もう一つの「インディペンデンス」・デイ。

7月4日は独立記念日

毎年色々な形で花火を見に行っていたのだが、今年は友人でNY在住若手現代美術家(写真家)の杉本剛君に誘われて、彼のブルックリンのアパートで開かれるパーティーに行った。

このパーティーは同居人の写真家、横澤君のバースデイ、また新しく同居人となった近代写真史専攻、PHD取得中の甲斐君のウエルカムを兼ねての祝宴。家から地下鉄を乗り継ぎ、グリーンポイント駅のホームに降り立つと、前方に見覚えのある2つの後姿が…日本美術史家のマシューとそのパートナーのアーティストのトオル君が重そうに、だが仲良くスイカを運んでいた。三人で剛君のアパートに着くと、ナンと我々が最初のゲストで、やはりアーティストの集まりは遅いのであった(笑)。

アパートの住人達と世間話をしている内に、三々五々、アーティストやクリティック、ヒストリアン、ギャラリースタッフ達が集まりだし、各々ワインやスナックを持ち寄る。パーティーメンバーは顔馴染みの砂入博史君、鬼頭健吾君等3−40人程の若手「GANGS OF JAPANESE CONTEMPORARY ART」が中心で、ご馳走有りケーキ有り、時節柄マイケルの曲が剛君の選曲で掛かったりして、遅くまで盛り上がった。

以前我が庵「Hell's Palace」でのパーティーの時も思ったのだが、この「GANG」たちは本当に「気」が良い。NYという所は、特にアーティストにとっては、居たければいつまでも居れば良いし、嫌ならとっとと立ち去らねばならない場所で(当たり前の話だが)、愚痴を言いながら制作居住する土地では無い…ハッキリ云って厳しい所なので、甘えている、もしくは甘えたいアーティストは生きていけない。

パーティーに来ていたある作家とも話したのだが、昨今の不況で最も影響を受けている現代美術マーケットで、只でさえ生活の難しい若手アーティストは食べて行くのが本当に大変であろう。自分の表現したい「アート」と「日々の生活」の狭間で悶々と悩み、しかし格闘しているのだろう。将来を不安に思うのはアーティストだけではなく、研究者、ギャラリー勤務者も同じだ。がしかし、このパーティーの明るさはどうだろう!「GANG」達はお互いの苦悩を想像し、語り、慰める事は簡単かもしれないが、この日だけはそれを忘れて明日への活力とする。

日頃「死者のアート(古美術)」を生業としている事から、現代美術作品・作家に会う事を慶びとし、且つ精神と眼の均衡を保とうとしている筆者は、「和して同ぜず」という、最近日本のヘタレ若者には中々見出せない、そしてアーティストに必須である良い意味での「唯我独尊(Independece Spirit)」精神を、故国を離れ悪戦苦闘しているNYの若手芸術家・研究者たちの中に確かに見た。

そんなポジティブなエネルギーに身を委ね、最高に楽しく若返りの時間を味わった、幸福感溢れる2009年の独立記念日であった。

これからもNYのGANG達の活躍を、微力ながら、心より応援したい。