GONINー深夜の「誕生日茶会」。

今年も後3週間…街にはイルミネーションが煌めき、師走の騒めきが耳に心地良い。

そんな中僕はと云うと某収蔵庫での作業をこなしたり、VIP顧客の個人美術館を訪ねて驚くべき新収蔵品を見せて貰ったり、そして物凄く重要な作品のプライヴェート・セールが決まったりして居たが、それに連れて夜の方も忙しくなって来た!

月曜の夜、仕事後何か軽く食べようと行き付けの珈琲店を1人で訪れたら、寒い夜だったからか僕の他に客も居らず、結局マスターも「今日はもう店閉めて、飯でも食いに行くか…」と云う事に為り、マスターと従業員のSちゃんと連れ立って、「食べログ」で高得点を取っていると云うSちゃん推奨の焼肉屋の「A」に向かう。

その「A」に着くと20分待ちだと言うので、3人で東京ミッドタウンのイルミネーションを観に行ったのだが、クリスマス仕様の東京タワーをバックに青く光るイルミネーションの余りの綺麗さに息を呑む…日本のイルミネーションは儚げで中々ヨロシイ。序でに「A」では、デザートに何と「しろくま」が出て来る、リーズナブルで超美味いコースを堪能した。

続く火曜日は、某有名美術館の学芸員T女史を囲む恒例の忘年「T会」…T女史を始め、VIPコレクター、現代美術ディーラー等の何時もの面子、そして此の晩も六本木の肉専門店「M」で、焼き鳥やメンチカツ、〆の辛麺等で盛り上がる。

そして肉肉しい二夜を過ごした昨日の夜は、かいちやうのバースデー・ディナー@原宿「E」に出席。

出席者はかいちやうを中心に、女優Mさん、陶芸家U氏、料理研究家Nさん、ギタリストM氏、邦楽家元T氏、大コレクターのお孫さんS氏、そして僕の総勢8名。

料理研究家Nさん創作の美味しい料理、トスカーナからのワインと今年取れたてのエクストラ・ヴァージン・オリーヴ・オイルを頂きながら、「今年1番の買い物は?」「骨董の値段を家族に如何に誤魔化すか」(「一寸良いコート位の値段」とか:笑)等と盛り上がった食事会は、プレゼントご披露を経てのハッピー・バースデーの合唱の中、抹茶茶碗を象ったバースデー・ケーキの灯をかいちやうが吹き消し、皆で記念撮影をして夜中前に終了。

然しこの晩はそれでは終わらず、その後はかいちやうのお宅の茶室に赴き、邦楽家元、陶芸家、コレクター氏と共に、男だけ5人に拠る深夜の「バースデー茶会」の開催と為った。

手燭の灯されたほの暗い茶室の床には、大徳寺僧の墨蹟に紅白椿の活けられた古銅花入、眼を左に振ると見覚え有る古材炉縁に古天明釜、そして芋頭水指が見える。

そんな「バースデー茶会」は、数々の蝋燭の灯された遠来の「巨大バースデー練切菓子」が亭主に拠って運ばれ、そろそろと始まった。

かいちやうの提案で、主客5人全員で一斉に息を吹き掛けて蝋燭の灯を消し、亭主自らがその場で切り分けたお菓子を頂く。

そしてかいちやう自身が点てた、手取りと発色の素晴らしいご先祖様の黒楽茶碗、コレクター氏持参の赤楽、亭主自作光悦風茶碗、陶芸家U氏作の生まれたて茶碗等でお茶を頂き、この夜使われたお道具や名物骨董商の話等の骨董四方山話に花が咲くと、気が付けば何と夜中の2時を廻っていた!

そうして深夜の「バースデー茶会」は御開きと為り、後片付けを終えると、お茶で友情を温め合った男GONIN(そうだ、まるで「白浪五人男」では無いか!)は、寒空の下、三々五々家路へと急いだので有った。

お茶は人を結び付け、そして温める…その道のエキスパートとして僕等客達を結び付けてくれたかいちやうに感謝し、彼のこれからの1年の御多幸を祈念しながら、今日はこれ迄…かいちやう、Happy Birthday !!