機内で楽しんだ「釣り」と「料理」。

気温23度、「極楽」のニューヨークに戻って来た。

しかし今朝起きてテレビを付けたら、今度はニュージャージーのスーパー・マーケットで、早朝銃撃事件が発生したとのニュースが…何人が撃たれたか等、詳細は未だ不明だが、「銃『地獄』」に帰ってきた感も否めない。

そんな極楽と地獄の混ざり合った気分の今日のダイアリーは、恒例のANA10便で観たアートに就いて…今回は行き帰りが同月の為、帰りの為に残しておいた機内上映作品の中から、「釣り」と「料理」に関する秀作2本を紹介しよう。

先ずは「釣り」から。2011年度ラッセ・ハルストレム監督作品、「Salmon Fishing in the Yemen(邦題「砂漠でサーモン・フィッシング」)」で有る。

超真面目で融通の効かない、アスペルガー症候群の英国政府水産研究所の学者(ユアン・マクレガー)の元に、イエメンの大富豪シェイクから「鮭」を放流し育てたいとの依頼を受けた、投資会社の担当(エミリー・ブラント)からの相談メールが来る所から本作は始まる。

が、堅物で変化を好まないコンサヴァな性格のマクレガーは、それを不可能と一刀両断し一旦は断るのだが、英国政府の圧力とシェイクの金力に屈し、ブラントとイエメンに赴いて、嫌々プロジェクトを開始する。

その後、魅力的なブラントに徐々に惹かれながら、釣り好きのシェイクと交流する内に、マクレガーの頑なな心は次第に解れて行くのだが、映画は一聴すると荒唐無稽な「中東イエメンでの『鮭放流』プロジェクト」と、この3者の各々の人生背景を描きながら、マクレガーとブラントの恋の成就を、イエメンの大自然と共に美しく描いて展開して行く。

さてこの作品、イギリス映画らしくシニカルなコメディ・タッチで、ユーモア感溢れる作品と為っているが、主演の2人が何しろ宜しい。

マクレガーは少々年を取ったが、頑固な英国人学者を上手く演じ、それにも況して相手役のブラントがしっとり感溢れ、非常に魅力的で堪らない。前回観た「Adjustment Bureau」も良かったが、今自分の中でも、最も魅力的な演技派女優の一人なのだ。

また、シェイク役の俳優が俄然カッコ良い。眼の美しい中東系の美男子だが、その眼を輝かせながら釣りに興じ、「釣りと宗教は同じだ…信じなければ結果は出ない」とマクレガーに云う辺り、男のワタクシでも「おぉっ!」と云う感じで好感が持てる。

映画のラスト・シーンで、生き残った鮭が元気に跳ね上がり、それに因ってマクレガーとブラントの2人の恋の命運が決定するのだが、そんなラストも含めて、何しろこの作品を観終わった後には、何とも云えない「暖かさ」が残った。

ストーリー、俳優(云う迄も無いが、特にエミリー・ブラント!)、そしてロケーション共に、非常に美しい作品…強くオススメしたい1本で有る!

そして「料理」…此方はフランス映画、ダニエル・コーエン監督2012年度作品、ジャン・レノ主演の「Comme un Chef」。

オーナーと対立しクビ寸前の、(ミシュラン…とは云っていないが)三ツ星のコンサヴァ有名フレンチ・シェフ(レノ)と、スゴい才能を持ちながらも運の無い若手料理人(ミカエル・ユーン)がふとした事で出会い、協力しながらお互いの夢を果たすと云う爆笑コメディ。

この作品、「星」に一喜一憂するフレンチ・レストラン業界の裏側を皮肉たっぷりに描いた場面も多く、例えば「分子料理専門家」として登場するのはスペイン人で、これは「エル・ブリ」を容易に想像させる…「鴨味のキューブ」を見たシェフ・レノが「一体鴨は何処だ?」と云う下り等、かなり笑えるし共感を覚えだろう。

また、オーナーが新シェフに据えようとしている小太りのシェフは、オフィスでエクササイズに励んでいるのだが、そのシェフの馬鹿馬鹿しい「近未来風レストラン」に偵察に行くレノとユーンは、これまた信じられない程馬鹿馬鹿しい、「野武士」と「芸者」の扮装をした日本人として登場する。

さてこの作品、爆笑ストーリーや頻繁に登場する旨そうな料理も然る事ながら、それにも況して観者(特にワタクシ)を楽しませたのは、出演している余りにも美しい女優達だろう(笑)。

レノの娘役(サロメ・ステヴナン)、レノが恋する田舎のレストランのマダム役(レベッカ・ミケル)、そしてユーンの妻役(ラファエル・アゴゲ)の3人のフランス女優の美しさ、これはもうハンパでは無い!

大興奮でお恥かしいが、しかしこの3女優、タイプも三者三様だが、中でもアゴゲとミケルの美しさは常軌を逸しているっ!しつこい様だが、やはりフランス女性は素晴らしい…こうなるともう、ストーリー等どうでも良くなってしまうのだが、本作品のストーリーは云ってしまえば良く有る話なので、まぁイイか、なので有る(笑)。

「釣り」と「フランス女性」、もとい、「フランス料理」を堪能した、ニューヨーク迄の12時間でした。