北野武監督作品「アキレスと亀」を観た。

昨晩は、今ジャパン・ソサエティーで開催されている映画祭「JAPAN CUTS」中の一本である、北野武監督主演の「アキレスと亀」を観に行った。

いや、笑い過ぎました…抱腹絶倒とはこの事!

冒頭は北大路魯山人の少年時代を思わせる「超不幸芸術少年物語」で、こりゃなんだかな…と思ったのも何のその、中盤からは「狂った」と云うか「本来の」と云うか、所謂「ゲージツカ」の生涯を爆笑で綴る。と云っても、実際会場で大爆笑していたのは、限られた観客ではあったが。

それは「劇中余りに人が簡単に大量に死ぬ」、「一般の人には劇中登場するアートが、何のパロディなのか判り辛い」、「タケシ特有の、欧州映画調で淡々と流れる物語に付いて行けない」など色々な理由が考えられるが…。

登場したパロディー・アートは全て監督ご本人の作品らしいが、覚えているだけでもPicassoに始まり、Miro、Klee、Modigliani、白髪一雄、牛ちゃん、Warhol、Basquiat、ひいてはPeter Beardまで登場し、アートを齧っている者なら爆笑物である。

しかし、この映画が自伝的作品であるのにも関わらず、監督はあっさりと、自虐的にとも思える程に「ゲージツカ」をトコトン風刺し倒す。ここがスンバラシイ。どこかの流行映像作家の叙情詩ぶった作品とは大違い。流石、ビートたけしである。

この映画、芸術家の方々に強くお奨めする。でも影響受けすぎて死なないでね。樋口可南子みたいな伴侶がいれば死なないか…多分、いや絶対(笑)。