3週間遅れの「サプライズ」。

然し、暑過ぎる…この暑さは真に犯罪的。

そんな最近は、3つのイヴェントで盛り上がったのだが、今回は時間を逆行して記してみたい。

先ず昨晩は、白金アート・コンプレックスのオープニングへ…アラタニウラノの「小西紀行『人間の行動』」展や、山本現代の「『トロリ』原真一」展、ロンドンギャラリーの「鈴鹿哲生展」を楽しむ。

小西の絵画は、何処かベーコンを思わせる人間の肉体表現と、力強いブラッシュ・ストロークが魅力的。また「瀟湘八景図」をモチーフとしたサイバー感溢れる鈴鹿の四曲屏風は、コンピューターの基盤を感じさせる斬新な物で、原の重厚且つ作家の想いが溢れる大理石作品もパワフルで、それぞれの個性が際立ったオープニングで有った。

…のだが、そのレセプション会場で会った何人かの人達から、「お誕生日、オメデトウございます!」と云われ、ビックリ!何故なら、僕の誕生日は3週間前に終わって居たから…が、その理由は後で分かる。

さて一晩置いた木曜の夜は、現代美術家杉本博司氏の新作展「On the Beach」のオープニング・レセプションの為、ギャラリー小柳へ。

この「On the Beach」シリーズは、1990年にニュージーランドで「海景」シリーズを撮って居た杉本氏が砂浜に打ち上げられて居た「正体不明の物体」を見つけた事に始まったとの事。そしてモノクロームで儚げなこのシリーズは、アーティスト自身が

「私は誰も居ない砂浜で孤独な作業を続けて居るうちに、文明は終わってしまったのではないか、という錯覚にとらわれた。形あるものが腐食して行く様は凄まじいと同時に美しくもある。」

と述べる様に、これは正しく人類の「記憶の風化」で有り、最近氏がパリの展覧会で表明した「世界の終わり」を表す作品群だ…絶望と退廃の美しさを堪能出来る展覧会で有った。

そしてレセプション後は、恒例のカラオケ・パーティーに参加。今回の会場は、銀座一丁目のカラオケ・スナック「L」。此の店は雑居ビルの地下に在るのだが、外階段から降りた所の店のドアが開くと、客の大熱唱が路上迄聞こえると云う、今時珍しい超昭和な店だ(笑)。

そしてコレクター、メディア、建築家、ギャラリスト、キュレーター等のアート関係者20人を超える参加者の熱唱は、杉本氏の昭和歌謡は元より、若い建築家H君のダンス付きV6の熱唱から、K女史のセクシーな「チョメチョメ」ソング、代官山女王のプロ並みの明菜、社長O氏と杉本氏のデュエット「浪速恋しぐれ」、もう一人の社長F氏のパリの香り漂う「恋人も濡れる街角」、僕と杉本氏が最近芸術的至高を目指しているデュエット曲「金がない(『傘がない』)」迄ノリノリだったが、序でに全く関係ないお客さんに因る空前絶後な爆笑「巻き舌版・喘ぎ声(『天城越え』)」も加わり、最後はこれも恒例「君が代」で終了…皆さん、素晴らしいエンターティナー振りでした!

そして話は、その前日水曜の夜へと遡る。

その日僕とマヨンセは、マヨンセの実家の萩から東京に戻って来た。然し飛行機が遅れた上に、高速道路が渋滞し、その晩超楽しみにして居た飲み会に30分以上も遅刻して仕舞ったのだ。

その飲み会の参加者は、先ずはヘルシンキでの展覧会も大好評だったアーティストN氏+ご懐妊中のギャラリストMさんを中心に、代官山の女王、ギャラリストY女史とA女史、ニューヨークの友人カップルのJ君とAちゃん、アーキテクトI氏、僕の「ハイコー」Cちゃん、そして我ら地獄夫婦の11名…場所は麻布の美味しい中華「S」、コースは「N氏の為」の90分飲み放題付きで、何と5850円!

久々のN氏との再会は相変わらずの爆笑の連続だったが、何しろ僕はN氏からのプレゼントで有る、光沢の有る生地に素晴らしいドローイングが描かれた(実はN氏は絵が上手い)、一寸モード系入って居る「ホテル・マンタ・オブ・ヘルシンキ」のTシャツを着て行った事で、宇部山口空港のセキュリティーで一時止められた末、搭乗の際にはスチュワーデスに「お客様、其のお洋服ではチョット…」と云われた話(全部冗談です!)で盛り上がる。

そして美味しいコース料理を食べ終わると、デザートが運ばれて来たのだが、何故か僕のプレートだけが他の人のそれとは異なり、その白いプレートには何か書いて有るでは無いか…読めば何と「Happy Birthday !」と有る。

ぐおー、やられた…これは「サプライズ・バースデー・ディナー」だ!

3週間遅れの誕生日祝い等、一体誰が想像しよう?皆にハッピー・バースデーを歌われ、もう嬉しいやら恥ずかしいやらだったが、感動頻り。そして皆から「蓋置」や「画集」等を頂き、N氏からマヨンセには「ミラーボールマン」のTシャツ+ニセ(?)「ムーミン」レーズン迄。

そして昨晩、レセプションで僕が「お誕生日、オメデトウございます」と云われ続けた理由は、僕が未だにやって居ない「フェイスブック」のお陰で有り、序でに極く一部の人達の間では、「ハクション大魔王が、何時の間にか浦辺粂子に為っている芸」に就いて話題騒然らしい(笑)。

皆さん、本当に有難うございました!