そんなに似てるか?

昨日は生前大変お世話になった、前裏千家NY出張所所長山田尚氏の追悼会がジャパン・ソサエティーであった。この会は、今日庵宗匠の発案と云われ、山田氏と長い交友の有った大宗匠がはるばる来米し、所縁の合った人々を招待しての今日庵主宰のイベントだった…筈だった。

行ってみると、友人且つ顧客でもあるNY茶道会重鎮のアメリカ人Dが早速近づいてきて、耳元で「孫一、今日は『ダイソーショー』は来ないらしいぞ…」と囁いた。吃驚して彼の顔を見ると「オー・ノー!」と云わんばかりに首を横に振り、深い溜息を吐いた。

彼の話によると、大宗匠は出発直前に眼に出血があり、気圧の変化の強い飛行機での旅行を医者に止められたとの事。残念至極。人の体調では仕方ない。が、しかしこの孫一、この日の会及び裏千家に対しては、云いたい事が山ほどあって、今日はマジ「怒りの鉄拳」なのであるが、その事に関してはちょっと心を落ち着けてから書く事にする(ちょっと大人になった私)。

さて本題。京都から来た大宗匠代理の業躰さんに依る奉茶イベントも終わり、場所を移してのレセプションとなった。多くの顔見知り・友人と話しながらグラスを傾け、初登場「グリニッヂ・グリル」のケータリングの寿司やフィンガー・フードを楽しんでいたら、東洋美術修復家のA氏がニコニコして近づいて来た。このA氏はNYに何十年も住み、日本の絵巻物等の修復にかけてはアメリカの第一人者で、NHKの「プロジェクトX」にも特集された程の人だ。そのA氏とのその後の会話は以下の通り。

「孫一さん、今日は貴方に是非お尋ねしたい事があるんです。」「何でしょう?今度のオークション出品作品の事ですか?」「いやー、家内と話して絶対そうだと思ったんだけど、貴方に確認しなくちゃと思ってねぇ。」「ほう、何です?」「貴方、弟さん芸能人でしょ?」「…?」「いやね、此間NHK見てたら、ぐっさん(山口智充)とかいう人が出てて、貴方に似てるなぁと思ってたら、苗字も一緒だったから。」「!いやー、良く言われるんですけど、あの人は全然関係ないんですよ。」「またまた…隠さなくても良いじゃない…。それに、こっちには証拠があるんだから!」

証拠?…これは新展開である!ぐっさんが「笑っていいとも!」に登場して以来、今まで如何に彼に似ているか、もしかしたら兄弟、はたまた従兄弟なのでは?と、何百回云われてきた事だろう(この日も3人に云われた)。確かに同じ系統の顔ではあるし、体格、声、延いてはギャグまでソックリという人もいて、珠にウチの弟が元バンドマンで、CDも出した事がある等と口走るともう大変。ぐっさんは何時の間にか、筆者の弟になっているのであった。が、しかし今回A氏は証拠が在ると云う…面白いではないか!

「この間ねぇ、家内が片桐(注:ミッドタウン・イーストにある日本食料品・雑貨店)に行ったら、貴方の奥さんにバッタリ会ってね、そしたら奥さんが見慣れない野菜を買ってたから、それ何ですかって聞いたら、沖縄の『ゴーヤ』だって云うんですよ。家内も私も『ゴーヤ』って食べ物知らなかったから、料理方法まで丁寧に教えて貰っちゃった」。フムフム、その話は知っている…お茶のお稽古の帰りにAさんの奥さんに会ったと、妻から聞いていた。

「それでね、孫一さん家は変わったモノを食べてるねぇ、なんて家内と話してたら、あのぐっさんていう人がTVでインタビュー受けててね。いやぁ、この人孫一さんにそっくりで兄弟みたいだねぇ、なんて話してたら、あの人のお母さんは沖縄出身だって言うじゃない。ヤッパリ!って事になって、だから孫一さん家もゴーヤとか食べてるんだよっ!って結論になったって訳。ネッ、確かな証拠でしょ?!」

ウーム、世の中知らない事ばかり…ぐっさんの母親が沖縄出身だったとは!それと人間の想像力・先入観とは凄い。偶々妻が買っていたゴーヤと、ぐっさんの母親の出身地が一瞬のうちにシンクロし、秋田出身の筆者の母親まで沖縄人と化してしまった…(笑)。恐るべしA氏、流石一流修復家である…想像力無くして、国宝級の絵巻は直せまい!!ちょっと興奮気味のA氏に、兄弟ではないと否定するのは一苦労であったが、A氏は最後は笑って納得し、でも立ち去る後姿がちょっと残念そうだった。

この孫一、少し前までは某「ラスト・サムライ」とも云われていた時期もあったのだが、今は昔…。

ぐっさん、そんなに似てるかぁ!?