「The Reader」と「Slumdog Millionaire」。

時間が経ってしまったが、やっと「Reader」をNYへ帰る機内で観れた事も有り、今年のアカデミーを席巻した、この全く異なる映画2作品について考えた。

「The Reader(愛を読む人)」は、何とも重いテーマで良く出来た原作脚本だが、やはり一番引っかかるのは、途中で主人公の女性が「文盲」である事が観客にバレてしまう所…残念だ。

一方の「Slumdog…」、これは素晴しい!公開時劇場で観、再び字幕付きで機内で観たのだが、こちらも脚本が素晴しい。元来出来の良い映画は、脚本が「全て」と相場は決まってるのだが、「Slumdog」の展開の速さ、シチュエーション設定、登場人物の個性描写や対比、須らく良く出来ている。

最後のハッピーエンドは、観客を歓喜させカタルシスを味わせるという映画の真髄で、予想される結末でも、だ。カメラの動きも素早く、流石「トレイン・スポッティング」の監督らしい。

さて、アメリカがナチに因る「ユダヤ弾圧虐殺」の映画を作り続けるのは致し方ないが、まず美しく描けない。「Night Porter(愛の嵐)」等は、テーマ自体が少々異なるかもしれないが、流石リリアーナ・カヴァーニ、イタリア女性の撮る映画は美しい。

「Reader」の監督のダルドリーは、「Billy Elliot(邦題:リトル・ダンサー)」や「The Hours(邦題不詳)」といった中々の作品を撮っているのだが、もう一息であった。機内で観た今一本は、少し古いが「Vier Minuten(4分間のピアニスト)」…ヨーロッパ映画は流石である。

今週末は再び茶会と、METで開催中のフランシス・ベーコン展に行く予定である。