る恋愛格言が街路やビルに投影される場面、カラオケ画面を使っての演出等、ユーモアとスピード感溢れる展開は、かなり面白く爆笑を誘う。

そして上記「Perfume」や「ピエール瀧」等の、劇中生出演して居るサブカル系ミュージシャン(あと筆者が知っていたのは、、エンド・ロールに出て来た「スチャダラパー」位だ)や、今回初めて知ったバンド「女王蜂」のインパクト、劇中フィーチャーされる懐かしい曲(大江千里B’z)も楽しいが、何と云っても忘れてならないのは、森山の過剰な「童貞・オタク演技」と超キュートで可愛い長澤に、勝るとも劣らぬ程この作品を支えた、幸世の上司役を演じたリリー・フランキーなのだ!

筆者はリリー扮するこのキャラが大層好きで、「つーか、何アレ、幸世みたいな奴、有り得ねーだろ…マジイラつくし、キモくね?」(「モテキ風」に書いてみました…)と云う感じで、幸世がエッチした末に「重い」と云って振ったるみ子とイタしてしまう所や(暴言、大変失礼しました…)、レミオロメンの「粉雪」を人の迷惑顧みずカラオケで激唱してしまう所等、「バブル世代肉食系」の残党オヤジとしては他人とは思えず(笑)、痛快至極なので有った!

だが残念な事に、この作品の後半は「純愛路線」に入ってしまい、打って変わってスロー・ダウンして仕舞う。

みゆきは、実は妻子有るカリスマ・イヴェント・プロデューサーの愛人としてその男と同居して居るし、るみ子は自分を振った男の上司と寝、愛は前の旦那との子を育てながらガールズ・バーで逞しく生きている…(余談だが、愛の母親役を「涙の第三京浜」の「りりィ」が演じている!)、なのに、結局一番脆く自己中且つ「重い」のは、男の幸世。

そして、ラストがハッピー・エンドな事も含めて、この辺が個人的にはイマイチなのだ。

これが日本の若者の恋愛事情の「今」だとは分かっては居るつもりだが、あの泥の中で幸世とみゆきがキスするハッピー・エンド・シーンは、個人的には、みゆきが不倫同居して居るイヴェント・プロデューサーに二人の間に割って入って貰い、「テメエ、キモい上にアメえんだよ…ウラッ!」と幸世を殴り飛ばして、みゆきを奪還して欲しかった(笑)。

上映後、質疑応答で再び舞台に上がった「ナマ」長澤まさみは、劇中の役がスーパー可愛かった所為も有り、それも女優と云う物なのかも知れないが、上映前程のオーラは感じなかった…が、スティル、かなりの勢いで可愛いかった(笑)。

がしかし(笑)、映画鑑賞後「我等の『モテキ』も、せめてもう一度!」と、同い年のI氏と共に居酒屋で誓ったマゴイチは、やはり生涯「優ちゃん会」派所属をも誓ったので有った(笑)。